玄文講

日記

α

2005-08-03 00:14:59 | 怪しい話
世界は何からできているのだろうか?

こう訪ねられたら、何と答えるべきだろうか?とりあえずは

「世界は素粒子からできている」

と答えるのが無難であろう。
素粒子は別に粒子でなくても、振動をしている紐でもよい。
とにかく「物質を構成する最小要素」という定義さえ満たしていれば何でもいい。
ギリシャの哲学者が「原子」という概念を生んで以来、呼び名は変われど、私たちは今でもそれを求め、考え、探し続けているのである。

しかし世界は物質だけからできているわけではない。
この世には重力や電磁力といった「場」と呼ばれるものも存在している。
これらの力は物質ではないが、確実に世界に存在している。

しかし実は、力なる存在も素粒子で説明することができる。
たとえば電磁力。これは2つの電子が光子を交換する過程で生じた力だとみなせるのだ。

つまり場とは素粒子のやりとりで生まれるものなのである。
「有名な湯川博士」の中間子理論は核力の原因となる「中間子」を予言した理論である。
これも「場」を生む素粒子の一つである。

このように「物質」も「場」も素粒子で説明することができる。

素粒子物理学では「物質」である素粒子、電子や陽子のことをフェルミオンと呼ぶ。

そして「場」である素粒子、光子や中間子のことをボソンと呼ぶ。

正確にはフェルミオンやボソンは素粒子の持つ可換性や統計の性質による分類なので、電子2つがボソンのように振る舞うこともある。そういう現象が超伝導で観測されている。

ちなみに量子力学は、波だと考えていた「場である光」が実体を持った粒子として振る舞い、実体を持った粒子だと考えていた「物質である電子」が波として振る舞うという現象を説明する過程で生まれた学問である。


とにかくこれで世界を構成する要素は全て素粒子から成ると言えたことになる、、、のであろうか?

世界というのは「物質」と「場」だけのことを言うのだろうか?

時間や空間はどうであろうか?
これは世界の構成要素の一部ではないのか?それともそれは、質量がエネルギーで説明できるように、別の何か(素粒子)で説明されるべき枝葉の概念にすぎないのだろうか?

この答えを知るためには重力理論の完成を待たなくてはいけない。
なぜなら重力理論とは時空の理論でもあるからだ。
しかし、ここでは無理やり考えてみる。

重力を説明する相対論は古典理論に過ぎない。量子力学の成果を取り入れた重力の理論はまだ完成していない。
それは、つまり、素粒子物理学では重力をまだ説明できていないことを意味する。
先ほど「場」は素粒子で説明できるとした。
だから、もちろん「重力場」も素粒子で説明できるはずである。
そこで私たちは未だ観測されていない未知の粒子、スピンが2で質量を持たないグラビトンという素粒子を仮定している。

流行の弦理論は、このスピンが2で質量を持たない「紐」を出発点にして重力理論を説明しようとしている理論だ。
しかし、実験の助けを得られず、真偽を証明できない理論に対しては、素粒子物理学者からも多くの疑問が寄せられている。

私は、弦理論は真実を含んでいると思ってはいるが、真実を知るため唯一の道ではないとも思っている。
それでは、別の道とは何だろうか?

弦理論には相対論で言うところの「等価原理」に相当するものがない。
粒子や紐的なアプローチでは時間や空間とは何かについて今ひとつ考察できていない。
量子力学の原理にも何らかの修正をしなくてはいけないのかもしれない。

これらについての考察が、きっと別の道を作ってくれることだろう。

現在ある重力の理論では、ペンローズのスピノール理論が興味深いという評判は聞いたことがあるが、私はそれを知らないので何とも言えない。
(続く)

最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
疑問。 (識友会5番目の男)
2005-08-06 00:49:18
ジックリと読ませて頂きました。

大変興味深く続きを期待してます。



人間はエネルギーによって動いていますが、その元をたどると素粒子なのですね。

印象的だったのは



「力なる存在も素粒子で説明することができる。

たとえば電磁力。これは2つの電子が光子を交換する過程で生じた力だとみなせるのだ。」



        

これはまさに人が生きていくうえで体内で起こっているエネルギー獲得機構そのものですね、ATPは内呼吸により1モルのグルコースから38のATPが得られます。そしてATP(アデノシン三リン酸)がADP(アデノシン二リン酸)になるときにアデノシンを一つ切り離したときにエネルギーが発生します!



エネルギー獲得の影にはさらに最小単位で素粒子の働きがあるって訳ですね。





昔S会社にエスパー研究会という会があったそうですが。

そこでは電家製品から電磁場がでて体によくないということで電磁場を抑制するものを作る研究がされたそうです。

研究の結果電磁場は(私の記憶がたしかなら)ある周波数を発するものを持つと電磁場を受けないとかって聞いたおぼえが・・・





ここで疑問が一つ。

物質は素粒子でできているってことは、たとえば人間では筋肉や骨、脂肪、臓器などから成り立っていますが、すべての元が素粒子ってことはその区別は何でされているのでしょうか?素粒子の性質事態が違うのか?または素粒子の波調みたいなのがあってそれがちがうのか?

たとえば筋肉の素粒子はA波の集まりで骨の素粒子はB波の集まりみたいに区別がないと同じ素粒子だとごちゃまぜで成り立ちませんよね。(ん?言ってる事間違ってないかな???)



素粒子について無知なものでふとした疑問を書いてしまいました。



気が向いたらご返答よろしくです。

返信する
回答 (講員)
2005-08-07 01:59:12
物質を構成するフェルミオンにはクォークや電子という素粒子を含まれています。

そしてクォークから陽子と中性子ができ、電子と組み合わさって、その数により様々な原子として振舞います。



そして原子は共有結合したりイオン結合したりして分子になります。

筋肉と骨は異なる原子、分子から構成されているから、区別がつくわけです。



ですがエネルギーを与えていくと、結合が分離し、分子は原子になり、原子は電子と陽子になり、物質はより基本的な要素に還元されていきます。

そういうふうに全てが「原子的」な素粒子の海だったのが超高温状態にあった初期の宇宙であったと考えられています。



ですが今のような冷たい世界ならば、全てがごちゃまぜになることはないわけです。

分子は分子として安定して存在でき、骨は骨であり、肉は肉であり続けるのです。



えーと、これで疑問の回答になっていますか?
返信する
おぉー (識友会5番目の男)
2005-08-07 08:47:33
大変分かりやすいご回答ありがとうございます。

流れはわかったのですが「フェルミオン」を調べてみたらボース粒子なんてのがでてきてよく分からなかったので自分なりに。↓↓↓



フェルミオンは奇数個の核子から成る原子核→一つの量子状態には一個の粒子しか入り得ない

       ↓

物質を構成する素(クォークや電子という素粒子を含んでいる)





ボース粒子は偶数個の核子から成る原子核→多くの粒子が同じ量子状態をとることができる

        ↑

これは何をしてはりますの?インド人とアインシュタインが関係してるようですが・・・。





簡潔に・・・



フェルミオン→奇数→物質構成

ボース粒子 →偶数→何やってるのか私には不明!



偶数ってのはフェルミオンが偶数集まったって事?

自分で調べると蟻地獄にハマルだけなのでこのへんで終了。

返信する
回答 (講員)
2005-08-10 01:24:19
Σにつたない回答をのせておきました。

なるべく簡単に書いたつもりですが、不明な点があれば気軽に質問してください。



きっと分かりにくいところは、私が本当はよく理解していないところに違いありませんから。
返信する