横浜市長選が次期衆院選の前哨戦として注目を集めている。首相は自身に近い小此木八郎前国家公安委員長の全面支援を表
明し、立憲民主党は元々小此木八郎氏を支援していたハマのドン藤木幸夫氏が支援している元横浜市立大教授の山中竹春氏
を擁立した。横浜のカジノは当初トランプに近い『ラスベガス・サンズ』が有力視されていた、ところが、サンズはコロナ
禍での収益悪化と厳しすぎる日本のIR規制に嫌気が差し、昨年、日本進出の見送りを表明。「結果、横浜ではメルコとゲン
ティンが残ったのですが、メルコの本社は香港ですし、ゲンティンも中国人がマレーシアで創業した華僑資本なんです。
折からの米中対立のなか、総理のお膝元である横浜のカジノ企業が中華系というのも考えモノ。カジノでは生体認証も行わ
れますし資産額などデリケートな個人情報も扱われます。そうしたデータを彼らに扱わせてしまっていいのか」中華系の
企業を排除する方が、カジノに拘るよりもよほど国益に適っているのではないかと菅首相は判断したようです。横浜の利
権が絡む話には必ず登場し、故・田岡一雄氏(山口組三代目組長)を尊敬してやまないと公言している横浜のドンこと藤木
幸夫氏が後ろ盾になっていて、立憲民主党推薦の元横浜市立大教授の山中竹春氏がいいのか、自民党・公明党が推し、目前
に迫る衆院選を前に、地元での敗北が許されない剣が峰に立たされている菅首相が推す小此木八郎氏か、現職林文子氏か
その他候補が乱立ししている横浜市長選挙、その結果が菅首相の今後の政権運営に影響を与えることは間違いなさそうです。
以下抜粋コピー
8月8日告示、22日投開票の横浜市長選は現時点で過去最多の9人が出馬を予定、情勢は混迷の度合いを深めている。
最大の争点はカジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致の是非。9人のうち7人が誘致反対の論陣を張り、関係者
のさまざまな思惑が交錯する中、菅義偉首相のお膝元でもある横浜市の自民党市連は候補を擁立できないまま分裂し自
主投票に。反与党票も分散が予想され、再選挙の可能性もささやかれている。
選挙戦は、IR推進を訴え4選を目指す現職の林文子氏(75)に対し、政党などの組織力を後ろ盾とする前国家公安
委員長の小此木八郎氏(56)と元横浜市立大教授の山中竹春氏(48)=立憲民主推薦=が誘致反対を掲げ対抗。
さらに、元神奈川県知事の松沢成文氏(63)や元長野県知事で作家の田中康夫氏(65)らが、知名度や政治家として
の経験や実績を武器に絡む構図が見え始めている。現職の林氏は4年前の前回選挙と違い、自公の推薦を得られなかった
ものの、IR誘致を望む地元経済界の強い要請を受け、4選出馬を決めた。7月15日の出馬会見では、「市の経済を活
性化できるキーは観光。IRは核となり、経済の流れをよくする。引き続き取り組んでいかないといけない」と強調した。
IR誘致に賛成しているのは林氏と元衆院議員の福田峰之氏(57)の2人だけだ。一方、〝台風の目〟となっているの
が、6月末に国家公安委員長を辞して出馬を表明した小此木氏だ。党方針と正反対の「IR誘致反対」という奇策で出馬
表明したことで誘致賛成、反対の両派を翻弄している。大きな影響を受けたのが党本部の方針に従ってIR誘致を進めて
きた自民市連だ。推薦については、「これまで訴えてきた政策とまったく逆で有権者に合わせる顔がなくなる」などとし
て一部の市議が猛反発。小此木氏は県連会長も務めた重鎮だが、市連執行部は「方針の矛盾について、どうしても説明が
つかない」(自民関係者)ことなどから所属議員は自主投票とする方針を決定。県連も追随した。ただ、その後、県内
の大部分の国会議員・県議・市議らが支持に回っている。小此木氏と関係の深い菅首相からも全面的に支援を受けている
という。しのぎ削る予定者山中氏は、立民を中心とした野党勢力が推薦しているが、小此木氏の登場により、反IR票を
まとめて勝つという算段に狂いが生じている。山中氏の陣営がよりどころとしている地元の実力者、藤木幸夫氏(90)
が小此木氏とも非常に近い関係にあることにも気をもんでいる。藤木氏は、中央政界に幅広い人脈を持ち、「ハマのドン」
と呼ばれて地元港湾業界を率いてきた人物だ。支援候補を立民の江田憲司衆院議員に一任した経緯から、山中氏支持に回
っているものの、「藤木家と小此木家は100年に及ぶ深い関係」(藤木氏に近い関係者)。小此木氏の出馬表明の裏に
藤木氏の了解があった可能性もささやかれている。参院議員からの転身を図り出馬を表明した松沢氏は、元神奈川県知事
としての知名度を生かすほか、当時の受動喫煙防止条例制定などの実績をアピールする。田中氏も作家や長野県知事とし
ての知名度を生かしたい考え。市内に点在する米軍基地や跡地利用についての問題を投げかける。反IRを掲げる候補同
士の牽制(けんせい)も激化している。元検事で弁護士の郷原信郎氏(66)は「データに基づく行政」を目指す山中氏
に矛先を向け、ギャンブル依存症増加の根拠となるデータの開示などを求めている。水産仲卸会社役員の坪倉良和氏(70)
氏は、山下ふ頭に中央卸売市場を移転する構想を掲げている。坪倉氏の構想に共鳴する郷原氏は、出馬会見に坪倉氏を招く
など、候補同士の〝共闘〟も見られている。福田氏は、行政のデジタル化推進を掛け声に、ネットを使った情報発信に力
を入れ、市議の太田正孝氏(75)は11期の議員生活で培った視点から行財政改革を訴えるなど、各候補が政策のアピ
ールにしのぎを削っている。衆院選と重なる?候補が乱立する選挙では、一般的に票の分散は不可避。横浜市選管による
と、公職選挙法では、最多得票者の票数が有効投票数の4分の1以上に達しなければ、当選者が確定せず、50日以内に
再選挙を行わなければならない。再選挙も立候補に制限がないため、候補者がさらに増える可能性もある。再選挙でも4
分の1以上に達しなかった場合は、何度でも再選挙が繰り返される。再選挙になれば首長不在の期間が生まれるだけでな
く、秋までに行われる衆院選と時期が重なることにもなりかねず、市長選をめぐり不安が渦巻いている。