東電旧経営者3人は「長期評価」に基づく部下たちの危機意識を知りながら、その対策に真摯に向き合おうとせず、いかなる対策をとろうともしなかった。大津波なんて、いつ起こるかわからないものの対策工事に数百億円ものコストをかけ、場合によっては原発の運転を止めるようなことになったらさらに経営が悪化すると考え自己の地位保全に走ったことは容易に想像できます。十分な対策が出来る地位にいながら怠り、無罪では国民が納得できないでしょう。高裁での賢明な判断が待たれます。原発以外でも、住民を巻き込む事故を起こした中小企業は破たんに追い込まれるはずです。そうした中、今度は関西電力で収賄罪疑惑です。「関西電力の八木誠会長(69)、正副社長ら役員6人が2017年までの7年間に、関電高浜原発が立地する福井県高浜町の元助役(3月に死亡)から、計約1億8千万円の資金を受け取っていたことが、国税局の税務調査で分かった。工事費として立地地域に流れた「原発マネー」が経営陣個人に還流した可能性があります。」原発を抱える電力会社は民間では無理、大きな責任があるからこそ、正規報酬を多額に受け取るのは分かりますが、不正に対しては厳罰で臨むべきです。
以下抜粋コピー
阪神・淡路大震災をきっかけに文科省に設置された地震調査研究推進本部・長期評価部会が2002年に公表した「長期評価」をどう見るかだ。その内容をごくごく簡単にまとめるとこうなる。
「三陸沖北部から房総沖の海溝寄りの領域のどこでも、マグニチュード8.2前後
の地震が発生する可能性があり、その確率が今後30年以内に20%程度」
同部会の部会長だった島崎邦彦氏(東京大学地震研究所教授)によると、地震波解析、GPS、古文書、地質、地形など、異なる分野から出された意見をもとに「最も起きやすそうな地震を評価してきた」という。
地震の短期予測はまず不可能かもしれないが、長期予想は侮れない。日本列島は、海側のフィリピン海プレート、太平洋プレート、大陸側のユーラシアプレート、北米プレート、これら4つのプレートが押し合い、隆起して形成された。プレート境界ではつねに地震エネルギーがたまり、やがて限界に達して、プレート境界型地震が一定期間を経て繰り返し起きてきたことが古文書や地層などから推定される。
マグニチュード8.2前後の地震が今後30年以内に20%程度の確率で起こるという専門家会議の報告は、原発をかかえる会社として、決して無視できる内容ではない。これまで大丈夫だったから大丈夫と思いたいのが心理的な自己防衛反応だろうが、しかるべき機関に不穏な材料を突きつけられると「もし起きたら」と不安も膨らむに違いない。
担当者なら、なおさらだ。東電の津波対策を担当するセンター長だった元幹部は、2008年2月、勝俣元会長や武藤元副社長らが出席する“御前会議”で、津波の想定の引き上げで新たな対策が必要になると報告し、異論なく了承されたという(元幹部の供述調書より)。
津波担当部門が「長期評価」をもとに計算したところ最大15.7メートルの津波が福島の原発を襲う可能性があるという結果が出ていたのである。15.7メートルの津波を想定して沖合に防潮堤を建設する場合、数百億円規模の工事費がかかると見込まれた。勝俣氏ら経営陣にとっては、知りたくない情報だ。当時、新潟県中越沖地震の影響で柏崎刈羽原発を停止し、会社の収支が悪化していた。そのうえ、福島第一原発の津波対策工事にとりかかり、完成まで原発の停止を国に命じられるようなことになれば、ますます経営が苦しくなる。
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