有機化学にっき

気になった有機化学の論文や記事を紹介。

JACS ASAP

2006-01-17 20:03:05 | 新着論文
Palladium(0)-Catalyzed Alkylative Cyclization of Alkynals and Alkynones: Remarkable trans-Addition of Organoboronic Reagents

Pd触媒による分子内のアルキン、アルデヒドの環化、ボロン酸とのカップリングによるアリルアルコールの合成。(Alkylative alkynal cyclization) トランス付加という従来ない反応性を報告。

Pdのアルキンへの付加により、カルボニルへのビニルの付加、トランス付加を減ることによって、生じたビニルパラジウムがボロン酸とクロスカップリング。配位子の選択によって、6,5員環を作り分けることが可能。幅広い官能基に適用可能。

活性化されていないアルキンへの付加を利用して、イノンのような反応性をだせないかなぁと思いました。

JACS 2005, 127, 18002.

2006-01-17 19:45:18 | 新着論文
Gold(I)-Catalyzed Stereoselective Olefin Cyclopropanation

金触媒を用いてプロパルギルエステルからカルベン錯体を発生、オレフィンに付加させ、ビニルシクロプロパンを生成。DTBM-SEGPHOSを配位子に用いるとスチレン誘導体をシス置換のシクロプロパンへ76-94%eeで変換。

Tosteのグループ。プロパギルエステルからカルベン錯体が発生することからシクロプロパン化へと適用。ethyldiazoacetateを用いた金触媒のシクロプロパン化は報告されているらしく、シス体を作るのも珍しいのだとか。スチレン誘導体だけでなく、アリルシランもシクロプロパン化できるとのこと。

この反応を使ってつくれそうな天然物骨格を考えてみましたがいまいち。金触媒面白いですね。ホスフィン以外をあまりみませんが、ホスフィン以外の配位子だと、カルベンの反応性を大きく変えられそうなので、配位子の適用も気になります。