みどりの船

絵本と絵本まわりのこと、日々の雑感を少し。

せんをたどって

2007-11-16 | ユーモラスな絵本
気になっていたこの絵本、やっと見ることができました!

 『せんをたどって
ローラ・ユンクヴィスト/作 ふしみみさを/訳 講談社


各ページの色が違って、色使いもイラストもしゃれているけれど、
それだけじゃなく、とびきり楽しい絵本です。
なにせ、表紙の題字から、裏表紙の「おわり」まで、
中の絵もずーーーーと、ひとふでがきで描かれているのです。
線をたどっていけば、街を通り抜け、車が走り、
海を渡り、海にもぐり、空高く飛んだかと思うと、
森をぬけ・・・
その間ずーーっと、線はとぎれることはありません。
これは、どうしたって、たどってみたくなるってもんです。

作者のローラ・ユングヴィストさんは、ニューヨークで
ファッションや金融までいろいろな企業のパッケージや
広告を制作している方だそうですが、
イーダちゃんから聞いた、訳者のふしみみさをさん談によると、
日本語版の題字は、ローラさん自らデザインしてくれた
ものなのだそうです。
すばらしい!

原書はどうなのかしら・・・?と思ったら、こんな感じなのですね。
原書のイメージ通りの日本語版です。



いろいろおさんぽしていたら、作者のローラさんのHPにも
いきあたりました。(→ 
中に、printouts という欄があって、ダウンロードして
線をつないだり、色を塗ったりして楽しめるページが
ありました。ワーイ、楽しい・・・。
あとで、コハと線画をして遊んでみましょう。

本編のこの絵本のほうも、まだ全部線をたどれていないのです。
でも、やってみたい。 ガンバルゾ!
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はらのなかのはらっぱで

2007-09-17 | ユーモラスな絵本
「虫」・・・
好きかきらいかというと、きらいな部類なんですが、
虫のつく言葉で、心や体の様子を表す言葉って、案外
あるものですね。

 『はらのなかのはらっぱで
 アーサー・ビナード 文  きゅーはくの絵本4 針聞書        
    長野 仁 監修     フレーベル館

「虫の知らせ」「虫の居所が悪い」「虫が騒ぐ」
「虫酸が走る」「虫がいい」
他にも「本の虫」「点取り虫」「泣き虫」「弱虫」
「おじゃま虫」・・・などなど、気分や行動だけでなく
人そのものまで、虫に仕立てられることもあり。

そういえばわたしは、日常的に「腹の虫がおさまらない」かも

この絵本は、戦国時代に書かれた「針聞書」(はりききがき)に
描かれた63種もの腹の虫(寄生虫)をもとに、18種の
虫たちが登場して、腹のはらっぱを探検します。

虫たちそれぞれのキャラクターは、巻末に図鑑として
説明があって、実に独特・ユーモラス♪
それぞれ、住んでいる場所、その虫が引き起こす症状、
治療法などが書いてあります。

たとえば・・・
 肺積(はいしゃく):色白で辛い物好き
           性格は悲観的で泣き虫
           鼻が大きく、においに過敏なくせに
           生臭い悪臭を好む
           宿主の右脇腹で生まれ、成長につれて
           肺へ移動し、積(しゃく)になる

 脾積(ひしゃく) :へそのまわりにすみ、土用(季節の
           変わり目)に暴れる。
           顔は黄色っぽく、大の甘党で鼻歌が
           絶えない。宿主の多くは女性で、
           生理不順をおこし、腰が立たなくなる。

虫によって、イメージカラーがあるのがおもしろいです。
これは陰陽五行説がもとになっているようです。
五行色体表(ダイジェスト版)というのが、またまた、
とても興味深い。

↓五行・色・臓・感情だけを抜き出してみると、↓

 木   青  肝  怒
 火   赤  心  喜
 土   黄  脾  思
 金   白  肺  悲
 水   黒  腎  恐

は~、なんとも納得!
整体に行くと、背骨脇の肝臓のツボあたりがこりこりだよって
言われるんですよね~・・・体は正直だな。
もともと弱い腎臓は、「恐」の感情域なんだ・・・。
はーとかほーとか、妙にうなずくことが多くて、
解説もとても楽しめます。

実際こんな体裁の虫が体の中を動いていたら、
ぞぞーっとしますが、想像から生まれたそのユーモラスな姿と、
なかなかユニークな性格は、個性あふれる
つわものぞろいです。

この「針聞書」というのは、2003年の秋、九州国立
博物館(九博)が古書店から購入して、歴史資料の
収蔵品第一号となったものなのだそうですよ。
収蔵されているホンモノも、いつの日かお目にかかって
みたいです。

こちら・・・ついつい上野の本まつりフェスタにて購入の一冊。
20%引きの誘惑に負けました。

他にもシリーズ化されている、博物館編のキューハク絵本
どれもじっくり見てみたいところです。


 
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九月姫とウグイス

2007-09-14 | ユーモラスな絵本
9月だし、夜はめっきり涼しくなってきたし、
窓を開けて寝るのは涼しすぎるくらい・・・。
でも、窓を開けて寝ると、美人になるらしいですよ。

  『九月姫とウグイス
 サマセット・モーム 文/武井武雄 絵 /光吉夏弥 訳
     岩波の子どもの本

この絵本に出会ったのは、いつだったのか・・・?
イルフ童画館だったでしょうか(不明)
子どものころに出会いたかったな~というほど、
好きなテイストがいっぱいの絵本です。

            

シャム(タイ)の王様は、最初2人の娘に、「夜」と「昼」
という名前をつけました。
でもその後もう二人生まれたので、今度は↑の2人を
改名させて「春」「夏」「秋」「冬」と名付けました。
そのうちまた3人娘が生まれたので、「月曜」「火曜」
「水曜」「木曜」「金曜」「土曜」「日曜」と名づけ、
8人目の娘が生まれたとき、はたと困った王様は、
1年の月の名前をつけることを思いつきました。
(ちなみに九月姫のあとは、王子ばかりで、A~Jと
 名付けたんです!)
上のお姫様たちは、何度も名前をかえられて、すっかり
ひねくれてしまい、末の九月姫だけは、優しい子なのでした。

            

もうこの最初の部分だけでも、十分に楽しくて、まさにツボ。
武井武雄のエキゾチックな絵も、好きなのです。
改名されすぎて、ひねくれてしまうお姉さま方なんて・・・
ユーモラスでしょう♪

その後、王様がそれぞれの姫に贈ったオウム入りの金の籠は
全部形が違ったきれいな籠で、リボンもみんな違うし、
名前がちゃんと描かれていて、自分ならこれがいいと見て選ぶ
楽しみに満ちています!
挿絵がとてもきいていて、すてきなんです。

九月姫のオウムは死んでしまい、嘆き悲しんでいるところに
飛んできたウグイスによって、おはなしは新たな展開へ。

久しぶりに読んで、ずーんと胸に響いてきてしまったのが
九月姫の言葉でした。

  おまえをかごにいれたのは、おまえがすきで、
  わたしひとりのものにしておきたかったからなのよ。
  でも、それじゃ、死んでしまうなんて、
  おもいもかけなかったわ。
  さあ、いくといいわ。
   ・・・・・・・
  わたしは、おまえがすきだからこそ、じぶんの
  いいようにさせてあげるのよ。

自分の幸せよりも、自分の好きな人の幸せを第一に
考えるのはとても難しい・・・という地の文で
さらに追い打ちです。 

でも九月姫は、そうして、ウグイスが自由に行ったり
来たりできるように常に窓をあけはなし、
そのためにとてもきれいになったのでした。
そして最後は良縁にも恵まれて、めでたしめでたし。
一方のお姉さま方のその後も、想像通りで、
その絵にも、ぷぷっと笑えてしまいます。

八月姫?のわたしも、つい窓を開けて寝たくなりますが
へたしたら、うっかり風邪ひきそうです。
いつの間にか、すっかり秋めいてきて、虫の声が心地よい
季節になりましたね。

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おとうさんのえほん

2007-06-15 | ユーモラスな絵本
数日前に、もうすぐ父の日ですよーと教えてもらって
はたと思い出した今週の日曜日!
父の日って、母の日ほど大事にされていないような気がして
ちょっとお気の毒なお父さん。
(忘れていて言うことでもないか・・・

日ごろの感謝の気持ちを込めて、今日はこの絵本を。

 『おとうさんのえほん
               高畠 純・作   絵本館

その名も「おとうさんのえほん」いろんなおとうさん登場です。

ゆきだるまを作って、いいのができたと満足気の
ペンギンのおとうさんが、子どもを呼んでいる間に
ゆきだるま転倒・・・・ あらら

子どもを脅かしてやろうと、オニの面を用意して
隠れているひつじのおとうさんは、おやつよーの一声に
駆け出していく子どもにおいてきぼり。あららら

子どもを喜ばそうとする一心なのに、肩すかし気味なのが
なんともおかしいです。
なぜか思わぬ方向に展開して、あらららら~な
お父さんの姿がいっぱいで、ほほえましくなっちゃう。

一番好きなのが、ぶたのおとうさん。
子どもと水あびをしていて、もうそろそろでなさいの声に、
コブタたちがはーいと素直に出たのに、
とーさんなかなか出てこない。
おとうさん! と言われて、やっと”はーい”って・・・・
きっとお母さん、こーんな顔ですよね。ぷぷ

壁におかあさんの顔を落書きしていた子どもを叱った
ついでに、おかあさんを、おとうさんと書き換える、
ライオンとーさんも、かあいらしい

VIVA おとうさんですね~
うちのおとうさんは、さしずめゾウのおとうさんかな。
発想はいいんですけどね・・・(^^;
ついやりすぎて、テンションアップさせすぎ、
挙句の果てにどこかぶつけたり、泣かせたり・・・。
なかなかにぎわしくがんばっております。
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お日さまを訪ねて

2007-05-19 | ユーモラスな絵本
久しぶりに『絵本の世界 110人のイラストレーター』を
パラパラめくっていたら、本棚から長いこと引き出していない
絵本たちに、目がいきました。
今日のはじまりは、ちょうど雨だったし・・・
急きょ、コメダのモーニングに行ったあとに、
しみじみホフマンの絵本を読みました。


ハインリヒ・ホフマン 絵と文 おおたにみな/訳
      創英社/三省堂書店

もじゃもじゃペーター』で有名なホフマンが、
孫たちのためにスケッチしたものが元になっています。
ホフマンの死後30年経ってから出版された絵本で、
孫たちの強い意向で彩色され、絵本出版された
遺稿集なのだそうです。
14入っているお話の中で、ホフマンの彩色は、唯一
「カナリヤとスズメ」というお話だけ。

この表紙絵がまた、かわいい!

これは最初のお話、「お日さまを訪ねて」の絵。
お月さまを食事に招待した、お日さまのお話です。

お月さまは、あやうく忘れそうになって大遅刻し、
お日さまは、もう待てないとご立腹。
ぷんぷんしながら食卓についたところ、
突然、お月さまとその子ども(☆の子たち)が入ってきて
まぁびっくり・・・という、小さなおはなし。

もじゃもじゃペーターの中の、しゃぶっていた指を
切られてしまう話や、スープがきらいな子が
どんどん痩せてなくなってしまう話とは
また違う雰囲気のおはなしです。

とはいっても、その他の13の話の中には、
いつも矢のように走るやんちゃなアードルフが、
ベルトのところで裂けちゃって、足はそのままつっ走り、
頭と胸があとからわめいているお話。・・・とか、
ガチョウ・ブタ未亡人や、サカナ・カモ氏、
ネズミ・ネコ氏など・・・上半身と下半身がいれかわって
くっついた動物たちのコーヒーパーティのお話。・・・とか、
少し奇妙でシュールなおはなしも、やっぱり登場します。

「エードゥアルト噴水」のおはなしも楽しいです♪
我が家には、「エードゥアルト噴水」のように、しゃべり
まくっている人がいますし・・・。(←夫!)
エードゥアルトは、ひっきりなしにしゃべっていて、
まるで噴水のように言葉が出てくる子。
それがついに銅像にされてしまって、口から水を噴き出して
いますよ、というおはなし。

ホフマンが子どもや孫を楽しませるために描いた絵とお話は、
どこかユーモラスで、ちょっぴりこわい。(かな?)
「マクスとモーリッツ」のシリーズもそうだけど、
わたし、こういうのが案外好きなのです。

文中に出てくる、エードゥアルトやヴァルターというのは、
ホフマンの孫にあたる方たち。
自分の名前入りのおはなしなんて、さぞうれしいものでしょうね。

このシリーズは、他に3冊出ています。
   

なまけものバスティアン』この絵本は、初めて知りました。
くるみ割り王とあわれなラインホルト』と『天上と地上で』は、
い~い具合にすっかり忘れています~
また読んでみようっ!

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しまうまのしゃっくり

2007-02-02 | ユーモラスな絵本
先日、しゃっくりをいかにとめるか・・・の話題で、
舌を30秒ひっぱってもらう方法を調べ出してきた
ご主人のお話を聞いて、もうびっくり仰天!
思わず想像して、ぷぷぷとなってしまったのですが、
よ~く考えたら、わたしは絶対ごめんだと、
いきなり拒否体制になりました。
だめだめ、ゾゾゾ・・・できないよー
あまりに強烈なイメージで、以後頭から離れず。
しゃっくりが頭の片隅にずっと残ったまま
本棚を眺めていたら、あるじゃないですか!しゃっくりの絵本♪

  『しまうまのしゃっくり
 デーヴィッド・マッキー/作 矢川澄子/訳 徳間書店

まじめでちょっときどったしまうまのゼブくん。
ある日、しゃっくりがとまらなくなってしまいます。
まぁ気にしないで散歩にでも出かけよう・・・と
ヒック ヒック言いながら散歩に出ると、
いろんな動物たちが、しゃっくりを止める方法をあれこれ
教えてくれるのです。
それもかなり怪しくて、おかしい方法ばかり。
 「よしてくれよ、ヒック、くだらない」
 「そんなこと、かっこわるヒック」と
しゃっくりしながら、知らん顔しているうちに、自慢の
しまが動き出して、なんとしまが片寄ってしまいます。
それに気付いたゼブくんは、さすがにあわてて
みんなが教えてくれた方法を、かたっぱしから試してみますが、
ぜ~んぜんだめ。

さて、どうやってしゃっくりはとまったか?
ついでにしまももとにもどってしまったんですけどね。
2本足走行しているゼブくんが、妙にユーモラスです。

やっぱり横隔膜の痙攣をおさめるには、古典的な方法が
一番きくのかしら。
うちでは、しゃっくりがはじまると、
「はい、大きく息をすって~~~
 はい、とめて!
 はい、ゆっくり細く、スーっとはいて~~~」と
アドバイス&指揮してくれる人がいるのですが(←世話好き夫)
息をとめたあたりでおかしくなってしまって、ププププッと
噴出すのが関の山。
そしてまたヒック、ヒック・・・・
いつの間にか、知らない間にとまっています。

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ボッケ

2007-01-24 | ユーモラスな絵本
以前、リブロポートというところから「レナレナ」
という絵本が出ていました。

         

江國香織さんが「絵本を抱えて部屋のすみへ」の中で 
書かれていたので、知っている方もいると思うのですが。
                    
ほんとにほんとに風変わりなので、立派に大人に
育ってしまった人には、たぶんすこぶる不評に違いない
絵本なのです。
「・・・出ていました」というのは、ただいま絶版中だから。
江國さんが書かれていても、どこからも再販されることが
ないのが、ちょっとさみしいところ。
それほど、私個人としては、惜しいと思っている絵本です。

左には、前半16こま、後半8こまのこまわりの絵
右には、その絵を淡々と説明する、手書き文字。
登場人物といえば、マッチ棒のように、体も髪も
細ーいイメージの女の子レナレナと、その他少しの小動物。
登場人物が誰たるかとか、持ち物とか、そんなことの
詳しい説明はいっさいありません。

見開き1ページずつのお話は、子どものころ、
もしかしたら考え、実行したこともあるかもしれない
不思議でおかしな世界です。

ミミズを引越しさせてあげるために、専用の箱を
用意したり・・・
味見した雨水がおいしくて、雨水でお茶を飲もうと、
雨水をためたり・・・
小箱の中に、つめのきりかすをしまってあったり・・・。

はっきり言って、今だったら顔をしかめたくなるような
ことばかりです。
なめたペロペロキャンディーの棒を髪につきさして
遊んだ上、地面にさして、ミミズの壁にしてあげるなんて
最高だけれど、今じゃ絶対にやらないこと。
でも、どこかでこんなことを楽しんでいる自分もいる。
そしてほんの少しだけ、ちょっとやってみたい気持ちと
素直にうらやましい気持ちが混じるのです。

あー、ここまでが前置きです!

そんな突拍子もない絵本をこよなく愛していたら、
同じ作家さん、同じ翻訳家さんの訳の絵本「ボッケ」に
出会いました。

    ボッケ
   ハリエット・ヴァン・レーク 作/ 野坂悦子 訳
             朔北社

表紙のインパクトある絵の丸い目に、見つめられました。
作者を見て、中を見て・・・ 絶対読みたくなりました。

レナレナ同様、ボッケとその友達リーは、何者なのかは
さっぱりわかりません。

 むかしむかし、どこにもいない 女の子が いてね。
 でも、きっと もうすぐ でてきてくれる。
 もし でてきたら、その子のなまえは「ボッケ」
 ヤナギの木のなかに すむと おもうよ。
   タッタタラー!
   ボッケです!

こんないきなりの登場で、木やカラスと話したり、急に
コブタに変身したり、ワラジムシにのれるくらい
小さくなったり、空飛ぶ手段に長い髪を妄想したり・・・
一段とシュールな感じがアップしている気がします。
不思議な不思議なおはなしの世界。

この作者のハリエット・ヴァン・レークさん、
オランダの方なので、2/1~大丸ミュージアム皮切りの
『オランダ絵本作家展』にも展示があるようです。
(それもレナレナです!)
ちなみにこの作家展は、徳島、ハウステンボス、兵庫、
帯広ほか、全国巡回予定だそうですよ。
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いかりのギョーザ

2007-01-15 | ユーモラスな絵本
ギョーザの絵本です。
ギョーザとかカレーとかキムチとか・・・におってきそうな
絵本は、とりあえず開いてみたくなりませんか?

 『いかりのギョーザ
 苅田澄子・文  大島妙子・絵  佼成出版社

このフライパン、ただものではありません。
ガスでも電気でもなく、怒っている人の怒りが、
フライパンの熱源になるのです。

怒りのパワーで焼いたギョーザは、えもいわれぬ
おいしさで、それを食べるとたちまち誰もが
ニッコニコ。
怒っている人を求めて、次々ギョーザを焼くも
食べるとみんな、穏やか~な気持ちになってしまって
とうとう怒っている人がいなくなってしまいます。

フライパン、どうする?
もう、極上のギョーザは食べられないのか!?

         

怒りのパワーを熱源にする発想が楽しくて、
おもわず笑ってしまいました。
大島さんの絵が、いつもながら楽しいです。

この作者、苅田さんが年賀状で「絵本を出しました」
とお知らせくださって、さっそく本屋さんに見に
行ったのでした。

彼女と知り合ったのは、14,5年前の東北
遠野の民宿・曲がりや(馬やつきの宿)でした。
寝台をつかったのんびり旅で、その頃好んで、
男女別相部屋の安めの宿に泊まっていたんですよね。
夫婦であとから、同室になった人のことを語るのが
楽しくて・・・。
苅田さんはそうして同じ宿に泊まった方で、
遠野の夜に、絵本がお互い好きだという話や、
遠野や花巻の話などをしたのでした。
以来、ずっと年賀状のやりとりが続いています。

年賀状でのいきなりの出版報告には少々驚きましたが、
またここで、夢をかなえつつある人の、
プラスのパワーをいただきました。

年初から、こいつぁー縁起がいいやね。

この絵本は、毎日新聞の小さな童話大賞ももらってる
そうです。
まだ年末に出たばかりの新刊です。
もし見かけることがあったら、見てみてくださいね!
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ぼうし

2006-12-11 | ユーモラスな絵本
先日おはなし会でも読んだ「ぼうし」
去年からずっと気になっていたのですが、
あらためて読んでみたら、話の展開と絵が実によくて
またまたほしい本リストに追加です。
リサの持ち物、洋服がフォークロア調でかわいいのです。

 『ぼうし
ジャン・ブレット/作  松井るり子/訳
    ほるぷ出版

でも、ちょっとおはなし会向きではなかったかな。

おはなしの筋立てが楽しいのと、メインの絵が
美しくて遠目もきくだろうということで選んだけれど、
実は左右の鏡に描かれている絵や、飾り枠、
上の窓の中の絵のうつりかわりなど、
見所がいっぱいなのです。

右の鏡では、次に出てくる動物たちが、
左の鏡では、うちに入ったリサの様子が、
上の窓枠では、風にあたっている冬物の様子が
描かれていて、手元でじっくりページをめくりながら、
時々戻ってみるのがおすすめ。
実にたくさんの発見があります!
興味を持った子が、また図書館なり、本屋さんなりで
出会ってくれるといいなぁと思う絵本です。



リサが庭で風を通そうと出してきた冬物のうち、
片方の靴下が風にとばされてしまいます。
それを見つけたのが、しりたがりやのはりねずみハリー。
靴下に鼻先をつっこんだとたん・・・
はりがささってとれなくなってしまいました。

それを見て、いろんな動物たちがやってきては
からかったり質問したりするのがたまらず、
ハリーは逃げていきます。
ハリーって、とても意地っ張りの強がりやなんです。
本当はとってほしくて仕方ないのに・・・
素直にとって!とは、絶対に切り出せない。
「あめでもへいき」とか「ふぶきでもあったかい」とか
精一杯の強がりを言っては、内心イライラしてる。
なんだかかわいいのですよ。

ハリーは結局、その靴下から解放されますが、
そのあと続く、最後のオチが最高です。

そういえば、この絵本のテーマに通じるところあり。
 →  『どうぶつにふくをきせてはいけません
  以前書いた記事 

やっぱりニワトリの姿には、ぷぷぷと笑ってしまいますよ。

このはりねずみハリーは、作者の飼いはりねずみ(?)が
毛糸の部屋ばきにもぐりこんで出られなくなっていたのが
モデルになっているそうです。
なんて楽しいんでしょ~♪ 
はりねずみなんて飼えるのかと、それにもちょっとびっくりです。

それにしても松井るり子さん、こういう感じの
みどころたくさん、遊びがいっぱいの絵本を
好んで訳されていて、うれしいです。

  『こもりうた
こちらも絵を見ていると、見飽きることがありません。
(取り扱い不可なんて、残念! Amazonは大丈夫そうかな) 
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フォックスおくさまのむこえらび

2006-11-28 | ユーモラスな絵本
 『フォックスおくさまのむこえらび
コリン夫妻/文 エロール・ル・カイン/絵
 やがわすみこ/訳  ほるぷ出版

エロール・ル・カインの繊細な絵には、思わず
ひきこまれてしまいます。
いばらひめ」や「おどる12人のおひめさま」など
姫物語も、美しくてきらびやか
絵の飾り枠など細かなところもみどころいっぱいで
とても好きなのですが、意外にはまってしまって
忘れられないのが、こちらの絵本。

フォックスおくさまは、だんなさまを亡くして
打ちひしがれています。
なぜって、亡くなっただんなさまというのが、
ただ者ではなかったから!

夫が亡くなったことが知れるやいなや、次々と
求婚者があらわれますが、そのたびに、
おしゃれなメイドのミス・キャットは、
おくさまのところに報告に行かねばなりません。

 「おもうしこみの とのがたが
  おだいどころで おまちです
  ・・・・・」

そのたびに、フォックスおくさまがおっしゃるには

  「しっぽ九ほん ふさふささせて
  えんじのけがわ きてらして?
  それにそろいの くつしたも?
  _ そのかただけが わたしのとのご」

そんな~ありえないっしょ!

しっぽ9本にえんじの毛皮、そろいのえんじの
靴下をはいた殿御なんて、なかなか簡単には
あらわれません。
最初は”ほかでもない”・・・オオカミ、
次に”ほかでもない”ライオン・・・
ひととおりの動物が終わってやっとキツネが
やってきたと思ったら、しっぽは
たったの1本きり。

ほんとうに、9本のしっぽをもったえんじの服と
靴下の殿御はあらわれるのでしょうか。

ル・カインの絵がぞんぶんに見せてくれる上に、
矢川さんの七五調が心地よく、ユーモラスな訳が
とても印象的です!

エロール・ル・カインといえば、ちびまるこちゃんの
さくらももこさんが、「憧れのまほうつかい」で
絶賛していることで有名なんですよね。
どこかオリエンタルな雰囲気が漂う、繊細だけど
神経質すぎない美しい絵。
絵を見ているだけで、動物たちの性格が容易に
想像できます。
「イメージの魔術師」とはよくいったもんですね。

幼少時、インドに住んでいたり、サイゴンや香港、
日本なども訪れていたことが、作風にも影響を
与えているのかもしれません。
東洋と西洋の不思議な雰囲気をあわせもつような絵。
姫モノの美しさとはまた違ったお楽しみ所満載です。

実は、、、、、。
画集「イメージの魔術師 エロール・ル・カイン」も
気になっているんです!
画集ですからね~。見ごたえ十分に違いない!

そういえば、軽井沢の絵本の森美術館では、
イギリス絵本展~古典絵本の源流を求めて~の
展示で、このル・カインの作品原画が出ているようです。
題名は「きつねおくさまの婚礼」
うぅぅ 行きたいっ!
・・・・けれど、冬の軽井沢って寒いんですよね
(ちなみにこの絵本の森美術館は、わたしも大好きな
 木葉井悦子さんの作品が常設されています!)
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アップルパイをつくりましょ

2006-11-07 | ユーモラスな絵本
  『アップルパイをつくりましょ
マージョリー・プライスマン/作  かどのえいこ/訳
 ブックローン出版

副題 りょこうもいっしょにしちゃいましょ
とあるように、この絵本は、アップルパイの材料を
調達するために、世界をめぐってしまうという
大胆なお話です。

アップルパイはとってもカンタン!
でもそれは材料がそろっていたらのこと。
もし、マーケットがお休みだったら・・・
大急ぎで荷造りをして、ヨーロッパ行きの船に
飛び乗ります。

イタリアで小麦を、フランスでは卵(鶏!)を
スリランカのシナモン、イギリスのミルク(牛!!)
ジャマイカのさとうきび、バーモントでは肝心の
りんごを手に入れ、さっそくパイ作りです。

なんて楽しいんでしょう♪
しかも、それぞれ材料にするためのひと手間は、
はんぱじゃありません!

卵が割れるといけないから鶏まるまま、
ミルクは新鮮なほうがいいから牛まるまる1頭
お持ち帰りするという大胆かつ、軽快さ。
閉まっているスーパーにかかった看板も愉快です。

やっとできあがったパイには、バニラアイスクリームを
かけて食べるとおいしいのよね。
・・・と、再びスーパーへ行くも、
ふざけたスーパー店主は、まだ不在です。
さぁ、どうする!?

巻末には、お約束のアップルパイの作り方レシピつき。
見返しには、世界地図が描かれていて、立ち寄った
場所がたどれるようになっているのが楽しいところ。
おいしいもの好き、旅行好きにはちょっとたまらぬ
魅力のつまった絵本です。

それに、シナモンがクルンドという木の皮の粉だとは
知りませんでしたしね。
ひとつ賢くなりました!

          

我が家も今日のおやつは、りんごケーキ♪
(パイ生地までは気合入らず・・・)
アップルフレークをのせた、ハチミツ入りケーキです。



紅玉をたくさん買ってあったのに、作る時間がなくて
ようやくです。
残りは甘く煮て・・・気になっていたこと ひとつ終了。

コハルが起きたら、さっそくいただきま~す。
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アーミテージさんのすてきなじてんしゃ

2006-10-30 | ユーモラスな絵本
  『アーミテージさんのすてきなじてんしゃ
クェンティン・ブレイク/作 ひがしはるみ/訳
  あかね書房

今日はとってもいいお天気で、自転車に乗って
歯医者へお出かけしました。

自転車・・・今の時期って暑くもなく寒くもなく、
ほんとうに気持ちいい。
きる風も冷たすぎず、ときどきふっと香る花や
小学校の給食の匂いが心地よくて、
鼻をクンクンさせながら、
どこまでもスイスイこいでいけそうな気分になります。

           

アーミテージさんも、犬のブレイクスピアと一緒に
自転車でお散歩です。
かごも荷台もついていない、ごくごくシンプルな自転車。
マフラーをして、首元も万端。

でもしばらく行くと、横断中のハリネズミに気づいて
ベルをちりんちりん・・・。
もっと大きな音の出るものが必要だと、大きなホーンを
とりつけます。(それも3個も)
そんな調子で、次々と足りないと思われるものが出てきて、
次々と、自転車に取り付けられるモノもろもろ。
バケツ、石鹸、タオル、道具箱、おべんとう・・・・

アーミテージさんの発想力と器用さに万歳です。
必要は発明の母なり!

どこまでふくらむか見ものの自転車は、ちょっと悲惨な
結末ですが、アーミテージさんは少しも懲りていない
ところがすてき!!
それどころか、次なる妄想に走っているあたりが
次の展開を予想させて、楽しいです。
この楽天的思考、見習いたいですね~。

しかし・・・。
こういう感じの男性、たまーに見かけますよね。
なんでも便利そうにくっつけている方!
でもでも、このアーミテージさんは、女性なのですよ。
話し言葉と途中のシャツ姿で、女性なんだ!と
気づいてびっくりしてしまいました。
女性でこんな自転車に乗って、楽しそうにしている人
なんて、ちょっといいなぁ♪

大好きなクェンティン・ブレイクの軽やかなお話、
自転車が気持ちよくて、今の時期にぴったりです。
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ボヨンボヨンだいおうのおはなし

2006-10-02 | ユーモラスな絵本
 
ヘルメ・ハイネ/作  ふしみみさを/訳  朔北社

もし自分が、夜も寝られないくらいの、たくさんの
心配ごとをかかえ、ストレスでいっぱいになっていたら、
どんなことをするでしょう?

一人こもって、食べまくり、家事を放棄して、
本を読み続ける?(←アァ・・・太りそう!

・・・現実には、今はどれもムリだなぁと思うと、
ちょっと残念です。

・・・が。
この絵本に出てくるおうさまのように、
ボヨーンバヨーンと飛び跳ねてみることはできるかも。

国のいろんな問題が気になって夜も寝られない
この王様は、ある晩ベッドの柱から勢いよく
 ボヨーン バヨーン ボヨヨーン バヨヨーン
と飛びはねてみたのです。
飛ぶたびに気持ちよくなって、心配事も消え、
晴れ晴れとご就寝になった王様。

愉快です!ユーモラスなボヨーン バヨーンの音が
飛び跳ねる楽しさそのもので、なんだかうきうきしてしまう。

それなのに、王様のこの密かな楽しみは、大臣に見つかって
以来禁止されてしまいます。
はねる楽しみを失った王様は、重病になり、瀕死の状態に。
王様の最後の望みは、もう一度だけはねさせてほしい
ということだけ。
王様、どうなる!?

ユーモラスで、とぼけたコラージュが、おはなしの雰囲気を
もりたてます。
他のヘルメ・ハイネの作風とはまた全然違って、楽しいです。
そしてふしみさんの訳がまた素敵なのです!
以前、佑学社から「王さまははねるのがすき」で出ていた
この絵本。
今回、訳者も出版社もかわって、雰囲気も一変した気がします。

          

なんだか、いろんなことに追われて、へなへなになって
しまったので、わたしも直径50センチの球体に乗って、
久しぶりにボヨーンバヨーンしてみました。
ベッドのスプリングを痛めたくないので、もっぱら
バランスボールなんですが・・・。
とってもいいですね~。
この内臓がシャッフルされる感じ!久しぶりだー。
その楽しさにしばらくはまって、また復活させようかしら
と思ってしまいましたよ。(←ただ今、休止中)
ボヨーンバヨーン最高です 王様ばんざい!
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ZOOM

2006-09-29 | ユーモラスな絵本
 
イシュトバン・バンニャイ  ブッキング

ハンガリーの絵本作家、バンニャイさんの描く
文字なし絵本。

この絵本のおしゃれな色使いと視点には、驚いて
しまいます。
表紙は赤、見返しは黒。
以降、左ページはずっと黒です。
右ページ最初には、これは何?と思わせる赤いもの。

それが・・・だんだんページを繰るごとに、ひいていくのです。
だんだん だんだん ひいて ひいて・・・・。
最後に行き着く頃には、最初にズームアップ
されていたものがナンだったかなんて、
とっくに忘れてしまうほどの展開。

時にはひいてみると、思わぬものが見えてくるのかも
そんなこともチラッと思いつつ、行きつ戻りつ
何度もめくってしまいます。

なんと新しい視点でしょう!
ユニークで、楽しい文字なし絵本です。

場面は全部で31。
え?とか、お?とか、えー!とか、ついつい声を出して
しまって、家族には不審がられています。

バンニャイさんの他作品、「リーズーム」や
アザー・サイド」も楽しそう♪
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きつねのテスト

2006-09-26 | ユーモラスな絵本
 
おざわただし/作 かたやまけん/絵  ビリケン出版

片山健さんのインパクト大な絵にひかれて、
興味深くめくると、いきなり見返し部分から
おはなしがはじまっています。

ある日、のぶこが学校から帰る途中に見つけた
変な看板。

 きつねのテスト ごじゆうに おはいりください

少し不審に思いながらも中に入ると、待ち構えていた
きつねに、次々テストされるはめになるのぶこ・・・。

1.2つのイスのうち、1つは座るとねこに、
  1つはねずみになります。
  ねこのイスを選んだら勝ち!

2.2つの粘土のうち、この粘土でおだんごを作ると
  1つはだるまに、1つはキューピー人形に
  なります。だるまの粘土を選んだら勝ち!

ばかげてると思いながらも、順調に正解を選び
2問クリアです。
いよいよ3問目。

3.ドアのむこうにとらが2ひき寝ています。
  頭を叩くと、一方は変わらず、
  一方は大きなカレーパンに変わります。
  カレーパンのとらを叩いたら勝ち!
  3問正解したら、素敵なごほうびがもらえます。

ごほうびにひかれたのぶこ。ごほうびって!?
とてもとても素敵には思えない、
でもちょっとそうなってもみたいかな。
もし変わらないとらを叩いてしまったら、かみつかれる
かもしれないし、どっちにしろ究極の選択です。

さて、
3問目はどうなったか。フフフフ・・・・・。

でも、日々の暮らしでは、多かれ少なかれ、
こんな選択ばかりですよね。

             

佐野洋子さんのエッセイ「わたしはそうは思わない」に、
小沢正さんのことが書かれていました。
刺し子も編み物も、職人ワザのように丁寧な仕事をされ、
話が一段落すると、「いやぁ、わかりませんねェ」と
ポッソリ言われるらしい。

いやー、こんな楽しくてわくわくするお話が、
さりげなくはじまって、さりげなく終わっていくのが
おかしくて、楽しくて・・・
小沢さんこそ、わかりませんよ。
お話の雰囲気と、刺し子や編み物が全然結びつかなくて、
不思議な感じです。

そうそう、うちのコハさん、この主人公のぶこに
よく似ています。
でこっぱちなところ、りりしいまゆげ、横目な目つき・・・。
そんなのもあって、ちょっと親近感がわいています。
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