食品のカラクリと暮らしの裏側

食品の安全・安心が総崩れ、また政治・社会の矛盾や理不尽さも増大
暮らしの裏側の酷さやまやかし、危険性・不健全さに迫る!

大阪万博⑨松尾貴史氏コラム◇予算を垂れ流す天下の愚挙・万博に巨費を投じている場合か/少数派

2023年12月05日 | 経済劣化・万博カジノ
Ns170minoritytp 少数派シリーズ/カジノ・ギャンブルを許すな(大阪・関西万博)
大阪万博⑨松尾貴史氏コラム◇予算を垂れ流す天下の愚挙・万博に巨費を投じている場合か

Matsuoiwakan
毎日新聞の日曜版、「松尾貴史のちょっと違和感」というコラムからの記事をご紹介します。
松尾貴史氏はコラムの中で、痛烈な批判をしています。ぜひお読み下さい。
*投稿タイトルは、新聞の原題・原文に基づいて投稿者が行ったものです。


 ↓ ↓ ▽松尾貴史氏のコラム

■作家・筒井康隆氏「万博なんていうのは時代遅れだね。もうやめたらいいのに、あれは。」
作家の筒井康隆さんが「大阪万博なんてやめたらいい」とおっしゃっているそうだ。「万博なんていうのは時代遅れだね。もうやめたらいいのに、あれは。日本には金がないし、来る国にもないしね。大阪の人は万博好きなんて言うけど、あれは昔の夢が忘れられないんでしょうね。確かに楽しかったけれども、今とまた時代が違うわ」全くもって「ど」がつく正論だ。金がないのは確かなのだろう。大阪維新の会が勢力を伸ばしてからというもの、大阪は経済的にも文化的にも沈む一方だと感じている。そこへ来てのコロナ禍で、行政の責任者たちがまるでネオ新喜劇でも演じているのかというようなスカタン状態、カジノを含む統合型リゾート(IR)のための「前座万博」などに現実逃避している場合ではない。大阪府内では障害者が暮らす入所施設に入れず、待機している人が1000人以上いるそうだ。大阪府と各市町村が府内の約半数に当たる46の障害者の入所施設を調べたら、待機者が1058人もいたのだという。ここ数年、それが常態化している。吉村洋文大阪府知事は「望ましいことではない。やむを得ない場面が個別個別であるかもしれないが、できるだけ解消すべきだろう」とまるで人ごとのように語っているが、プレハブイベントのために何千億円も公費をつぎ込んでいる場合でないことは誰の目にも明らかだろう。

1970年に大阪で開かれた、ちゃんとした方の日本万国博覧会(70年大阪万博)や、国際花と緑の博覧会(90年)などで大変なリーダーシップを発揮された、筒井さんのSF作家としての先輩筋で盟友の小松左京さんも、存命なら「こんなことしとる場合と違うぞ」とおっしゃっているのではないか。この窮状から逃避するためのめくらましではないだろうけれど「空飛ぶ車」なるものを売りにするもくろみも雲散霧消しつつある。見た感じがまるで意外性のないヘリコプターを「関係者」はそう呼んでいるが、違和感を覚える。「車」と呼べば、経済産業省の補助金が出るのだろうか。96年3月から開催する予定だった世界都市博覧会は、その約10カ月前に中止することができた。25年開催(予定)の大阪・関西万博の木の輪っかのような建造物に約350億円も投入するという話だが、これが当時話題になった都市博の会場のデザインに酷似しているように見えるのは、ただの偶然だろうか。95年4月に「世界都市博中止」を公約とする青島幸男氏が東京都知事選挙で当選したが、5月の都議会本会議で開催決議が可決された。それでも青島都知事は中止することを決めた。いまだに「青島さんの功績はあれだけだったね」という評価が多いが、それ一つでも大きな出来事だった。

大阪では障害者施設の不足から、一つのベッドに120人の待機者がいる施設もある状況で、採算も怪しい自称「いのち輝く」大阪・関西万博のために、市や府や国の予算を垂れ流すのは天下の愚挙ではないか。国立科学博物館がクラウドファンディングで約9億円を集めたことが話題になっている。税金が適正に使われず民間の篤志に頼らざるを得ないというのは、恥ずべきことだろう。政治家が子ども食堂を持ち上げる構造に似ていなくもない。国立科学博物館なのに国が十分な予算を出さないのだから、文化国家、科学技術立国と胸を張る時代はとうの昔に終わってしまっているということか。筒井さんの小説「時をかける少女」のように、タイムトラベルで70年の日本をのぞけると慰めにもなるのだろうが。

M20231116 松尾貴史氏ご自身の作

■投稿者の文章/大阪府市民の方、あなたが納めた税金がどれだけ出鱈目に使われていることか!
万博運営が上手くいかないことを今号も書くが、実質、日本維新の会が牛耳る大阪府・大阪市・関西経済界の機能不全によるものだ。関西圏を始め全国から批判が殺到すると、今までの維新による推進失敗を国の責任に押し付けたからだ。これで、万博事務局やスタッフが身動きできなくなってしまった。維新はことあるごとに「身を切る改革」など欺瞞を並べていたが、皆様はこの万博負担をどう思うだろうか。特に大阪市民の負担は、1人当たり約1.9万円だ。万博総予算2350億円のうち、何度も書くが国・大阪府市・経済界が1/3ずつ負うことになっている。となると大阪市は1/6の392億円、これを市民277万人で割ると1人当たり約14000円。さらに府税分が約4000円、国税分が600円加わり計19000円を負担する。これは飽くまでも万博実施分の直接費用で、既に会場の夢洲(ゆめしま)にはこれらの3つの税で1兆円以上が費やされている。また万博アクセスルートの淀川左岸整備に3千億円近く、夢洲への地下鉄延伸の数百億円も掛かっている。もっと言えば、2030年見込みのカジノ建設にも、9000億円が見込まれ(これで済む訳がない)、国・府市などから捻出される。これがどうして「身を切る改革」なのだろうか。大阪府民・大阪市民、そして国民は“維新の詭弁”に騙されてはならないのである。

次に松尾氏の本文にあったように、東京・ベイエリアで開かれようとしていた「世界都市博」の補足をする。投稿者は忘れもしない、1996年開催予定だったが直前に中止された。前年の都知事選挙では、「都市博中止」を掲げた“青島だ~”で有名な青島幸男氏が当選。開催の10か月前に、正式に中止された。そのまま開催したほうが安く済むとする猛烈な反対意見があったが、当初予算830億円が結果610億円、220億円を減らすことができた。これは建築物がほぼ全て完成してからだったので、中止しても約73%は掛かってしまった。万博の現段階での中止なら、かなり予算は使わずに済む。失敗例は、1989年、横浜みなとみらいで開催された「横浜博」。320億円(但し土地造成費、アクセス施設費除く)、1334万人。予定人数を大幅に減ることが分かり、終了直前に400万枚を無料で配った数合わせ。テーマが曖昧で、かなり不評を買った。政治家は大規模イベントを開こうとするがバブル後は厳しい眼で見られ、30年以上前からある「失敗例」を身に沁みていない。国民の暮らしが立ち行かない昨今は、暴風のごとく中止の声が高まる。

Sankoub
次号/大阪万博⑩今さら「月の石」「人間洗濯機」展示でもないだろ!大阪市民負担約11万円
前号/大阪万博⑧理念なき万博は中止せよ!数々のトラブル例紹介(2)350億円の日除けリング要らぬ

Ntopkeiji

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ▽[米軍基地・沖縄問題]少数... | トップ | 毎日ことば|ランドセル=軍... »
最新の画像もっと見る

経済劣化・万博カジノ」カテゴリの最新記事