ニコニコかみさま 10

2021-04-17 08:08:46 | 日記
「運気を上げに来てるんだ…」

マジシャンの行動には納得したけど、だけど、商品のビリケンさんの足を掻くのには、納得いかない。

そこで、お店の女の子たちが考えた。
そして、ビリケンさんの位置を変えることに。

ショーウィンドウの隙間から手を差し伸べても届かない場所に移動した。

その後、マジシャンが現れた時、
「◯◯◯はありますか?」
「当店にはありませんが、お取り寄せしましょうか?」
「今はいいです」

…の、一連のやり取りが済むと、帰りがけに
いつもの通りショーウィンドウの隙間に手を差し入れようとした。

『あれ?移動した?!』

…と、思ったと思います。

ショーウィンドウの横でしばらくビリケンさんを見つめ続けると、グイッとからだごと差し入れて足に触れようとしている。

「ショーウィンドウ、開けましょうか?」

…女の子が声をかけた。

「あ、いいです。大丈夫です。」

マジシャンは、少し気にしながらも、ビリケンさんに触れるのをあきらめて帰って行った。

「足を掻くくらい、いいんじゃない?」

なんだか気の毒になって、女の子に言ってみた。

「ダメなんです。あの人は、先輩がいた頃から、ここへ来ては、ビリケンさんの足だけ掻いて帰って行く人だったんです。」

「どのくらい前から?」

「かれこれ、3年くらいになります」

「そんなに…」

「…なので、社長もこの件を知っているんですが…、社長もあの人に足を掻かせたくなくて、ショーウィンドウに入れたんです」