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Re:SALOON & VBA

しばらくは、過去BBSの倉庫、および
作成した EXCEL VBA の置き場(公開)として

熱い心に

2006年01月24日 06時38分51秒 | 詩(塚原将)
わたしの心を そんなに覗きこまないでください あなたの姿が 全部映るほど身をのりだして あなたを映しつづけているのは 眩しすぎるし もしあなたが落ちてきたら わたしの心は 一瞬の輝きをみせて 砕け散ってしまうだろう 塚原将『閉ざされた愛』より . . . Read more

一枚の絵

2006年01月22日 19時27分14秒 | 詩(塚原将)
堤防の隙間から 姿をあらわした蟹に あなたは指をさしだす 蟹が急いで姿をかくすと あなたは息をひそめて待つ こんなくり返しを あなたは楽しげに 青々とした時間の中に捨てている わたしは あなたのすぐうしろにいるのに 遠い一枚の絵をみているようだ 塚原将『閉ざされた愛』より . . . Read more

海につづく道

2006年01月21日 22時24分37秒 | 詩(塚原将)
この道をたどってゆくと すぐに海に出ることは解っているが わたしはわざと 街の方向に足をむけたり 風を眺めたりして 海につく時間をのばしている たった一日という うっすらなページに 孤りきりの安らぎを 一文字も残さずに 十分にふくらませてから 波の音にくるんでおきたいのだ 塚原将『閉ざされた愛』より . . . Read more

ナナカマド

2006年01月20日 21時51分45秒 | 詩(塚原将)
濃い霧が ほんのりと赤く染まっている このむこうに 紅葉がある ふとバスガイドが わたしはナナカマドが好きなのです と言う 少しひくい声で言う その声が わたしの心に 濃い霧のようにかかって わたしの想いは ナナカマドを探しに 山深く旅立ってしまった 塚原将『閉ざされた愛』より . . . Read more

晩秋の山路

2006年01月18日 07時06分30秒 | 詩(塚原将)
ポツッとかすかな音がするたびに 梢から 黄色い揚羽蝶がまいおちてくる 赤い揚羽蝶がまいおちてくる 静まりかえった路に おちた蝶たちは もう身じろぎひとつしないで 冬の虫ピンにつらぬかれている 塚原将『閉ざされた愛』より . . . Read more

千羽鶴

2006年01月15日 21時42分08秒 | 詩(塚原将)
トンボがひいていった軌跡を 風が片手ですくいとっていく 風に揺れた花が 頭をこきざみに振りながら すました顔に戻ってゆく 木陰に腹這いになって 日盛りの風景をみていると あのひとが千代紙で折った 千羽鶴が 次から次へと飛んできそうな気がする 塚原将『閉ざされた愛』より . . . Read more

朝の記憶

2006年01月15日 09時26分47秒 | 詩(塚原将)
朝霧に濡れているトマトを かじった時の 特に「へた」に近い青みの残るところを かじった時の 香りが残っているので わたしの心は厚みをなくしてくると 朝の畑の路に踏みこんでゆく もう遥か遠い日のことなのに 何の迷いもなく歩いてゆけるのは 歳月にとり残された 朝の記憶を 作りあげた憧憬のせいだ 塚原将『閉ざされた愛』より . . . Read more

麦畑

2006年01月14日 06時15分52秒 | 詩(塚原将)
麦の穂の揺れる音が あちこちでぶつかりあって 空に軽快な花火を打ち上げている 帽子を忘れた少年が 風を頭にのせて走っていく 雲雀のおしゃべりが 絶え間なくふりそそぎ 麦の香りが 細い筆先に含ませた絵の具で 真昼をより明るく染めつづけている 塚原将『閉ざされた愛』より . . . Read more

菜の花畑

2006年01月12日 21時23分32秒 | 詩(塚原将)
菜の花が咲いている 少し汗ばむほどの春のなかに 菜の花畑がつづいている わたしは車窓から 孤り目をやっている 菜の花が咲いている 菜の花畑が拡がっている わたしは 友の葬式に出るために 孤り汽車に揺られている 菜の花が咲いている 途方もなく明るく咲いている そして わたしの心は 塚原将『閉ざされた愛』より . . . Read more

冬の空

2006年01月10日 22時08分36秒 | 詩(塚原将)
心の片隅をのぞかせて あなたが微笑ったので 冬の梢を通してみる 晴れわたった空がみえた わたしの想いは敏感に 空がかくしている雪の香りに気付いて そっと目をそらしたまま あなたの微笑みのすぐ横を通りすぎた 塚原将『閉ざされた愛』より . . . Read more

直線

2006年01月08日 19時31分40秒 | 詩(塚原将)
好きだと想う時の 心のふるえが 唐突に戻ってきたのは あなたがグラスの水を すっきりと飲み干した時の のどもとに気付いた時だ そこには わたしからとうの昔になくなってしまった直線が 惜しげもなく 時にむかって投げこまれている 塚原将『閉ざされた愛』より . . . Read more