有機化学にっき

気になった有機化学の論文や記事を紹介。

Org. Lett. ASAP

2006-01-21 12:56:42 | 新着論文
Gold(I)-Catalyzed Oxidative Cleavage of a C-C Double Bond in Water

水中での金触媒とneocuproineを用いてt-BuOOHでアルケンの酸化的切断。ケトンを与える。

金触媒でも酸化的開裂がおきることにへぇと思いました。基質としてはgem-オレフィンでないといまいちな様子。あげていくには配位子の展開と設計でしょうか

機構を検討していて、エポキシドを経由しているのではなく、金ースチレン錯体が発生しているとのこと。 オレフィンの電子密度で反応速度を比較してみると差がでるのでしょうか? 

気になったのは金に単座でなくフェナントロリン誘導体は二座でかむの?だったのですが、Chem. Comm. 2004, 1618. など二座錯体ができているようです。
錯体も基質も水溶性ではないように思うのですが、二相系で進行しているのでしょうか?配位子、条件など最適化に余地があるような気がしました。

JACS ASAP

2006-01-17 20:03:05 | 新着論文
Palladium(0)-Catalyzed Alkylative Cyclization of Alkynals and Alkynones: Remarkable trans-Addition of Organoboronic Reagents

Pd触媒による分子内のアルキン、アルデヒドの環化、ボロン酸とのカップリングによるアリルアルコールの合成。(Alkylative alkynal cyclization) トランス付加という従来ない反応性を報告。

Pdのアルキンへの付加により、カルボニルへのビニルの付加、トランス付加を減ることによって、生じたビニルパラジウムがボロン酸とクロスカップリング。配位子の選択によって、6,5員環を作り分けることが可能。幅広い官能基に適用可能。

活性化されていないアルキンへの付加を利用して、イノンのような反応性をだせないかなぁと思いました。

JACS 2005, 127, 18002.

2006-01-17 19:45:18 | 新着論文
Gold(I)-Catalyzed Stereoselective Olefin Cyclopropanation

金触媒を用いてプロパルギルエステルからカルベン錯体を発生、オレフィンに付加させ、ビニルシクロプロパンを生成。DTBM-SEGPHOSを配位子に用いるとスチレン誘導体をシス置換のシクロプロパンへ76-94%eeで変換。

Tosteのグループ。プロパギルエステルからカルベン錯体が発生することからシクロプロパン化へと適用。ethyldiazoacetateを用いた金触媒のシクロプロパン化は報告されているらしく、シス体を作るのも珍しいのだとか。スチレン誘導体だけでなく、アリルシランもシクロプロパン化できるとのこと。

この反応を使ってつくれそうな天然物骨格を考えてみましたがいまいち。金触媒面白いですね。ホスフィン以外をあまりみませんが、ホスフィン以外の配位子だと、カルベンの反応性を大きく変えられそうなので、配位子の適用も気になります。

JACS ASAP

2006-01-15 14:25:14 | 新着論文
Total Synthesis of (+)-Cylindramide A

Cylindramide Aの全合成

鍵段階はROM-RCM-CM(ring opening metathesis-ring closing metasis- cross metathesis)を使って、ノルボルネン誘導体をビシクロ[3,3,0]オクタン骨格へ変換。不斉点は、オキサゾリジノン誘導体の不斉補助基を用いたDiels-Alderにより調整したノルボルネン誘導体の立体から。
Horner-Wadsworth-Emmonsでジエン部位を立体選択的に構築。マクロラクタム化の後、Dieckmann縮合で5員環を構築。

メタセシスが非常に上手く使われています。5,5の縮環を作る方法として覚えておこうと思いました。

JACS ASAP

2006-01-15 11:59:51 | 新着論文
The Neber Route to Substituted Indoles

αアリールケトンからアジリジンをNeber転移型で経由、熱による環拡大によりインドール形成。

生成物の位置選択性も高いようで、多置換インドール合成にかなり有用だと思います。テーブルで例が5つというのは少ない気がするので、もっと基質をふってもよいかなぁと思いました。反応機構を決めるのに重水素化フェニルや電子的に異なる二つの芳香環で検討。

Neber反応を知らなかったので人名反応の本をひいてみました。組み合わせですが非常にきれいな設計と反応だと思いました。この条件こそマイクロウェーブがひつようなんじゃないかなとも思いました。

ケトンのアルファ位アリール化とこの反応を使ってインドールライブラリーを作れないかなと思いました。リンカー部位の導入が鍵でしょうか。