みどりの船

絵本と絵本まわりのこと、日々の雑感を少し。

しあわせなモミの木

2006-12-07 | クリスマス絵本
 「しあわせなモミの木
シャーロット・ゾロトウ/文 ルース・ロビンス/絵
    みらいなな/訳   童話屋

12月に入ったとたんに、気ぜわしくていけません。
本当はこの絵本に出てくる、クロケットさんのように
過ごしたいのにな・・・・。

このお話は、身なりも世間体もまったく気にしない
クロケットおじいさんと、クロケットさんに見出されて
再生したモミの木のお話です。

お金持ち通りの空き家に越してきたクロケットさんは
自分で窓をふき、階段の汚れを落とし、
家の前の土を掘り返して、手入れをします。
そんなクロケットさんを見て、かわった人だと
顔をしかめるばかりの、近所の大人たち。

クリスマスイブに通りかかった花屋さんで、
枯れて奥に置かれているモミの木が、自分と似ている
ように思えたクロケットさんは、
ただで言いという店主の言葉をよそに、
そのモミに似合う金額を置いて、店をあとにします。

冬の間は、家の日のあたるところで。
春になったら、根の土をほぐして、家の前の土に植え、
また次の冬にはわらのお布団で保護して・・・

クロケットさんは、人がどうささやこうと
淡々とするべきことをしていきます。
大人には奇異にうつることも、小さなデビッドだけは
最初から好ましく思えたし、クロケットさんのことが
大好きだったのです。
子どもには、敏感にそういうことがわかるんだ・・・。
その大人がどういう人かってことが、きっと瞬時に
よくわかるのが子どもなんですよね。

クロケットさんが何年もかけて世話したモミの木は
通りのどの木より元気で、鳥が集う木になり、
ある日ようやく、その木の下で優しいクリスマス
キャロルの歌声が響き渡るのです。

ゾロトウのお話って、どうしてこんなに染み入るんでしょう。
静かで、慎ましくて、クリスマスの本質って
こんなところではないかしらと思います。
ゾロトウのおはなしって大好き。
物事の何が大事かがしみじみ伝わってきて、気持ちがいいです。

この絵本の紙面は、うすいパステルカラー(ピンクや
きいろやオレンジ、草色、水色・・・)と白がうまく
使われていて、その色のあたたかさも素敵です。
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16 コメント

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へぇ~・・・ (nao-yuuka-ayuchan5)
2006-12-08 00:12:19
ゾロトウさんのお話だったんだ!
私も、この絵本探していたところで
まだ出会っていなくて読んだことがありません。
でも、私も大好きな作家さんの絵本と知ったら
益々、読んでみたくなりました。
探して読んでみますね!
素敵なクリスマス絵本の紹介、ありがとうございました。
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もみの木 (ペンギンブルー)
2006-12-08 01:30:15
フラニーさん、こんばんわ。
「しあわせなモミの木」というタイトルをみてアンデルセンの「モミの木」を思い出しちゃいました。
ちょっと、かわいそうになるアンデルセンの「モミの木」と対照的に、
本当、このモミの木は幸せものですね。
お話自体が優しさと、人間として大切な事、が溢れていますね。
クロケットさんのように生きていきたいものです。
シャーロット・ゾロトウさんっていっぱいお話でているんですね。
私は「うさぎさんてつだってほしいの」「まっててね」しか読んだ事ないのですが、どちらも大好きです。
この絵本も是非、読んでみたいと思います。

PS.「みどりの船」の件、ありがとうございます。
私の読書感想文みたいな記事になると思いますが...書かせていただきます☆
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クリスマスですね (うっちゃん)
2006-12-08 03:02:08
本当。日本のクリスマスって華やかで賑やかでそれも楽しくていいんですけど
しんしんと雪が降る中で神聖な気持ちで迎えるのが正しいのかもしれませんね。

今フラニーさんもお忙しいのですね。
師走・・・。ですもの、お互い無理をせずにいきましょう♪

↑ペンギンブルーさんの「みどりの船」の記事楽しみだな。
うちの息子は今日やたらこの絵本について言ってました。
また図書館で借りて読みたいそうです。
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Unknown (maruko)
2006-12-08 14:52:39
あ~フラニーさんありがとうございます♪
私この本大好きなのです!
そして昨晩読んだばかりなのです~←興奮状態
「静かで慎ましい、クリスマスの本質」なんてすてきな表現、もううなずくばかりです
クロケットさんの静かで孤独な暮らしの中
年月とともに大きくなるもみの木とともに
増えていく集う小鳥や子供たち
彼らにはわかってるし、クロケットさんと共有してるんですよね
本当に美しいもの、大事なものを…

この小ぶりなサイズがまたいいんですよね♪
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気持ちは通じる (S. Yard)
2006-12-08 15:05:10
今日、書店でこの本を見つけてました。トラディッショナル・クリスマスで、本来のクリスマスの精神をクロケットさんを通して伝えたかったのではないかと思いました。
クリスマスの時期になると、「慈愛」や「優しさ」の話題が自然と多くなりますが、やはり日頃の人の気持ちのあり方が問われるでしょう。モミの木もクロケットさんが、長年、愛情を持って育て来たからこそ最後の結末に至ったのであって、「即席ラーメン」流では深みはありません。
何でも即決第一の世の中だからこそ、こういう話は大事に受け継いでほしいと思いました。
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ゾロトウ (ひろのしん)
2006-12-08 15:53:47
ゾロトウの本はすごくやさしいですよね~。
やさしすぎてなんだか涙が出てくるほど。
この絵本は読んだことがないので、これも要チェックですね。
もみの木を扱った本は他にもいくつかありますが、「ちいさなもみのき」は好きです。
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●nao-yuuka-ayuchan5さんへ (フラニー)
2006-12-09 00:42:48
nao-yuuka-ayuchan5さん、そうなのですよ。
このおはなしはゾロトウさんの文なのです。
nao-yuuka-ayuchan5さんもゾロトウ好きなんですね。
派手派手しくはないけれど、いつもまっすぐに届く何かがあって、大好きな作家さんです。
この絵本は装丁も丁寧ですてきなので、ぜひぜひ。
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●ペンギンブルーさんへ (フラニー)
2006-12-09 00:48:44
もみの木といえば、やっぱりアンデルセンですもんね。
気づかなかったけれど、わたしの手持ちのクリスマス絵本には、やっぱりもみの木話がいくつもあって、つくづく木の話好きなんだわと思います(笑)
ゾロトウさんのおはなしはたくさん出ているけれど、本当にどれも好きですよ~。
地味だけど、静かな喜びに満ちているお話、好きなんです。

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●うっちゃんへ (フラニー)
2006-12-09 00:54:48
実家がカトリックの家庭で育ったのですよ、わたし!(ふふ)
なので、クリスマスはどちらかというと、教会に行ったあと家族で過ごすという雰囲気だったのです。
その影響もあって、静かな雰囲気を好むのかもしれませんね~。
上の人は全然で、友達とのクリスマス会をうちで企画中ですけどね(笑)

忙しいのの8割がたが今日で終わり、あとは仕事のみになりました!
うっちゃんも忙しいのにありがとう♪

うっちゃんの息子くんはみどりの船を好んで読むんですね!なんだか話があいそうです!
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●marukoさんへ (フラニー)
2006-12-09 01:00:23
わ~ぃ、marukoさんもこの絵本好きなんですね。
そして、昨日読んだばかりとは!もしかして、夜のセレクト本だったのでしょうか。
(あとでおじゃましてみます)
なんて、maruko家の子ども達はいい時間を過ごしているんでしょう。
ほんとにサイズといい、丁寧なつくりといい、色合いといい、好みです♪
これ、装丁買いしたんですよ~。
最後の窓からのぞくクロケットさんの胸のうちを思うと、ぐぐぐっと来てしまいます。
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