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Re:SALOON & VBA

しばらくは、過去BBSの倉庫、および
作成した EXCEL VBA の置き場(公開)として

写真

2005年11月05日 08時48分50秒 | 詩(塚原将)
まるい山のふもと ススキは半逆光のなか 夕暮れの色彩が いまにも透きとおってしまいそうな 写真の持つ意味を誰も知らないので 誰もがただきれいだと言うだけで このススキのむこうに続く 細い細い路を ひとりのひとが去っていってしまった すぐ後の時間 わたしの心は深く溜息をついて 過ぎ去った日をまさぐりながら シャッターに指をおいたのだ 塚原将『消せない時間』より . . . Read more

2005年02月28日 00時23分10秒 | 詩(塚原将)
何処ですれ違ったのか わたしには解からなかった 解かっているのは もう二度とめぐり逢うことはない ということだった それ以来 数知れない面が わたしの顔のまわりをまわり続けて わたしは 回り灯籠の灯になってしまった 塚原将「消せない時間』より . . . Read more

2005年02月26日 23時51分43秒 | 詩(塚原将)
いまのわたしの掌に捕らえられた白い鳩が まっ白いままに住みつくことは 虚偽が 思いもよらないほどに堆積している証拠なのに わたしは 白い鳩がわたしの指をつつきながら ますます白くなると信じこんでいるので 毎晩のように 死んだ鳩を埋めるための 深い深い穴を掘るのだ 塚原将「消せない時間』より . . . Read more

サングラス

2005年02月24日 23時43分16秒 | 詩(塚原将)
風がまわって去った直後の静まりのように わたしの心をまわって去っていったものが 残していったのは すべての海をめぐってもまだ 香りを保ったまま咲く 濃紺の一輪の花であった 花の上におちてくるものは 意味を喪失した後に 初めて花に吸いこまれるので 花は極限に達した静寂の中に ポッカリと孤独であった 花のまわりはいつの間に 繁殖した泥ぶかい匂いが強まって 不透明になっていつたのだが 花は 花弁のひ . . . Read more

くせ

2005年02月23日 00時25分25秒 | 詩(塚原将)
夕日を顔いっぱいあびたひとに よそみをしながら賞められてから わたしは言葉をのぞきこむくせがついて 言葉のなかに泳ぐものを すくい上げるまでは 微笑をたやすことがなくなってしまった もしあの時 わたしが夕日とむかいあっていたら わたしに進んでくる言葉を 風のように 受けるだけだったろうに 塚原将「消せない時間』より . . . Read more

つながらない過去に

2005年02月19日 01時22分13秒 | 詩(塚原将)
なにも飛ばなかった 澄んだ空を区切って 鴎の飛ぶ路は磨ききられていたのに 空は真一文字に口をむすんで 路は海の底に沈んだ 太陽は そこから 急速に時間を喪失した 波の犬歯は血に染まって 吸血鬼の伝説が飛ぶことのできない鴎をくわえこんで 空を支配した いま かえってくるものは なにもなく わたしひとりが 砂の棺のなかに横たわって 潮のみちてくるのを 待っているだけだ 塚原将「たったひとつ . . . Read more

追憶

2005年02月18日 23時58分58秒 | 詩(塚原将)
朝をくぐって 黒い犬が かけてゆく くわえているのは むかし わたしの愛した 女の顔だ ひとつの 線が わたしと 犬の 黒さのあいだに ひかれていて 忘れ果てていた 柱時計が ひとつだけ なった 塚原将「たったひとつの季節に』より . . . Read more

落葉

2005年02月17日 23時47分49秒 | 詩(塚原将)
夕暮れがくる ひとつの平凡な事柄に 木の葉のおちることが くわわっただけで くもり硝子のむこうを 花を摘んでしまった 気持の重さに うなだれた娘が 歩いてゆく 光が刻みを止めた みえすぎてしまった 慰めを ひきずって 塚原将「たったひとつの季節に』より . . . Read more

たったひとつの季節に

2005年02月17日 00時04分32秒 | 詩(塚原将)
夏が秋に移ってゆく ごくみじかい 潮騒がいちばん遠のく季節に さりげなく 終わってしまつたので 透きとおることも 濁ることも なく 想いつづけることも 忘れ果てることも なく ひとひらの小舟がつながれている 杭のところだけが まるい型に 静けさを保っている 塚原将「たったひとつの季節に』より . . . Read more

2005年02月15日 23時17分08秒 | 詩(塚原将)
わたしの心を 剥いでほしくはなかつた 玉ねぎを剥いでいくと 何も残らないということが 嘘であるように ほんの小さなものが つややかに指先に残ってしまうように わたしの心の奥底にあるものを みつけてほしくはなかった わけもなく 鋭利に光っている それを あなたはわたしのなかで ただ 眠っていればよかったのに いたずらな指先が わたしの心を剥いでいって わたしのそれにふれ 冬の真夜中に立ちすく . . . Read more

2005年02月14日 22時49分12秒 | 詩(塚原将)
過ぎ去った時間を ていねいにつぶしてゆくと 白いかげりを含んで 指を繊細につき刺すところがある それは ひとつきりの瞬間の 掌を触れた瞬間の 感触を 心にみたして 消えていったものが 残していったところで 鋭角な渦が 孤高の色彩を保って 深く深く おちこんでいる そして わたしはそこで 一度死んでいるのだ 塚原将「たったひとつの季節に』より . . . Read more