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Re:SALOON & VBA

しばらくは、過去BBSの倉庫、および
作成した EXCEL VBA の置き場(公開)として

胸中

2005年11月29日 23時30分46秒 | 詩(塚原将)
そう思うのならば わたしの胸に 刃を突き刺してもらおう わたしの胸の中に最早海は無い 汚れ切って重たいものが 腐臭を放って揺れているだけだ 言葉は時間を携えて沈殿してしまい 濁りを恐れるものは 白蝋化した太古の巻貝の中に手をついたまま 息絶えてしまった だから胸深く 突き刺さった刃の先が 青く光る魚の影に触れることが 奇跡的にあったとしたら わたしは満足して 両手を伸ばし切って仰向けに倒れる . . . Read more

ある会話

2005年11月29日 06時55分50秒 | 詩(塚原将)
ひとが泣いている わたしだ ひとが黙ってそれをみている わたしだ スポットライトのなかで 真夜中に朝がうつしだされて 枯れたつたの葉がゆれている窓が たったひとつの背景 一羽の鳥が赤い目をしばたたいて のぞきこんでいる 羽根をすこしばかりふるわせている 赤い目はわたしの目だ ヨシッと指をならして 泣いているわたしに近づく わたしを みあげる目に涙はなく 鳥にむかって笑いかけながら 合体が終わっ . . . Read more

同窓会

2005年11月25日 23時19分55秒 | 詩(塚原将)
あちらからひとり こちらからひとり 集まってきた仲間たち 数年の歳月を背負って ほんのわずかな緊張の後 目が握手しあって 心がいたずらっぽく微笑しあって 「やあ」と短い言葉 時を流れる河を 笹舟に乗った仲間たちが たあいないお喋りを積みこんで遡って 遠い湖にたどりついて 釣り糸をたれると 次々に釣り上げられる 緑色の魚たち 飽くこともなく 飽くこともなく 突然笹舟は走りはじめ 緑の魚達を水 . . . Read more

出歩き人間

2005年11月23日 17時16分22秒 | 読書
最近、図書館でコレ!という本に出会えない。 齋藤孝さんの本は、目に付くところは粗方借りてしまったし・・・ 短歌の本は、どうも敷居が高くて読めないし・・・(そんなにないけど、敷居の低そうなのは読んでしまったし・・・)、精神世界もコレというのに出会えなくなってしまって・・・。 やっぱり、既読の作者の本を自然と選んでいる傾向はありますね。 で、ちょっと冒険して(?)、 正高信男著『考えないヒト』ケータ . . . Read more

考えろ!

2005年11月23日 05時35分18秒 | 嫌いな言葉
「考えろ!」 最近、カミさんがよく使うようになった言葉。 「常識やろ」に、とって変わって出てきたようにも思う。 常識が、常識でない人間(僕)に「常識だろう」は通じないということが分かってきたのかも知れない。 「考えろ!」は、娘のピアノ練習で頻発して用いられる。 僕も、今朝(日付としては、昨日だけどまだ寝てないので)言われてしまった。 前日、洗濯機の蓋を、僕が洗濯物を入れるために開けて(くれて . . . Read more

夢のなかに

2005年11月21日 22時08分38秒 | 詩(塚原将)
わたしのなかで 追いつめられたものが それでもまだ目を輝かせて 夢のなかにとびこもうとしている わたしがいつも 時を駆け抜けたい心を抱いて 遠い青春を 馬鹿馬鹿しいほど近くに感じるのは そのためだ 塚原将『消せない時間』より . . . Read more

ススキのなかに

2005年11月20日 23時57分50秒 | 詩(塚原将)
揺り籠のなかにおいてきてしまったものが ススキの穂のゆれるにまかせて 光っている ススキのなかにねころんでいると 想い出が 銀色の雨のむこうを一列に並んで 通りすぎていって 円く佇む山のあたりで 風にのってまい上がってゆく 取残された影が わたしを探し求めている足音が ススキの穂のゆれる音を 奇妙な明るさに彩っている 塚原将『消せない時間』より . . . Read more

白いままに

2005年11月19日 18時06分27秒 | 詩(塚原将)
清冽な風のなかに 死ななかったというこで 白いままに生きる時は失われた ひとけのない森でみた 花の染まりゆく過程は 氷塊のなかに浮遊して 意味もなく紙を刻んでいった 鋏の音は まるく型を変えてしまった 豊穣な孤独が わたしを満たしきってしまったので 透きとおった死は 笑いころげて位置を変え 蒼い影を引きずって遠く振りむいたところで 白いままに生きる時は甦ることもなく 偽悪者ぶった顔をし . . . Read more

林の中に

2005年11月19日 00時17分24秒 | 詩(塚原将)
空につなぎとめられた太陽に 伸び上がるように咲く山つつじを 美しく思うには わたしの心は疲れすぎていて 逃れるように 林の奥深く続く路を 足早やに分け入って うっすらともれてくる陽のなかに 地面をみつめて咲く 一群の花に出逢った 花のそばに腰を下ろすと か細い香りが わたしの心の一番疲れた部分から しっとりと満ちはじめ 何時か ささえきれずに倒れこんだ わたしの瞳のなかに 花の回る音が . . . Read more