有機化学にっき

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開発力の低下

2005-12-29 06:01:53 | 記事
Forbes日本版 2月号「辺境からの経営改革」より

企業の衰退要因と改革を例を挙げ、ミスミの三枝匡社長と佐山展生教授の対談
その一部 開発力の低下にて

佐山「私も一時期研究者だったからわかるのですが、研究って本当に面白いんです。自然界は簡単ではなくて実験しても予期しない結果ばかりでてくる。なぜだろうと思って、どんどんのめりこんでしまうんです。しかし、それはビジネスという観点で考えたら間違っています。」
三枝「実に面白い現象なのですが、不振の会社ほど研究テーマが多いんです。(中略)この現象は、衰退企業に共通して見られます。戦略の「絵」が示されず、「絞り」がなされていないと、研究テーマも消えてしまうのです」(略)
「研究においては、途中でやめるという決断がとても重要です。研究のことは研究部門で考えろとなったら、結果的に手を広げすぎてしまいます。」(略)
「営業や顧客さえもが考えていなかった新しいものを生み出すのが、研究部門の役割です。」


某企業の面接を受けたときに「そのテーマをそこで終わらせてるのは何で」と聞かれたことを思い出した。
その後のやりとりは話が通じなかった。「3年間と時間に制限がある。学生なので様々なことを行った方が費用対効果が高いと考えている。例を増やすだけの仕事は自分の仕事ではない。」ということを言ったつもりなのだが・・・「企業は言われたことをやるだけだと思ってるのか」みたいなことを言われて、?だったのだが・・・ だったら企業研究者を希望するわけがないだろうが。
重箱の隅をつついて仕事が全体として進まなかった例を出して、この記事の結論を説明できればよかったのだとは今は思えるけどなぁ。

研究室も、所属している人数と学年、研究費を集めているテーマなどによって、新しい事はできないときもあれば、複雑な混合物を解析したり、傍目には沖に向かっても許される時期もあるのだが。

で、記事そのものは半分賛成、半分反対。研究においては、途中でやめるという決断がとても重要とのことだが、全てやりつくすためにはどうしたらいいのか?を工夫するために頭を使うのも、戦略を考える側でなく、手を動かす側としては必要だと思うんだよなぁ。実験だって数をうって初めて考察できるようになるし、時間を無駄にせず効率的な実験系を組立てるよう頭をつかうようになる気がするし。そういう観点でハイスループットやコンビケムといったテクノロジーを利用することにとても興味があるんだけれども。
集中に関しては、有名な先生を見ていると、不斉触媒一筋、xx合成一筋が多かったり、ビルゲイツがソフト一筋とか、松下幸之助が家電一筋とか、イエローキャブの野田社長が巨乳一筋とかわかるんだけども分野を決めたら徹底的にいくための手法にも目を向けるべきではないかと。


どこで聞いたか忘れた言葉で「一生懸命働くことは美徳ですが、苦しいことは苦しいだけです。いくら苦労したところで目的を達成できなければ失敗です」



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