みどりの船

絵本と絵本まわりのこと、日々の雑感を少し。

ファーディとおちば

2006-10-27 | 一年めぐり/四季の絵本
  『ファーディとおちば
ジュリア・ローリンソン/作  ティファニー・ビーク/絵
       木坂 涼/訳  理論社

今日、この絵本に出会ってしまいました。

この絵を見てすぐに、あっ、あの人だと思ったとおり。
  ティファニー・ビークの絵でした。

この色合い、絵のタッチはまさに秋色で、
どのページも本当に美しい。
前と後ろの見返しの絵が違っているだけでなく、
見返しからすでにお話がはじまって、
後ろの見返しまでお話は続く・・・ 
わたしはこういうのに、弱いんです
しかも、一本の「木」のお話!
「木」ものにも、弱いのです(笑)

こぎつねのファーディは、一本の大きな木がともだちです。
毎朝起きると、その木に会いに行くのですが、
ここのところ、木の元気がない・・・。
つやつや葉っぱはかさかさになり、葉が黄色や
茶色になっていることを、ファーディは本気で
心配しています。
お母さんに相談すると、秋だから心配ないわと諭され、
それをわざわざ伝えに行くファーディ。

もうなんとも言えず、かわいらしい。

どんどん散る葉っぱを、拾っていくリスやハリネズミの
ことを、本気で怒っていたり、
木にくっついている最後の一枚の葉っぱを、全力かけて
守ろうとする姿勢が、フフフと微笑みたくなる
かわいさです。
まるで、小さな子どもみたい。
(↑こどもに違いないこぎつね・・・なんですけどね。)

青い鳥たちが、散った葉っぱを枝にさしにきてくれた
あとのこぎつねのうっとりしたアップページは、
その顔もいいけれど、字の配置もすてきです。
葉っぱの形のように、流れて流れて・・・はらはらと。

秋に葉っぱが散ることを知らなかったファーディの
かわいいお話に、みごたえたっぷりの絵がついた絵本。
すてきなこだわりがいっぱいです。
なにより、色彩が美しくてオススメ。



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  してみました。

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アルバートの感謝祭

2006-10-18 | 一年めぐり/四季の絵本
 
レスリー・トライオン/作  川端誠/訳
   BL出版

秋ですね。ここのところ、毎日、かぼちゃだ、さつまいもだ、
きのこだって、秋の味覚がおいしくて。
食欲の秋全開です。

この絵本でも、感謝祭に向けて、入念な準備が整いつつ
あります。

感謝祭なんて、わたしにはあまり馴染みがないですが、
アメリカの祝祭日で11月第4木曜日がその日に
あたるとか。
「家族そろって七面鳥の丸焼きとカボチャのパイを
食べて祝う」と、絵本のカバーに書かれています。
Thanksgiving dayってやつですね!
これからハロウィンがあって、感謝祭があって、
なかなか忙しいシーズンなんですね~。

さて、この動物谷でも、P.T.Aのお祭りの催しが
計画されていて、アヒルのアルバートは、着々と
仕事をこなしていきます。
でもひとつ終えるたびに、P.T.A会長の
パトシーさんから、あれこれしておいてほしいことの
お願いが(手紙)届き、
さすがのアルバートもしまいにはうんざり。

手書きで届くアルバートへの手紙は、悪意はないん
ですけどね・・・
あまりにもマイペースな文面に、わたしも
アルバートに同情します。
それでもテーブルを作り、折り紙をしあげ、焚き火の
準備や、お手製のかぼちゃパイの作成などなど・・・
完璧に仕事をこなして、ついに最後に反撃
えらいな~、アルバート。
しかも、あとくされはまったくなく、楽しく感謝祭を
迎えるところがとてもよいです。

P.T.A会長の手書きの手紙がまた楽しかったり、
アルバートのお得意かぼちゃパイのレシピが、
表紙カバー裏にのっていたり(こういうの、気になります)
楽しみどころ、満載です。

そういえば、このアルバートは、
『アルバートのアルファベット』でも、作り物を
頼まれているんですよね。
しかも、短時間にかなりの腕前!
もしかして、凄腕の用務員さんなんでしょうか。
(↑の絵本も、DIYの発想がとても楽しい一冊です)

             

先週から今週にかけて、我が家にも秋の味覚が
いろいろと届いています
うれしくて、しあわせー♪


ちょっと早いけど、ハロウィンの雰囲気を一緒に
楽しみたくて・・・と、お手製のおいものケーキも一緒に
送ってくれたのは、ある講座でご一緒した知人。
いつも、ふとしたときに、かわいい絵本があったから・・・
とか、好きな本だからと、気にかけて送ってくれて
わたしは、サプライズなプレゼントに、いつも
小躍りしてしまうのです。

  もうすっかり食べきったケーキ!
ゆずジャムを添えてみたら、おいしかった~♪大好評でした

            

そして昨日は、塩山の友人から、恒例の季節の宅急便。



各種瓶詰め、巨峰のワイン、甲州ぶどうに、
かぼちゃ、青唐辛子、サルナシと、今回もお得感大です!

 サルナシの実
知っていますか・・・? これ、和製キウィといった感じ。
まさに、キウィの味です。山に実る野生のキウィ。
そのままパクッといただきます。
(もっとあったのに、さっさと手がのびてお腹へ・・・ヘヘ)


イチジクの赤ワイン煮、ネクタリン(秀峰)のビン詰
姫リンゴのコンポート、ラ・フランスビン詰
きのこの佃煮、野沢菜ピリ辛煮、青唐辛子味噌

く~、白いご飯だけで、何杯でもいけてしまいそうです。
実りの秋に、感謝・感謝。
コメント (11)
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季節のお話

2006-09-04 | 一年めぐり/四季の絵本
 
新井素子・作 古川タク・絵  徳間書店

少し前まで、耳をふさぎたくなるほど
うるさいく鳴いていたセミ。
それがここ数日、めっきり鳴き方が弱々しく
なってきました。
いやにうるさいなーと思って探すと、べランダに
アブラゼミやツクツクホウシがいるにはいるけれど、
しばらく鳴いたあと、ダーーーッと飛び去って
静かになります。
一歩外へ出ると、ふいに前方から猛ダッシュで
ぶつかってくるセミがいるかと思えば・・・
死んだセミの亡骸がそこここに。
そんなのを見ると、ちょっと思い出すお話。

         

これは・・・ちょっと昔のお話。
神様は、世の中が落ち着いてきたのをみて、世界中の
生き物を集めて会を開くことにしました。
何か困っていること、不自由していることはないか
聞くために。
そこで不満をもらしたのが蝉。

「神様。僕達蝉は、ずっとずっと地面の中で、地上って
 どんな処かなあって楽しみに暮らしてきて・・・
 なのに、地上にでるとすぐ死んでしまうのは哀しいです」

神様はその話を聞いてちょっと苦笑しつつも、反応は
それだけ。
2日目にも3日目にも同じことを訴える蝉がいたのに、
神様は首をふり、「おまえ達は、それでいいんだ」
と言われたのでした。

なぜ神様は、そんなことを?

神様は、横になって大地の子どもたちのおしゃべりを
ちゃんと聞いていたのです。

蝉の子たちが、母なる大地に包み込まれて、とても
あたたかい気持ちで過ごしていること、
それがどれだけ幸せなことか、
でも、寿命がつきるまでに、一回でいいから外へ
出たいと思っているって。

そんな蝉の子のおしゃべりを神様はこっそり聞いて
ほほえんでいたのです。

天使に、この前の会でそうおっしゃればよかったのに・・・
と言われた神様の言葉がとてもあったかくて好き。

「いいのだよ、私が、覚えているから。
 幸せだった子供時代のことを。
 それに、どの蝉も必ず、寿命が尽きる時に思い出すから。
 ちょっとの不満はあったとしても、幸せな一生
 だったってことを」

これ、きっと蝉だけじゃないですよね。

        

これは8月の「蝉」のお話です。
この絵本の中には、12の季節のお話がつまっていて、
作者の新井さんの意図されたとおり、”かわいい”お話
ばかりです。
1月から順に、「雪」「氷」「桃」「鰆」「雷」「雨」
「虹」「蝉」「月」「柿」「霜」「夜」
タイトルも漢字一字というこだわりよう。

わたしはこの「蝉」と、「桃」「月」「柿」のお話が
好きで、「桃」や「柿」を食べる頃に、ときどき
このお話たちを思い出しています。
ついくだもの話には反応してしまう・・・。

これ、小さなお話が、ひと月にひとつというのが
ポイントですよね。
季節が一巡するころには、ちょうどいい具合にお話を
忘れていて、また新たに楽しめるのがよいのです。
コメント (4)
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木がずらり

2005-11-28 | 一年めぐり/四季の絵本
tuperatupera・作/ピエブックス・刊


tuperatupera(ツペラツペラ)は、
亀山達矢さん・中川敦子さんの2人組ユニットで、
2002年から活動しているそうです。

この「木がずらり」 一番はじめはどこで見たのか
さっぱり思い出せないのですが、
ほしいなぁと思ったころはもう手に入らず。
でもこのほど、「魚がすいすい」の発売と同時に、
好評だったこちらの絵本も、再度手にとることが
できるようになりました。

この絵本、ちょっと変わった形態で、
じゃばら絵本になっています。

 こんな感じ。

いろんな木とともに、その木にあったイメージの言葉が
一言添えられています。
「とんがり」「そっくり」「うっとり」「ほんのり」
・・・という具合に。

木の形容ばかりではないけれど、「り」で終わる言葉でまとめ、
とても読みやすく心地よい。

でもこの絵本、絵をゆっくりながめるだけでもステキです。

よくよく見れば、春からだんだんと夏秋冬に季節はめぐり、
いろんな14本の木が描かれています。
表の最後は雪景色。
でも裏返して見ていくと、亀が「ゆっくり」歩き、そしてまた
季節はめぐり、「ちょっぴり」春を感じるのです。

こういう何気ない地味~なテーマ、大好きです!
派手さはなくても、それぞれの木の物語が想像できるのが好き。
だいたい「木」が好きなので、気づけば木の絵本は案外
持っています。

自分のうちに「木」があったらいいなぁ、特にりんごの木。
ずっとそう思っていました。
それは、ペチシカの『りんごのき』やミラ・ローベの
『りんごの木の上のおばあさん』にあこがれていた
せいかもしれません。
ずっと実のなる木がいいなぁと思っていたけれど、
北海道美瑛町の「ほおずき」という宿に泊まるように
なってから、実の有無はともかく、
自分ための自分の木があったらいいなと思うように
なりました。
そこのおとうさん、自分の娘のためにそれぞれ木を植え、
「**の木」と小さくぶらさげているのですよ。
なんてステキ!
娘の成長とともに、木もどんどん大きくなっていくわけです。
でも、あこがれはしても実際は難しい・・・。
夢がかないそうもない私は、あちこち木を見て回ります。

 
三本の木 / 哲学の木(H14撮影)


メルヘンの木 / 一本杉(H14撮影)

美瑛~富良野にかけて点在する木ですが、どれも
表情が違うので、毎度見たくなってしまうわけです。

今年行ったとき、三本の木の真ん中と右側の木の間に、
小さな小さな木が育っていて、
なんだかまるでうちの家族と同じだなとう
れしくなってしまいました。

ちなみにこの「哲学の木」「メルヘンの木」は
実際こう呼ばれている木です。
名づけ親は誰でしょうね。
哲学の木なんて本当にそうよね~と、妙に感心して
しまいます。

さて、tuperatuperaの『木がずらり』に
戻りますと、この絵本の原画はコラージュになっています。
ちょっと見てみたいゾと思っていたら、
どうやら12/19~29まで青山ブックセンターで
原画展をしているようです。
行く時間と体力があったら、見てみたいナー。
コメント (4)
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