(画像は普賢岳への途中での霧氷)
白銀の普賢岳(1)より
国見岳を降りる時は用心しなければならない。急斜面の上に岩場であり、さらに凍っているのである。
両手両足を使って、時には鎖を持ちながらそろりそろりと降りる。
ここから普賢岳へ登るまでの鞍部までは、かなり下がる。道を間違ったのではないかと不安になるくらい
降りる。高度では100メートルくらいなのだが、延々と降りるような気がする。
ようやく紅葉茶屋の別れまで来ると、いよいよ次の目的地普賢岳への登頂開始である。
(紅葉茶屋にある道標)
ここからの登りは比較的登りやすい。
ただ、木々の霧氷はますますその付き方が大きくなり、路面も凍結している。アイゼンは必携であろう。
次第に大きくなる霧氷を楽しみながら高度をどんどん上げていき、またまた霧氷のトンネルを抜けると、
再建された普賢神社の祠のある山頂直下の広場へ出る。
そこから右手の登山道を僅かに上ると、そこが「普賢岳」(標高:1,359メートル)頂上である。
(普賢岳山頂付近にて)
山頂ではそこの岩にも霧氷が付いていて、なんとも言えない光景が広がっていた。
ここからは雄大な雲仙山系と、見下ろすと島原半島一帯の町々や有明海、その先の天草諸島や熊本
方面を望むことが出来る。
ガスっていたので、しばらく待ってようやく撮った「平成新山」(溶岩ドーム:標高:1,483メートル)の
威容。
(平成新山山頂全景、頂上のピークが僅かに見える)
紅葉茶屋まで降り、アザミ谷を通って駐車場へ向かう。
途中樹齢数百年のモミ林が疲れた身体に心地よい山歩きを促す。
かくして駐車場へ辿り着いたのだが、途中の展望広場からは、昔の大火砕流の後がはっきりと見て
とれるところもあり、霧氷だけでなくミヤマキリシマの名所でもあり紅葉の名所でもある雲仙山系であ
るが、自然の猛威を教えてくれるところでもあった。
余談であるが駐車場に着いたとき、老夫婦から声をかけられ、
「普賢岳に登って来らしたとですか?」
「はい。」
「どれくらいかかりました?」
「さあ、下りで1時間くらいですかね。でも今から登るのは無理ですよ。」
「でも登ったらどれくらいかかりますか?」
「さあ普賢岳にまっすぐ登ったら1時間半くらいでしょうか、でも今からは無理ですよ。」
「おとうさん、1時間半くらいだって」
などという会話が交わされたのだが、山を軽く見るのは厳禁である。
時刻はすでに午後の3時半。もし、あの老夫婦があのまま登っていったら確実に遭難するであろう。
冬山で十分な装備が無くて日が暮れ遭難、これは「死」を意味する。たとえ十分な装備があっても
遭難することがあるわけで、自然の猛威の前では人間は無力と化す。山は甘くはないのである。
でも、楽しかった~~♫
mm
まさき設計