ツリーとともに、たくさんクリスマス絵本を出してきました。
毎年読んでいるアドヴェント形式のお話は、今年お休みすることに。
できるだけ絵本を読むことに決めたのです。
『
ミシュカ』
マリイ・コルモン/作 ジェラール・フランカン/絵
末松氷海子・訳 セーラー出版
ミシュカは、くまのぬいぐるみ。
いばりやでおこりんぼうのご主人、エリザベットに大事に
されないのが悲しくて、家出をします。
「もうぜったい おもちゃのくまなんかに ならないぞ!」
雪をザクザク踏みしめ、後ろからついてくるミソサザイを
脅かしたり、落ちていたはちみつの瓶を割って食べたり、
木の上でお昼寝をしたり・・・
自由な身を満喫していたところ、
ガンの会話で、クリスマスがどんな日なのかを
知るのです。
「・・・今夜は クリスマスだね!」
「・・・そうね。今夜は みんな、なにかひとついいことを
しなくちゃ いけないのよね。」
その言葉が頭に残ったミシュカは、トナカイとの出会いで、
プレゼントを配り歩くという自分の役割を見つけますが、
それだけでいいのかなという疑問も残ります。
最後のラストシーンでは、大きな大きな決断をすることに・・・。
文章にも、絵にも、胸が熱くなってじいんとします。
クリスマスってこういうことなんじゃないかな・・・。
クリスマスのメッセージがたくさんこめられたおはなし。
素直なミシュカの気持ちが、ストレートに響いてきます。
次の日の朝の、静かで豊かな喜びが想像できて、
とても幸せな気持ちになるのです。
おはなしと離れて、絵本について・・・。
この絵本は、あとがきにもあるように、フランスのペール・
カストール文庫の中の一冊です。
”ポール・フォーシェという人が 当時さかんになった
新しい教育運動に共鳴し、子どもの自発性や感受性を大切に
育む手段として創造的な子どもの本を作りだした・・・”
その実現のために何人もの画家が集まった中でフォーシェを
魅了したのが、ロジャンコフスキーなのだそうです。
ロジャン(ロジャンコフスキー)の描いたカストール・
シリーズは30冊近く。
この絵本も、ロジャンが描いたものだったのに、
ハードで再販されたとき、なぜかロジャンの絵ではなく、
模写のような形で描かれたとか。その真相は?・・・わかりません。
再販版のもともとの色合いもわかりませんが
ロジャンの色合いとはまた全くイメージが違います。
ただこの絵を描いた方も、カストール学校の優等生だったそうで、
構図やデザイン、配置など、多くのイメージは同じように
表現されています。
もちろん、違いはあって、好みが分かれるとは思うのですが・・・
フフ、どちらがお好みでしょう・・・!?
左:ジェラール・フランカン/絵 右:ロジャンコフスキー/絵