清冽な風のなかに
死ななかったというこで
白いままに生きる時は失われた
ひとけのない森でみた
花の染まりゆく過程は
氷塊のなかに浮遊して
意味もなく紙を刻んでいった
鋏の音は
まるく型を変えてしまった
豊穣な孤独が
わたしを満たしきってしまったので
透きとおった死は
笑いころげて位置を変え
蒼い影を引きずって遠く振りむいたところで
白いままに生きる時は甦ることもなく
偽悪者ぶった顔をして
ブランディーグラスを気障にかざしてみせるだけだ
塚原将『消せない時間』より
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