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Re:SALOON & VBA

しばらくは、過去BBSの倉庫、および
作成した EXCEL VBA の置き場(公開)として

優しい夢

2005年12月20日 06時25分46秒 | 詩(塚原将)
こんなに早く目覚めたのは 帰ってゆく夢が 少しばかり 足を滑らせたためだ どんな夢だったか 目覚めたばかりなのに忘れてしまったが 掌のなかにこもっていた レモンの香り 振りむきもせず そのくせとても優しい背中をみせて 夢は おちてくる最初の光を またいでいってしまった 塚原将『消せない時間』より . . . Read more

信州

2005年12月19日 23時36分10秒 | 詩(塚原将)
風が強いので 信州に行きたいと思った 風が冷たいので いっそう強く行きたいと思った もう全てが枯れきってしまったであろう 茶褐色の高原につったって 孤りぼっち風に吹かれていたいと思った そういえば 久しく身を切るような風に向かって 息の切れるまで走ることを忘れていた 風に乗って雲がすっとんでいった後の あっけらかんに寒い空に 夢を投げることを忘れていた 浅間のふき上げる煙に 心を燃やす熱さ . . . Read more

一枚の絵

2005年12月18日 01時18分17秒 | 詩(塚原将)
過ぎてゆく時間と 同じ速さでしか ものを想うことが出来なくなったので なんのためらいもなく 投げる花の軌跡が いつのまにか あなたの言葉になってゆく想いは 一枚の絵にして 心の書庫にしまいこんでしまった 塚原将『消せない時間』より . . . Read more

少年の日

2005年12月16日 22時49分04秒 | 詩(塚原将)
わたしのなかに 透きとおった穂先の揺れる ひとつの時間を握った少年がいる 少年は遠い日に 空に寄せる波に乗って 行ってしまうはずだったのに わたしは 少年の旅立ちの日から そっと目をそらせたので 少年は美しいだけの影をひいて わたしのなかに佇んでしまった だからわたしは いまでも麦わら帽子をかぶって 海辺を駆けてゆくことが 好きなのかも知れない 塚原将『消せない時間』より . . . Read more

2005年12月15日 01時08分29秒 | 詩(塚原将)
わたしには まだ涙があった 強い風のなかに ひとひらも欠けることなく 揺らぎつづける花に 手を差し伸べることもせずに ただ 想いをこめて流す涙が こんな小さなことに気づいたことで わたしは午後の明るさを ゆっくりとかぶりなおしたのだった 塚原将『消せない時間』より . . . Read more

2005年12月14日 00時21分55秒 | 詩(塚原将)
キラッと身をよじった魚から 水は大急ぎで池に逃げ戻った 少年の掌を 魚はかぼそく打って あたりをほんのわずか生臭くした パケツのなかを 魚はくるくるまわった くるくるとまわって くるくるとまわって 池はもうはるか遠くにいってしまった 少年は 浮きをじっとみつめていて-- 塚原将『消せない時間』より . . . Read more

桃の一枝

2005年12月12日 22時18分42秒 | 詩(塚原将)
路のむこうから 咲きこぼれる桃の一枝を持って 少女が歩いてくる わたしの心は少年になって 少女のところに駆けより 話しかけている 本当のわたしは すこし俯きかげんに 路の端に寄って 近づいてくる少女の影さえも 踏まないように 気をつけているのに 塚原将『消せない時間』より . . . Read more

路地

2005年12月10日 01時28分00秒 | 詩(塚原将)
唐突に風が流れこんでくると その時だけ 大通りからの音が わけもなく路地をさざめかせた 一杯飲み屋の赤提灯が 世の中の不幸を一身に背負った顔つきで ひとゆれすると 風の運んできた音は 枯れたつりしのぶの香りを残して 墜落した この路地の一番深い処に 大きく口を開いて 大通りに向って蹲っているのは 巨大に黴びた鮟鱇だ 塚原将『消せない時間』より . . . Read more

初秋の朝顔

2005年12月08日 22時28分52秒 | 詩(塚原将)
目覚めの遅いわたしにも 花はまるく挨拶して 風に流れる淡いふきながし 花の隣には 黒く光沢のある眠りへと ひたすら向かっている種が それらはお互いに知らん顔をして 昨日咲いた花の やわらかな握りこぶしの中に ススキの一穂にも似た 陽差しが少し澄ましていて 塚原将『消せない時間』より . . . Read more