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環境を考える
再エネ固定価格買取制度の問題点 その1 情報公開の不足
2012年7月に再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)が開始され、1年以上が経ちました。メガソーラーブーム、送電網の不足、駆け込み認定などニュースにもなっていますが、現時点での日本のFITの問題点をシリーズでお送りします。第一回は情報公開についてです。
再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)とは、太陽光、風力、小水力などの再生可能エネルギー由来の電力を時間や量に関係なく固定価格で一定期間(20年等)買い取るという制度。長期間、固定価格での電力買い取りを補償することで、再生可能エネルギーの普及を促そうというものです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/66/d7f3f4510a6944671b36c455a75c5049.jpg)
資源エネルギー庁「再生可能エネルギーの固定価格買取制度について」より
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/dl/120522setsumei.pdf#page=6
この買取価格は設備設置コストや運転費用に利益を上乗せして損をしないような価格に決められています。家庭向け電気料金の総括原価方式と同じしくみです。コストが高い再生可能エネルギーの普及を促進するものなので当然ながら、通常の電気料金よりも高い買取価格となります。そして、この高い買取価格と通常価格(回避可能費用)との差は国民など電気使用者が「賦課金」として負担することになっています。(一部電力多消費企業は減免あり)
このため、この制度の成否は「賦課金」をどこまで納得して払うことができるかにかかっています。買取価格が高くなればなるほど「賦課金」は高くなる。20年間固定での電力買取を約束する制度なので、初年度はわずかな額でも、制度が継続するにしたがって買取に必要な費用もどんどん増加し賦課金も積みあがる。買取価格や賦課金が妥当なのか、現在の再エネの普及状況はどうなっているのか、また、順調に発電しているのか。しっかりチェックする必要があります。
しかし、現状では、情報公開は非常に不足しています。当初、1ヶ月遅れで公表されていた設備認定状況はどんどん公表時期が遅くなり、2013年9月24日現在、5月末の状況が最新となっています。
平成25年8月20日 資源エネルギー庁
再生可能エネルギー発電設備の導入状況を公表します(平成25年5月末時点)
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/dl/setsubi/201305setsubi.pdf
また、買取電力量、買取費用に関しては制度開始後1年以上が経ちましたが一度も公開されていません。
以前から行われていた住宅用太陽光発電の買い取り制度(余剰電力買取制度)も同じように電気代に上乗せされた賦課金(太陽光発電促進付加金)で費用をまかなっています。この賦課金は前年度の太陽光からの買い取り電力量から計算され、平成24年度までは算定に必要な数値が経済産業省から公開されていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/32/0382f97d3ef51c149373bf0fa8af6dd2.jpg)
(クリックで大きく見られます)
「平成24年度の太陽光発電促進付加金(太陽光サーチャージ)の単価の確定に伴う電気料金の認可について」より
http://www.meti.go.jp/press/2011/01/20120125005/20120125005-2.pdf
平成25年度の固定価格買取制度の賦課金については、このような買取電力量や買取総額のデータ公開はなく、資源エネルギー庁ホームページ「なっとく!再生可能エネルギー」内のQ&Aコーナーで解説が掲載されているだけ。
Q1 5-4.平成25年度の再エネ賦課金単価はなぜ0.35円/kWhとなったのですか?
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/faq.html#5-4
住宅用太陽光の余剰電力買取制度においても平成25年度は付加金算定の元になるデータが公開されていません。(住宅用太陽光の余剰買取では、かかった買取費用を翌年に支払う制度のため、H25年度前年分の付加金徴収あり)
さらに、固定価格買取制度では設備コストや運転費用を経済産業省に報告することになっていますが、こちらも公開されていません。これでは買取価格が適正であるかどうかを判断することもできません。
繰り返しになりますが、固定価格買取制度は国民が費用を負担することで再生可能エネルギーを増やそうというもの。長期間継続する制度を行うためにも丁寧な情報公開が不可欠です。
関連ページ
資源エネルギー庁 なっとく!再生可能エネルギー
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/index.html
太陽光発電:経産省、実態調査へ 認定設備の85%未稼働
http://mainichi.jp/select/news/20130821ddm002020153000c.html
県内の太陽光発電7割未稼働/国が実態調査開始
http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/social/20130924000109
当ブログカテゴリー「固定価格買取制度・FIT」
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/c/ffa98f3b3206739ac58a985f3354620d
再生可能エネルギー固定価格買い取り制度の導入・認定状況(2013年5月末)
http://www.news.enestudy.com/2013/08/20135.html
再生可能エネルギー固定価格買取制度:価格決定のタイミング
http://www.news.enestudy.com/2013/07/blog-post_8.html
2013年9月24日更新
再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)とは、太陽光、風力、小水力などの再生可能エネルギー由来の電力を時間や量に関係なく固定価格で一定期間(20年等)買い取るという制度。長期間、固定価格での電力買い取りを補償することで、再生可能エネルギーの普及を促そうというものです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/66/d7f3f4510a6944671b36c455a75c5049.jpg)
資源エネルギー庁「再生可能エネルギーの固定価格買取制度について」より
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/dl/120522setsumei.pdf#page=6
この買取価格は設備設置コストや運転費用に利益を上乗せして損をしないような価格に決められています。家庭向け電気料金の総括原価方式と同じしくみです。コストが高い再生可能エネルギーの普及を促進するものなので当然ながら、通常の電気料金よりも高い買取価格となります。そして、この高い買取価格と通常価格(回避可能費用)との差は国民など電気使用者が「賦課金」として負担することになっています。(一部電力多消費企業は減免あり)
このため、この制度の成否は「賦課金」をどこまで納得して払うことができるかにかかっています。買取価格が高くなればなるほど「賦課金」は高くなる。20年間固定での電力買取を約束する制度なので、初年度はわずかな額でも、制度が継続するにしたがって買取に必要な費用もどんどん増加し賦課金も積みあがる。買取価格や賦課金が妥当なのか、現在の再エネの普及状況はどうなっているのか、また、順調に発電しているのか。しっかりチェックする必要があります。
しかし、現状では、情報公開は非常に不足しています。当初、1ヶ月遅れで公表されていた設備認定状況はどんどん公表時期が遅くなり、2013年9月24日現在、5月末の状況が最新となっています。
平成25年8月20日 資源エネルギー庁
再生可能エネルギー発電設備の導入状況を公表します(平成25年5月末時点)
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/dl/setsubi/201305setsubi.pdf
また、買取電力量、買取費用に関しては制度開始後1年以上が経ちましたが一度も公開されていません。
以前から行われていた住宅用太陽光発電の買い取り制度(余剰電力買取制度)も同じように電気代に上乗せされた賦課金(太陽光発電促進付加金)で費用をまかなっています。この賦課金は前年度の太陽光からの買い取り電力量から計算され、平成24年度までは算定に必要な数値が経済産業省から公開されていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/32/0382f97d3ef51c149373bf0fa8af6dd2.jpg)
(クリックで大きく見られます)
「平成24年度の太陽光発電促進付加金(太陽光サーチャージ)の単価の確定に伴う電気料金の認可について」より
http://www.meti.go.jp/press/2011/01/20120125005/20120125005-2.pdf
平成25年度の固定価格買取制度の賦課金については、このような買取電力量や買取総額のデータ公開はなく、資源エネルギー庁ホームページ「なっとく!再生可能エネルギー」内のQ&Aコーナーで解説が掲載されているだけ。
Q1 5-4.平成25年度の再エネ賦課金単価はなぜ0.35円/kWhとなったのですか?
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/faq.html#5-4
住宅用太陽光の余剰電力買取制度においても平成25年度は付加金算定の元になるデータが公開されていません。(住宅用太陽光の余剰買取では、かかった買取費用を翌年に支払う制度のため、H25年度前年分の付加金徴収あり)
さらに、固定価格買取制度では設備コストや運転費用を経済産業省に報告することになっていますが、こちらも公開されていません。これでは買取価格が適正であるかどうかを判断することもできません。
繰り返しになりますが、固定価格買取制度は国民が費用を負担することで再生可能エネルギーを増やそうというもの。長期間継続する制度を行うためにも丁寧な情報公開が不可欠です。
関連ページ
資源エネルギー庁 なっとく!再生可能エネルギー
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/index.html
太陽光発電:経産省、実態調査へ 認定設備の85%未稼働
http://mainichi.jp/select/news/20130821ddm002020153000c.html
県内の太陽光発電7割未稼働/国が実態調査開始
http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/social/20130924000109
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http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/c/ffa98f3b3206739ac58a985f3354620d
再生可能エネルギー固定価格買い取り制度の導入・認定状況(2013年5月末)
http://www.news.enestudy.com/2013/08/20135.html
再生可能エネルギー固定価格買取制度:価格決定のタイミング
http://www.news.enestudy.com/2013/07/blog-post_8.html
2013年9月24日更新
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