みどりの船

絵本と絵本まわりのこと、日々の雑感を少し。

とおい星からのおきゃくさま

2007-12-05 | クリスマス絵本
クリスマス絵本といえば、そうかもしれない。
でも、どちらかというと、アイスクリームがとても印象に
残ります。

とおい星からのおきゃくさま
もいちくみこ/作 こみねゆら/絵  岩崎書店

高い山の上の一本のモミの木
そのそばの小さな天文台
ふくろうの番人
観察中のすい星

この設定だけで、次に何か起こりそうな予感です。

もうすぐクリスマスというある晩にやってきたのが、
チカチカ星のチカチカひめ。(→すばらしいネーミングだ・・・)
ふくろうが出した紅茶にお菓子を要求します。が、
ないとわかると、5分袖のワンピースの寒そうな
格好のまま、冷え切った外で、材料をかき回し、
おいしいアイスを作り上げるのです。
姫さま、なかなかやるのであります。

そのときの姫の一言には、またまた大きく共感。

 「さむいから つくるのよ。
  ふゆに、あたたかい おへやで たべる アイスクリームって、
  ほっぺたが おちるほど おいしいのよ」

ほんとうにそうなんですよね! 
高校時代、雪見だいふくを買って帰っては、こたつで
ぬくぬくしながら食べたことを思い出します。

チカチカひめが、アイスを作ったり、掃除をしたりと、
案外庶民的なのが素敵なところ。
ふくろうのユーモラスな顔と紅茶が結びつかないところも、
棚に缶を並べて、テーブルセンターなどもしいて、
案外お茶好きと想像できるところも、
ふくろうの部屋にある重厚な本が整然と並んでいるところも、
好ましいところです。

ふくろうは、チカチカひめに出会ったことで、2つのことを
思いつき、森の動物たちを楽しませます。
ふくろうさん、とぼけたお顔して、なかなかやるのです。

こみねゆらさんの乙女な絵は、うなじやあごのラインが
いつも素敵。
少女漫画のヒロインのようで、ちょっぴり憧れてしまいます。

きーんと冷えた空気感が伝わってきて、暖かい部屋で
アイスを食べながら、読みたくなる絵本♪
ほんのりかわいらしいクリスマスファンタジーです。
コメント (9)
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ミシュカ

2007-12-03 | クリスマス絵本
ツリーとともに、たくさんクリスマス絵本を出してきました。
毎年読んでいるアドヴェント形式のお話は、今年お休みすることに。
できるだけ絵本を読むことに決めたのです。

 『ミシュカ
マリイ・コルモン/作 ジェラール・フランカン/絵
  末松氷海子・訳  セーラー出版

ミシュカは、くまのぬいぐるみ。
いばりやでおこりんぼうのご主人、エリザベットに大事に
されないのが悲しくて、家出をします。
「もうぜったい おもちゃのくまなんかに ならないぞ!」

雪をザクザク踏みしめ、後ろからついてくるミソサザイを
脅かしたり、落ちていたはちみつの瓶を割って食べたり、
木の上でお昼寝をしたり・・・
自由な身を満喫していたところ、
ガンの会話で、クリスマスがどんな日なのかを
知るのです。

 「・・・今夜は クリスマスだね!」
 「・・・そうね。今夜は みんな、なにかひとついいことを
    しなくちゃ いけないのよね。」

その言葉が頭に残ったミシュカは、トナカイとの出会いで、
プレゼントを配り歩くという自分の役割を見つけますが、
それだけでいいのかなという疑問も残ります。

最後のラストシーンでは、大きな大きな決断をすることに・・・。
文章にも、絵にも、胸が熱くなってじいんとします。

クリスマスってこういうことなんじゃないかな・・・。
クリスマスのメッセージがたくさんこめられたおはなし。
素直なミシュカの気持ちが、ストレートに響いてきます。
次の日の朝の、静かで豊かな喜びが想像できて、
とても幸せな気持ちになるのです。

            

おはなしと離れて、絵本について・・・。
この絵本は、あとがきにもあるように、フランスのペール・
カストール文庫の中の一冊です。

”ポール・フォーシェという人が 当時さかんになった
 新しい教育運動に共鳴し、子どもの自発性や感受性を大切に
 育む手段として創造的な子どもの本を作りだした・・・” 
その実現のために何人もの画家が集まった中でフォーシェを
魅了したのが、ロジャンコフスキーなのだそうです。
ロジャン(ロジャンコフスキー)の描いたカストール・
シリーズは30冊近く。
この絵本も、ロジャンが描いたものだったのに、
ハードで再販されたとき、なぜかロジャンの絵ではなく、
模写のような形で描かれたとか。その真相は?・・・わかりません。
 
再販版のもともとの色合いもわかりませんが
ロジャンの色合いとはまた全くイメージが違います。
ただこの絵を描いた方も、カストール学校の優等生だったそうで、
構図やデザイン、配置など、多くのイメージは同じように
表現されています。
もちろん、違いはあって、好みが分かれるとは思うのですが・・・
フフ、どちらがお好みでしょう・・・!?



左:ジェラール・フランカン/絵  右:ロジャンコフスキー/絵
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クリスマス・イブ

2006-12-24 | クリスマス絵本
今日はイブですし、大好きなこの絵本を!

 「クリスマス・イブ

マーガレット・ワイズ・ブラウンの文に、イタリアの
ベニ・モントレソールの絵。 
訳は、大好きなやがわすみこさん。(ほるぷ出版)
オレンジと黄色で表現される、華やかであたたかい
クリスマス・イブの情景は、本当に美しい・・・。
静かで、喜びとどきどきに満ちたおはなし。

イブの真夜中。
しんしんと降り積もる雪。
寝ている両親をよそに、寝付けない子どもたち4人。

いろんな想像で頭がいっぱいになっている子どもたちは
とうてい寝てなんかいられません。

両親を起こさないように、息をひそめて
寒くないように、たくさん着込んで
ベッドを抜け出し、階段を降りて、居間のツリーを
めざします。

すばらしいツリーに、暖炉の残り火
その前にぶらさがる4人のくつした
ツリーの下のプレゼントの数々・・・・。

手をのばせばすぐ手に届くそのすてきなものたちを
ただただ黙って、子どもたちは見守ります。

なんてどきどきするんでしょう!
密やかで、音ひとつない静寂の中、聞こえてきたのは
おもてで誰かが歌う「きよしこのよる」
雪の降り積もる音さえ聞こえてきそうな夜です。

子どもたちだけの秘密が、たっぷりつまっています。

この絵本、数年前に復刊されたのです。
とてもうれしかった!
わたしのは、表紙が色あせてしまっていてカバーもなく、
でもいつかのときには、買いなおせると心強く思った
のでした。

最後のページのクリスマスキャロル、もと歌はなんだろう?と
いつも疑問で、歌いたくてたまらないのですが、
わからずじまい。
知っていたら、ぜひ教えてください!

           

今日は、山の上の修道院ミサへ子どもたちと行ってきます。
夫はたとえ24日が休日でも、頑として教会へは行かない
人なので、子どもたちだけ連れて、夜ミサへ。
クリスマスとイースター(復活祭)だけは、日頃
不信心なわたしも、教会に足を運んで神聖な気持ちを
味わいたくなります。

実家がカトリックで、祖母、父母、兄弟4人、
車に乗り切れない人は、バスで教会へ・・・。
みんなで教会へ行き、グレゴリオ聖歌のミサに出て、
密蝋燭が赤々と灯る、長くて眠くて
高揚感のある夜を過ごすのが、子どもの頃の習慣でした。
ミサのあとには、併設の幼稚園ホールでティーパーティ。
日曜学校で練習してきた降誕劇を披露します。
慌しくて、とても眠くて・・・でもやっぱりうれしい
クリスマス・イブ。
サンタさんを見たくても、まぶたはすぐにくっついて
しまうのでした(笑)

さぁ、今晩は忙しいです!

帰ってきたら、サンタ時間間近ですしね♪
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おもちゃ屋へいったトムテ

2006-12-23 | クリスマス絵本
今年は24日のイブが日曜日。こういう年も珍しいですね。
今日の土曜日は、おもちゃ屋さんも混んでいたので
しょうか。

 「おもちゃ屋へいったトムテ
エルサ・ベスコフ/作  ささめやゆき/絵
  菱木晃子/訳  福音館書店

北欧では、自分のうちの床下や納屋に小人が住んでいて、
その家の家人や家畜を守ってくれるのだそうです。
スウェーデンではそんな小人のことを”トムテ”といい、
ノルウェーあたりでは”ニッセ”と呼ばれるらしいです。
このおはなしは、そんないたずらな子どもトムテ
「ヌッセ」のおはなしです。

ある田舎で、お人形を作っている二人のむすめさんの
うちに住むトムテ家族。
クリスマス二週間前のある月夜、とうさんトムテが、
家の中の見回りに出かけた隙に、ニッセとヌッセの
二人の息子はベッドを抜け出します。
むすめさんたちの仕事場に入り込んで、人形の服を
自分たちで着てみることにしたのです。
ヌッセはその赤い服がたいそうのお気に入り。
ニッセの心配をよそに、いっこうに帰る気配がありません。

そんなときに限って、眠れないむすめさんの一人が
おきてきて、お人形を梱包しはじめるのです。
ヌッセ、絶体絶命の大ピンチ!

結局、おもちゃ屋に連れて行かれたヌッセは
ショーウィンドウに飾られ、お人形のふりをすることに・・・。

元来、いたずら好きなヌッセがとった行動、
その後の男の子との出会い、もとの床下に戻れる経緯、
むすめさんたちの経済的な潤い・・・。
めぐりめぐって、万事うまくいく、わくわくどきどきな
おはなしです。
ヌッセのいたずら加減ときたら、結構はらはらさせられます。
でも、案外と情に厚いところが憎いのですよ。

ささめやさんの絵がまたいいなぁと思います。
大好きな「ブルーベリーもりでのプッテのぼうけん」や
「おひさまのたまご」「おりこうなアニカ」などなど・・・
たくさん絵本を書いているベスコフの、縦書き童話です。

スウェーデンでは、「トムテ」という有名な詩があって
広く愛唱されているようです。
絵本「トムテ」は残念ながら、今は品切れ状態。
でもなかなか素敵な世界です。
(去年の記事はこちら
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ビロードうさぎ

2006-12-20 | クリスマス絵本
あるクリスマス、ぼうやのもとにプレゼントとして
やってきたぬいぐるみのビロードうさぎが、
"本物”になる夢をみます。

 「ビロードうさぎ
マージェリィ・ウィリアムズ/文 ウィリアム・ニコルソン・絵
いしいももこ/訳   童話館出版

このうさぎのぬいぐるみは、ぼうやの持っている
おもちゃたちと一緒に暮らしながらも、ぜんまいもなく、
動くわけでもない自分のことを
「たいへんつまらない、見ばえのしないものなのだ」
と思い込んでいます。
でもそんなうさぎに、話をして聞かせるのが、
ずっと昔からの子ども部屋の住人である馬。

馬は長いこといて、機械じかけのおもちゃが
どんなにいばっていても、やがて捨てられていくのを
目の当たりにしていたので、“本物になる”ということが
どういうことなのかを、うさぎに話して聞かせます。

 とてもながいあいだ、しんからかわいがってもらったら・・・
 ほんとうのものになる


心からかわいがってもらった末に、ほんとうの馬になった
木馬のことをうらやましく思いつつ・・・
うさぎは、自分の外見が傷まないで、その願いが
かなえられたらいいのに・・・と思います。

でもある日、些細なきっかけからぼうやにとても
かわいがられるようになり、共に遊び、共に寝て
ぼうやにとっての”ほんものの”うさぎになります。
幸せな日々、幸せな時間。
しかし不本意な突然の別れによって、うさぎは捨てられ、
身も心もぼろぼろに・・・。

そこに起こった奇跡が、胸をうちます。
子ども部屋の妖精の素敵な魔法によって、
今度こそ「ほんもの」のうさぎになるのです。

このおはなしを読むと、うさぎの気持ちが切なくて
たまらなくなります。
最後にぼうやにあれ?と思ってもらっただけで、
幸せだったのだろうか。多分そうなんだろうな。
でも、本当はもっとちゃんと気づいて欲しかったの
ではないかしら・・・ いろいろ考えてしまいます。

強く強く望んで、最後にかなえられた願い。
クリスマス時期に読み返したいおはなしです。

石井桃子さんが、50年の時を経て新訳で再び出された
この大判は、絵も染み入るように心に残ります。
岩波の子どもの本版「スザンナのお人形/ビロードうさぎ」
として出ていた頃から好きなおはなしで、
手元にあったにもかかわらず、やはりこの大判を
求めてしまいました。紙ざわりも紙の色もいいんですよ♪

石井桃子さん、来年3月で100歳になられるとか・・・。
ファンとしては、ますますのご活躍が本当にうれしいです。
(百まいのドレスも気になります←「百まいのきもの」
 改訳版)

そして・・・もうひとつうれしいこと。
次の記事に書きますね♪
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ファーザークリスマス

2006-12-14 | クリスマス絵本
ファーザークリスマス
  サンタ・クロースからの手紙     評論社

 J.R.R. トールキン 瀬田貞二/田中明子・訳

今年もやっぱりクリスマス本を買ってしまいました。
もうこれは買わずにはいられなかったのです。
(ふふ、自分へのクリスマスプレゼント・・・
 これだけじゃないのですけど

この絵本は、あの「指輪物語」のトールキンが
毎年毎年わが子たちに、サンタになりかわって書いた
絵入りの手紙集なのです!
しかもその手紙は20年以上も続けられたという・・・。
美しい絵と、それに添えられたサンタのふるえるような
直筆文字の数々。
あ~、トールキン家の子どもたちは、なんて
幸せなクリスマスを過ごしていたんでしょう。

以前、同じ評論社から出た「サンタ・クロースからの手紙」は
2種類あって、一つは原書版に近い大きさのもの、
一つは、少し横長小さめサイズの封筒つき(封筒の中に
手紙が入っている体裁)だったのです。

わたしはずいぶん前に、この封筒つきのほうを
古書店で安く手にし、その時にもずいぶん感激したのですが
今回は絵本版で割愛されていた1920年から
1925年までの5年分と、1939年から
1943年までの4年分が新たに加えられて、
手紙の全文が載っているというではないですか!
 なんということでしょう 
今すぐ見たい、じっくり見たい・・・
ということで、ただ今少しずつ読み進めているところ。

まだ全部を読み終わっていないのですが・・・
これは、買ってよかったー♪

毎年毎年の手紙が、一つの続き話になっていて、
絵本版ではわからなかった北極ぐま(サンタのお手伝いを
している)の手紙部分も、よくわかるようになっています。
サンタのふるえ文字、美しい水彩画・・・こんな素敵な
手紙で、トールキン家の4人の子どもたちだけでなく、
わたしたちまで楽しませてもらえるなんて、
とてもとても幸せな気分です。

ちょうど後半期は戦争の影も見え隠れしています。
どのあたりからか、ゴブリンやエルフも登場していたりして、
指輪物語好きにはまたうれしい演出です。

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しあわせなモミの木

2006-12-07 | クリスマス絵本
 「しあわせなモミの木
シャーロット・ゾロトウ/文 ルース・ロビンス/絵
    みらいなな/訳   童話屋

12月に入ったとたんに、気ぜわしくていけません。
本当はこの絵本に出てくる、クロケットさんのように
過ごしたいのにな・・・・。

このお話は、身なりも世間体もまったく気にしない
クロケットおじいさんと、クロケットさんに見出されて
再生したモミの木のお話です。

お金持ち通りの空き家に越してきたクロケットさんは
自分で窓をふき、階段の汚れを落とし、
家の前の土を掘り返して、手入れをします。
そんなクロケットさんを見て、かわった人だと
顔をしかめるばかりの、近所の大人たち。

クリスマスイブに通りかかった花屋さんで、
枯れて奥に置かれているモミの木が、自分と似ている
ように思えたクロケットさんは、
ただで言いという店主の言葉をよそに、
そのモミに似合う金額を置いて、店をあとにします。

冬の間は、家の日のあたるところで。
春になったら、根の土をほぐして、家の前の土に植え、
また次の冬にはわらのお布団で保護して・・・

クロケットさんは、人がどうささやこうと
淡々とするべきことをしていきます。
大人には奇異にうつることも、小さなデビッドだけは
最初から好ましく思えたし、クロケットさんのことが
大好きだったのです。
子どもには、敏感にそういうことがわかるんだ・・・。
その大人がどういう人かってことが、きっと瞬時に
よくわかるのが子どもなんですよね。

クロケットさんが何年もかけて世話したモミの木は
通りのどの木より元気で、鳥が集う木になり、
ある日ようやく、その木の下で優しいクリスマス
キャロルの歌声が響き渡るのです。

ゾロトウのお話って、どうしてこんなに染み入るんでしょう。
静かで、慎ましくて、クリスマスの本質って
こんなところではないかしらと思います。
ゾロトウのおはなしって大好き。
物事の何が大事かがしみじみ伝わってきて、気持ちがいいです。

この絵本の紙面は、うすいパステルカラー(ピンクや
きいろやオレンジ、草色、水色・・・)と白がうまく
使われていて、その色のあたたかさも素敵です。
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シモンとクリスマスねこ

2006-12-01 | クリスマス絵本
今日から12月。
クリスマスを待ちながら、毎日を過ごす月。

今日はこの本から。
 「シモンとクリスマスねこ
レギーネ・シントラー/文 ジータ・ユッカー/絵
 下田尾治郎/訳  福音館

このお話は、クリスマスまでの24のおはなしが
つまっているので、毎年1日にはひっぱりだしてきて
毎日1話ずつ読み進めていく、アドヴェント形式の
お話です。

去年も実は書いたけれど、押入れからの発掘が遅れて
4日になってようやくよみはじめたので、
今年こそリベンジ。
(去年の記事 

1日目のおはなしは、24までの数を数えられない
シモンが、お父さんのアイディアで24まで
数えられるための工夫をするというお話。
なぜ24かといえば、24寝ないとクリスマスが
やってこないから・・・。
でもどうしたって、5まで数えると、次は「きゅう・・・」
となってしまうシモンなのです。
やけになってお父さんに助けを求めると、飼い猫の
フローラにしまがあるのを見つけたお父さんが、
フローラのしっぽを使って数えることを提案するのです。

他のどのお話も、どこか不思議な雰囲気がただよっていて、
ときどき詩もあり。
静かな中に小さな喜びがいっぱいつまっている
お話が多くて好きです。
クリスマスって、「待つ」期間ですものね。

このハード版は今は出ていないようです。
(Amazonの中古で出ていますが・・・)
現在出ているのは、文庫版 
シモンとクリスマスねこ

14日のおはなしの挿絵が表紙絵になっています。


さて、我が家の今年のアドヴェントカレンダーは2つ。


気になってしぼれず、結局両方あけはじめました
子どもたちが、ひとつずつあけることになるんだろうな。
ちなみに、今日はわたしがあけました。ふふ

 
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こうさぎのクリスマス

2005-12-22 | クリスマス絵本
 松野正子 作/荻太郎 絵  福音館書店

いつだったか、こどものともの原画展に行ったとき、
この絵本の原画を見ました。
クレヨンと水彩で描かれるタッチが美しくて、いいなぁと
思ったけれど、すでに手に入らないもので、あきらめていました。
その後ひょんなところでこの絵本と出会い、難なく手元に置くことに
なったのです。
こういうこと、わりとあるのですよね。
思いが通じるというか、願っていると向こうからやってくるというか。
あ・・・しつこいってのもあるかもしれませんが。

             

うさぎの兄妹のうちには、お父さんもお母さんもいません。
きつねにおいかけられていなくなってしまったのです。
他の動物たちのうちには、きれいなクリスマスツリーがあって、
クリスマスのごちそうのにおいまで流れてきます。
妹のルビーが兄のラビーに、「もうすぐクリスマスね。
サンタクロースのおくりものはなんだとおもう?」と聞きます。
ラビーは、とうさんとかあさんがいなくて、ツリーもかざってない
うちなんか、サンタクロースだって気づかないから、来ないよ
と答えてしまうのです。
その晩、ルビーもラビーもなかなか眠れません。
ルビーもラビーもお互い、プレゼントがもらえなかったら、さぞ
落胆するだろうと思い、何かできないか考えるのです。
翌日、2人はこっそり材料を集め、それぞれ夜なべしてプレゼントを
用意します。
ラビーは、まつかさやどんぐりでお人形を、ルビーはこけやくさを
つめて小さなクッションを作り上げました。
ラビーは、かなづちで手を打ちながら・・・
ルビーは、はりで指をさしながら・・・
そうしてやってきたクリスマス当日、プレゼントに喜んだ二人の
もとに、待ち望んでいたものがやってくるのです。

このお話、絵もいいしお話もいいな。
クリスマスが単にものをもらうだけの日ではないことを、改めて
考えさせられます。
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トムテ

2005-12-21 | クリスマス絵本

 
 ヴィクトール=リードベリ詩/ハラルド=ウィーベリ絵 
    山内清子訳  偕成社(品切れ)
                                                                           
北欧では、納屋や古い家の床下などに小人(トムテ)が住んでいて、
その家の家畜や人を守ってくれるという。
この絵本はそのトムテのつぶやきが、詩という形で表現されています。
あとがきによれば、スウェーデンの詩人・リードベリが
1882年に発表したこの詩は、今日でも広く
スウェーデンの人に愛されていて、
大晦日の夜に、ラジオで朗読されているのだそうです。

流れるような趣のある詩に、美しいウィーベリの絵が
ぴったりよりそっていて、静かな雪国の静寂さが
伝わってくるようです。

クリスマス・イブの日、トムテを大事に思う家人は、
トムテのためにおかゆをうつわによそって、
納屋や馬やや仕事場に出しておきます。
そうしないと、トムテがいたずらをするかもしれませんから。
スウェーデンで「トムテ」と言われているこの小人、
ノルウェーやデンマークへいくと「ニッセ」と言われるのですね。

ウィーベリの描くトムテは、白いひげを足先までのばし、
赤いボンボンつきの帽子をかぶった、鉤鼻のずんぐりした
おじいさん風。
そのトムテが農場の夜番をしながらつぶやきます。

 「わしにはまだ、どうもよくわからん」

トムテは昔から、ここのこどもたちのお父さんがこどもたっだときも、
おじいさんがこどもだったときも、
ひいおじいさんがこどもだったときも、
ずっとずっとこどもたちを見守ってきたのです。
でもトムテには不思議に思える難問がひとつ。

 ひとはどこからくるのだろう。
 こどもがおやになり、またそのこどもがおやになる。 
 にぎやかにたのしくくらし、としおいて、 やがていってしまう。 
 だが、どこへいくのだろう。

かすかに聞こえてくる滝の響きを聞きながら

「どこへながれていくのだろう。みなもとはどこだろう。」と考えるのです。

答えは出ず・・・。静かに静かに雪景色の夜はふけていきます。

不思議な余韻のある絵本です。
最初手にとった15年前より、今のほうが、格段にこの絵本を
味わえるようになったことがちょっとうれしい。
なのにこの絵本、今は品切れなのですね。残念!

トムテといえば、お人形のふりをしたトムテの息子が、
おもちゃやに売られてしまう、ベスコフの
「おもちゃやへいったトムテ」も楽しい読み物です。


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メリークリスマス

2005-12-20 | クリスマス絵本
 
R.B.ウィルソン文/ 市川里美 画
 さくまゆみこ訳  冨山房

副題に~世界の子どものクリスマス~とあるように、
この絵本の中には、いろいろな国のクリスマスの
祝い方・準備の仕方が描かれていて、
各国のイベントや言い伝えなどを、読んで楽しめる
絵本です。

しかしこの絵本!まだ”チェコスロバキア”の
表記があるほど前のもので、奥付を見ると
1983年初版です。
ざっと20数年前のものなので、
今もここに書かれて(描かれて)いるとおりかと言えば、
もしかしたら違うのかもしれません。

とりあげられている国は、イギリス・アメリカ、
ドイツ、オランダ、ポーランドとチェコスロバキア、
フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、
ソビエト連邦、フランス、イタリア、ギリシア、
メキシコ、インド、日本、オーストリアの17カ国。

今となっては名も違う国もありますが、みな
それぞれ祝い方があるのですね。
この絵本を読むまで、ヨーロッパなどはどこでも
同じように祝うのかと思っていましたよ・・・

クリスマスにヒイラギをかざるようになった
もとのお話や、クリスマスにくつ下をぶらさげるように
なったわけ、ノルウェーのニッセ小人のことや
スウェーデンのルチア祭、メキシコのポサダなど、
へぇ~と納得するエピソードがたくさんです。

そういえば、食べ物も出てきます。
よく耳にするしょうがクッキーやクリスマスプディング
などのほかに、冷凍パイシートとマジパンで作る
オランダの文字ケーキのレシピなどもあり。

チェコではクリスマスに鯉を食べると聞きましたが、
日本人の口には合わないらしい・・・
実際はどうなのでしょうね。

我が家もささやかながら続けているのが、クッキー作り。
ジンジャーとは限らないけれど、12月に入って
クリスマスまでに2回ほど焼くのです。
今年はまだ一度も焼けず、22日に作る予定。

現実は、雑務に追われてお尻に火がついている
状態なので、純粋にクリスマスだけを祝うムードでは
ないのが残念ですが。

近い将来はムリとしても、遠い未来にでも・・・
いつかドイツのクリスマス市に行ってみたいなぁ。
ホットワインを飲みながら市で買い物し、
静かにクリスマスを過ごすのが密かな夢です。
でもそうなったら、お正月のあの雰囲気を
恋しがるのでしょうね。


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思いがけない贈り物

2005-12-19 | クリスマス絵本

 
エヴァ・ヘラー作/ミヒャエル・ゾーヴァ絵 
  平野卿子訳   講談社

アドヴェント・クランツも、いよいよ4本目のろうそくが
ともる今週。
ラジオからはひっきりなしに、ワムや山下達郎の定番
クリスマスソングが流れていますね。
この週末、すでに上の人には、義父からのクリスマス
プレゼントが届きました。
義父からのプレゼントについては、いつも思うところが
あるのですが、それはソレとして・・・
孫を喜ばせたいという気持ちはありがたく
いただこうと思っています。
でも、「そちらで調達してやって。あとでお金送るから」
というのはお願いだからやめて~。
だってだって、それではプレゼントの意味が・・・
心がぁ・・・・とブツブツブツ・・・・
いろいろ言いたいことがつのって。
ついに・・・・お話しました。
真意が伝わっていればいいけれど。義父はよくわからなかったみたい。

そんないろいろなことを考えていると、やっぱり真実はここでしょう
と思うのが、『思いがけない贈り物』です。
ゾーヴァのリアルで端整な絵が、お話にぴったりだなぁと思います。

              

クリスマスイブの夜、仕事を終えたサンタクロースの手元に、
ひとつのお人形が残っています。
サンタは使命感が強く、今年お人形をもらわなかった女の子
6人と大勢の男の子をパソコンではじき出します。
でもその数の多さにびっくりし、とりあえず打ち出された最初の
6人の女の子と男の子2人のうちを、順々にめぐります。
どこへ行っても、お人形を心から欲しがっている子に
めぐりあえないサンタは、途方にくれて、友人の
ミセス・ハッピーのところに電話するのです。
そこに偶然居合わせた、ミスター・ラブの言葉

 「もし『これがあなたへのプレゼントですよ』といえないくらいなら、
 いっそあげないほうがいい。あげないほうがいいですよ」 

に、ドキッとするサンタクロース。
これは忘れてはいけないよなぁと自戒をこめて思うのです。

「モノがあふれる現代、
 相手を本当に
 幸せにする贈り物とは?」

これは、この絵本の帯の言葉。
そういう思いで一生懸命相手のことを考えてプレゼントしたいなぁ。
願わくば、そういう思いのプレゼントを受け取りたい!とも思うのです。

お話のお人形は、もちろんハッピーエンドです。
ちゃんと、望まれたところに送り届けられるのですから! 


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聖なる夜に

2005-12-18 | クリスマス絵本

ピーター・コリントン/作 BL出版

昨日に引き続き、ピーター・コリントンの
文字なし絵本です。

「聖なる夜に」原題 A Small Miracle

まさにクリスマス・イブに起こった奇跡のお話です。

床板のこわれたトレーラーハウスに住むおばあさんは、
イブの朝、食べるものもたきぎもお金もないことに気づき、
ありったけの服を着て、
愛用のアコーディオンを持って出かけます。

教会には聖家族の人形が置かれ、街はクリスマスの
買い物で忙しそうに行きかう人でいっぱいです。

でも、その街角でアコーディオンを弾くおばあさんに
気をとめる人は誰一人としていないのです。
仕方なくおばあさんは、愛用のアコーディオンを
質に入れお金にかえますが、外に出たとたん、
バイクに乗ったひったくりに、
なけなしのお金をとられてしまうのです。
おばあさんはトボトボと教会へ向かいます。

そこに出くわしたのが、さっきのひったくり。
おばあさんは、教会の献金を取り返し、
教会の鍵をしっかりかけます。
ふりかえって中を見てみれば、クリブ(馬小屋)と
聖家族の像は、無残にも蹴散らされ、
ばらばらに横たわっています。
おばあさんは、一体一体を両手で大事そうに抱えて
元通りにし、献金も横に戻して、教会をあとにします。
が・・・
雪が降る中、もう何の力も残っていないおばあさんは、
家に行き着く前に倒れてしまうのです。

その後起こることがまさに奇跡!
あー、おばあさん本当によかった。

いつも弱いものに目を向けられる細やかさと、
悪に対して毅然と立ち向かう正義感。
大事なことだなぁと思います。
シンプルだけど、実際は難しいこと。

せめてクリスマスくらい、正直な心持ちで迎えたい!と
思っています。
それと、せめてクリスマスを迎えるこの一週間、
胸が痛くなる事件が起こりませんように。

少々疲れ気味のトゲトゲしがちな心を、
少しやわらかくしたいなぁと
この絵本を見ながら思ってしまいました。
コメント (2)
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天使のクリスマス

2005-12-17 | クリスマス絵本
 
ピーター・コリントン/作 ほるぷ出版

ピーター・コリントンの文字なし絵本です。
コマ割りの絵だけでお話は進みます。

巻末の江國香織さんの言葉にあるように、
不思議と「気配」や「音」が伝わってくるような
気がする絵本です。

上の人が小さいとき、「煙突がないおうちに
サンタさんはどうやってくるの?」と言っていましたが、
そんな疑問にも見事に答えてくれます。

女の子はイブの夜、プレゼントのリストを書いて
くつしたの上において眠ります。
眠ったことを確認した守護天使(私は妖精かと思っていた)が
リストをチェックし、ツリーのキャンドルをともし、
部屋の鍵をあけて他の天使たちを誘導します。

その一つ一つの仕草や表情がとても愛らしい。

大勢の天使たちが、ひとつずつキャンドルを
手にしてすることは、サンタクロースの道案内役です。

このサンタクロースがまたちょっとぬけていて、
ドサッとプレゼントを落として音をたててしまいます。
でもそれもご愛嬌。
どんぐりのような目をむき出してギョッとする
サンタクロースは、守護天使の魔法で、
危機一髪のところをきりぬけます。

最後の場面で、一仕事を終えた守護天使が、
暖炉の前で紅茶を飲みながらくつろぐ様子は、
雪が降る外の寒さと対比されて、とってもあったかです。

クリスマスイブの夜、自分の寝たあとで
こんな大仕事がなされていると思うと、
ちょっとわくわくしてしまいます。
それも守護天使の小さな足音さえ聞こえてきそうな
静かな夜に。
今は、そんな静けさを探すことさえ、
難しいかもしれません。

そういえば・・・守護天使とサンタクロースが
女の子のプレゼントリストをチェックしている場面で、
「こんなにプレゼントもらえるの、いいなぁ」と
ひどくうらやましげでしたっけ。

さてさて、我が家のサンタクロースさんは、
どういう形でやってくるのでしょうか。


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クリスマス人形のねがい

2005-12-16 | クリスマス絵本

 
  ルーマー・ゴッデン/文  バーバラ・クーニー/絵 
     
掛川恭子/訳   岩波書店

2001年に出されたこの大型絵本は、絵本としてはテキストも多く、
読み応え十分のクリスマス絵本です。

”心から強く願えばその願いはかなえられる、
 奇跡は起こりうる”
ということが、

孤児アイビーと、クリスマス人形のホリー、小さい女の子がほしい
ジョーンズ夫人の不思議なつながりを通して語られます。

ホリーは、赤いドレスに赤いくつ、緑のペチコートとソックスという
クリスマスカラーのお人形。
ハシバミ色のガラス目は開けたり閉じたりできるし、
陶器の歯は小粒の真珠のようです。
イブまでに買ってもらわないと、クリスマスのおくりものには
ならないことを、昨日出されたばかりのホリーは知りません。

まわりのお人形たちに話を聞く中、アブラカダブラという
大きくて怖くて意地の悪いフクロウは、
ホリーに否定的なことばかり言って聞かせます。

でも、ホリーはあきらめず、クリスマスのおくりものとして
選ばれることをおねがいし続けるのです。

一方、セント・アグネスという孤児院では、
30人の孤児たちが一緒に暮らしていました。

でもクリスマスの3日間は、みな親戚の人と過ごすため、
むかえの人が来たり汽車に乗せられたりしています。

アイビーは、6歳の女の子。
緑色のコートと赤い手袋を持っています。
まさにクリスマスカラーです。
でもこのアイビーと一緒に過ごそうとまねいてくれる親戚は
いません。
アイビーは、「かまわないもん。」といいますが、
胸のおくはからっぽ・・・チクチクさすような痛みが走ります。
最後まで残っていた男の子に、アップルトンにいる
おばあちゃんのうちに行くから平気だと言ってのけますが、
それは、そんな町があるのかどうかわからないまま、
口から出た言葉でした。
おばあちゃんなんていないのはみな知っていることでしたし。
でもなぜか、アップルトンのおばあちゃんちに行くんだと
アイビーは強く思っています。

そして子どもがいないジョーンズさんは、今年はなぜか
クリスマスを祝う気持ちが沸き起こり、むずむずしています。
ツリーを買って飾り物も買って、キャンドルも買って。

帰宅途中でどういうわけか、赤いドレスのお人形ホリーに
目がとまるのです。
でも「きれいなお人形」と少し見入っただけで、
買うことはありませんでした。

このお人形のホリー(ヒイラギ)と孤児アイビー(つた)、
小さな女の子が欲しいジョーンズさんの3人が、
それぞれの願いを強く願った結果!
すべてがかなうラストシーンでは、胸がじーんとしてしまいます。
点だったものが線でつながって、あるべきところにおさまった
・・・というような安堵感。
寒かった心と体が、暖炉と食べ物とで一気にあたたまり
ほぐれていくような安心感です。

たった一つの望みがかなえばそれで十分すぎる幸せ・・・
ふだんすっかり物欲の奴隷と化している自分にとって、
ハッとする真実です。

 クーニーの誠実で端整な絵は、ゴッデンのお話の世界を
あますところなく描いていて、本当にステキです。
まさにこのお話にはこの絵という気がします。

読んでいるうちに、アイビーやホリーの胸の痛みを一緒に感じ、
最後には思わず涙してしまう大好きなクリスマス絵本です。


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