消費税が3度目の正直で2019年10月から上がるようです。高齢者世帯の家計に直撃です。総務省「家計調査」では、高齢者世帯は「食料」「光熱・水道」の支出割合が多くなっている。実は、この2項目は過去10年間で最も物価上昇が進んだ項目なのである。
消費者物価の総合指数は07年から17年の間に3.3%しか上昇していない。しかしこの間、食料は11.8%上昇、光熱・水道は12.3%も上昇している。この物価上昇の痛みは、勤労者世帯よりも高齢者世帯で強く表れる。❝特にこの10年間の生鮮食品の値上がりは大きく、生鮮魚介は23.0%上昇、生鮮果実は14.2%の上昇だ。これに反応して、生鮮魚介の購入数量はマイナス35.5%、生鮮果実はマイナス15.4%と激的に減っている。「最近、お魚を食べなくなった」と嗜好(しこう)の変化をコメントする人もいるが、それは値段が高くなったから買い控えが起きているに過ぎない。家計は指数をみて生活実感を判断しているのではなく、スーパーなどで生鮮食品の値動きから「厳しい」とか「割高だ」とかを感じているのである。❞最近筆者の近所大手Tストアでは、毎月商品一律20円引きのシールを配っていますが、並んでいるのは高齢者が大半。高齢者にとって食品の値上がりは切実なのです。来年、統一地方選挙・参議院選挙では、高齢者の最大の関心事、消費増税が焦点の一つになるでしょう。
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安倍晋三首相が15日、来年10月の消費増税方針を示したのは、増税分を財源とする「全世代型社会保障」を昨年の衆院選と今年9月の自民党総裁選で自ら公約した以上、増税の準備を促す「再表明」が避けられないと判断したためだ。過去2回の増税延期もあって民間企業などの準備は遅れており、着実な実施を目指す財務省や公明党の要請に配慮した側面もある。
「上げるか上げないか、世の中は半信半疑だ。準備を進めるために表明してもらった」。財務省関係者は今回の表明が「三度目の正直」を世間にアピールする狙いだと解説した。
財務省主導の経済運営に慎重な首相は2014年11月と16年6月、消費税率10%への引き上げを「個人消費を再び押し下げ、デフレ脱却も危うくなる」として延期した。だが昨秋の衆院選に続き、9月の総裁選でも全世代型社会保障を公約して3選しただけに、三たび延期すれば、その公約の財源を失いかねない「自縄自縛」の状態にある。 一方、「二度あることは三度ある」とも予想する民間側では、増税に向けたシステム改修などの遅れが指摘される。首相はこれまでも折に触れて増税方針に言及してきたが、こうした不信感がぬぐえず、あえて再表明に踏み切った形だ。
財務省は増税実現へ地ならしに腐心し、昨年9月の衆院解散の際は、増税分の使途を変える全世代型社会保障も受け入れた。今回は「増税対策が進んでいない」(財務省幹部)などと訴えつつ、首相自身が増税を政府内や民間に「念押し」するよう促した。
増税時に導入する軽減税率をアピールしたい公明党も、山口那津男代表が1日の首相との会談で増税実施を要請。山口氏は15日、首相が「必ず実行する」と応じていたと明かした。
だが景気へのリスクは残り、自民党には来夏の参院選への悪影響を懸念して慎重論がくすぶる。野党は「消費不況から脱却できていない」(立憲民主・枝野幸男代表)と批判。今後争点化の可能性もある。このため首相はこの日も消費増税を「予定」と表現し、菅義偉官房長官は記者会見で、経済情勢をなお見極める姿勢をにじませた。首相周辺は「首相は最終判断していない」と強調した。