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環境を考える
再エネ固定価格買取制度の問題点 その2 価格決定時期と着工期限
前回、日本の再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の問題点として情報公開の不足について書きました。今回は買取価格が決まるタイミングと着工期限についてです。
すでに新聞等でも報道されているように、固定価格買取制度の開始後、非住宅用の太陽光発電で認定を受けたものの、着工していない(運転開始に至っていない)設備が多く存在します。5月末の時点で非住宅用太陽光(10kW以上)の認定容量は1,937万kW。このうち、運転開始は約170万kWと1割に満たない状況です。
再生可能エネルギー発電設備の導入状況を公表します(平成25 年5 月末時点)
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/dl/setsubi/201305setsubi.pdf
この問題の要因は買取価格が決定するタイミングにあります。
経済産業省:再生可能エネルギーの固定価格買取制度について(平成24年10月)
価格適用について(例:2012fyの価格適用期限)
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/dl/2012setsumeikai.pdf#page=35
(クリックで大きく見られます)
2012年度の買取価格の適用をうけるためには、接続契約に係る申込みの書面を電気事業者が受領した時又は国の設備認定時のいずれか遅い時点が2013年3月末までであることが必要。
つまり、2012年度末までに設備の認定を受けるとこの時点での買取価格(太陽光で税込み42円/kWh)が確定。一度設備認定を受けると、着工や運転開始の時期に期限はなし。
初年度の42円/kWhの買取価格というのは非常に高く、次年度から引き下げられるということは業者間では共通の認識であり、さらに期限がないことからとりあえず認定を取っておこうと大量の駆け込み認定、認定バブルが発生したと考えています。
前回も書きましたが、買取価格はその時点(その年)の設備導入等のコストから割り出したもの。普及に伴い、太陽光発電の設備コストは年々下がってきています。このため、着工時期を遅らせることで42円の買取価格を維持したまま設備費用を下げることができ、儲けが大きくなるというわけです。
事業者「制度不備」/県内太陽光発電7割未稼働(四国新聞)
http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/social/20130924000115
上記記事の中で、認定を受けた事業者が、
いつ始めても買い取り価格は42円。今後、パネルの値段は下がるだろうし、待てば待つほど得になる。期限がないのだから、そりゃ待つでしょう」と計画の凍結を決めている。
と。
さらに、この「認定設備」の権利は転売が可能。初めから権利売買を目的に認定取得している例もあるようです。実際、42円案件として権利が売り出されています。
http://claver-sangyo.com/g-navi/42en20years
http://www.jetro.go.jp/ttpp/JAN.CR07_JAN?id=1137575
また、「認定取得」した設備の中には、地権者の同意を得ていないケースも。
過疎の島 メガソーラー 長崎・宇久島 独企業 40万キロワット構想 国内最大級 壮大計画、実現性に疑問も
http://www.nishinippon.co.jp/wordbox/word/6586/9910
ドイツ企業が離島で40万kWの大規模太陽光計画。設備認定は受けているが、「候補地の多くで地権者が判然とせず、用地交渉を難しくしている」と。さらに農地転用の許可も下りていない。
このような状況から、すでに認定取得していても運転開始まで至らない設備も多く出ると思われます。この場合、買取費用はかからず国民負担も発生しません。しかし、この運転開始するつもりのない、又は故意に着工を遅らせている計画により送電網がふさがれてしまい、他の発電計画が受け入れられなくなる恐れもあります。
経済産業省でも計画が遅れている案件について実態の把握を行うとしています。今後、着工の見込みのない設備は認定の取り消しもあるでしょう。さらに公平で実効性のある制度運用のためには、認定審査の厳格化、着工期限を設ける、権利のみの転売禁止など、問題点を適宜修正する必要があると思います。
関連ページ
資源エネルギー庁 なっとく!再生可能エネルギー
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/index.html
北海道電力:大規模太陽光発電(500kW以上)の出力抑制の取り扱いについて
http://www.hepco.co.jp/ato_env_ene/energy/new_energy/about_recyclable_reception.html
太陽光発電:経産省、実態調査へ 認定設備の85%未稼働
http://mainichi.jp/select/news/20130821ddm002020153000c.html
実現しない発電所構想が続出 太陽光「2年目」の課題
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2200E_S3A620C1000000/
ついに来た経済産業省の「報告の徴収」
http://www.kankyo-business.jp/column/005839.php
当ブログ内
再エネ固定価格買取制度の問題点 その1 情報公開の不足
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/1ea26eb188f60d59b75ac9225c6a0299
「固定価格買取制度・FIT」
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/c/ffa98f3b3206739ac58a985f3354620d
2013/10/2 更新
すでに新聞等でも報道されているように、固定価格買取制度の開始後、非住宅用の太陽光発電で認定を受けたものの、着工していない(運転開始に至っていない)設備が多く存在します。5月末の時点で非住宅用太陽光(10kW以上)の認定容量は1,937万kW。このうち、運転開始は約170万kWと1割に満たない状況です。
再生可能エネルギー発電設備の導入状況を公表します(平成25 年5 月末時点)
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/dl/setsubi/201305setsubi.pdf
この問題の要因は買取価格が決定するタイミングにあります。
経済産業省:再生可能エネルギーの固定価格買取制度について(平成24年10月)
価格適用について(例:2012fyの価格適用期限)
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/dl/2012setsumeikai.pdf#page=35
(クリックで大きく見られます)
2012年度の買取価格の適用をうけるためには、接続契約に係る申込みの書面を電気事業者が受領した時又は国の設備認定時のいずれか遅い時点が2013年3月末までであることが必要。
つまり、2012年度末までに設備の認定を受けるとこの時点での買取価格(太陽光で税込み42円/kWh)が確定。一度設備認定を受けると、着工や運転開始の時期に期限はなし。
初年度の42円/kWhの買取価格というのは非常に高く、次年度から引き下げられるということは業者間では共通の認識であり、さらに期限がないことからとりあえず認定を取っておこうと大量の駆け込み認定、認定バブルが発生したと考えています。
前回も書きましたが、買取価格はその時点(その年)の設備導入等のコストから割り出したもの。普及に伴い、太陽光発電の設備コストは年々下がってきています。このため、着工時期を遅らせることで42円の買取価格を維持したまま設備費用を下げることができ、儲けが大きくなるというわけです。
事業者「制度不備」/県内太陽光発電7割未稼働(四国新聞)
http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/social/20130924000115
上記記事の中で、認定を受けた事業者が、
いつ始めても買い取り価格は42円。今後、パネルの値段は下がるだろうし、待てば待つほど得になる。期限がないのだから、そりゃ待つでしょう」と計画の凍結を決めている。
と。
さらに、この「認定設備」の権利は転売が可能。初めから権利売買を目的に認定取得している例もあるようです。実際、42円案件として権利が売り出されています。
http://claver-sangyo.com/g-navi/42en20years
http://www.jetro.go.jp/ttpp/JAN.CR07_JAN?id=1137575
また、「認定取得」した設備の中には、地権者の同意を得ていないケースも。
過疎の島 メガソーラー 長崎・宇久島 独企業 40万キロワット構想 国内最大級 壮大計画、実現性に疑問も
http://www.nishinippon.co.jp/wordbox/word/6586/9910
ドイツ企業が離島で40万kWの大規模太陽光計画。設備認定は受けているが、「候補地の多くで地権者が判然とせず、用地交渉を難しくしている」と。さらに農地転用の許可も下りていない。
このような状況から、すでに認定取得していても運転開始まで至らない設備も多く出ると思われます。この場合、買取費用はかからず国民負担も発生しません。しかし、この運転開始するつもりのない、又は故意に着工を遅らせている計画により送電網がふさがれてしまい、他の発電計画が受け入れられなくなる恐れもあります。
経済産業省でも計画が遅れている案件について実態の把握を行うとしています。今後、着工の見込みのない設備は認定の取り消しもあるでしょう。さらに公平で実効性のある制度運用のためには、認定審査の厳格化、着工期限を設ける、権利のみの転売禁止など、問題点を適宜修正する必要があると思います。
関連ページ
資源エネルギー庁 なっとく!再生可能エネルギー
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/index.html
北海道電力:大規模太陽光発電(500kW以上)の出力抑制の取り扱いについて
http://www.hepco.co.jp/ato_env_ene/energy/new_energy/about_recyclable_reception.html
太陽光発電:経産省、実態調査へ 認定設備の85%未稼働
http://mainichi.jp/select/news/20130821ddm002020153000c.html
実現しない発電所構想が続出 太陽光「2年目」の課題
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2200E_S3A620C1000000/
ついに来た経済産業省の「報告の徴収」
http://www.kankyo-business.jp/column/005839.php
当ブログ内
再エネ固定価格買取制度の問題点 その1 情報公開の不足
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/1ea26eb188f60d59b75ac9225c6a0299
「固定価格買取制度・FIT」
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/c/ffa98f3b3206739ac58a985f3354620d
2013/10/2 更新
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