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Re:SALOON & VBA

しばらくは、過去BBSの倉庫、および
作成した EXCEL VBA の置き場(公開)として

独楽

2006年02月20日 06時45分23秒 | 詩(塚原将)
わたしたちの過ごす時間は まわっている独楽のようなものだ どんなに激しく求めあっても 別れの時間が近づいてくると おたがいの背負っている生活が 型をととのえはじめて 別れの時間が わたしたちの思いを あっさりと現実のなかに倒してしまう 塚原将『閉ざされた愛』より . . . Read more

二人だけの手紙

2006年02月19日 23時13分17秒 | 詩(塚原将)
誰にも気付かれないように とりとめのない話の 言葉のうらにかくした 言葉を集めて あなたは封を閉じると うす紅色の切手を貼った それは わたしの枕もとに わたしが帰りつくまでに届いているはずだ 今日のあなたは 少し哀しげにみえるので 心の青いページをひらいて 封を切ろう 塚原将『閉ざされた愛』より . . . Read more

しのび逢う想い

2006年02月19日 02時48分24秒 | 詩(塚原将)
知らん顔をして いろいろな人と話していながら わたしの心はあなたをみつめている あなたの心はわたしをみつめている はやく二人きりになりたいと 希っている それは足音をたてないように ひとびとの間を縫って 黄昏色のコートをまとって忍び逢っている 誰にも知られてはならない 想いは ふたりの視界のなかにだけ 高く炎をたてている 塚原将『閉ざされた愛』より . . . Read more

指輪

2006年02月18日 02時09分10秒 | 詩(塚原将)
夜のなかを あなたは小走りに帰ってゆく とじこめられた愛が あなたのほっそりとした肩を 夜よりも暗く染めている 約束の時間を待つ心の 絶え間ない潮騒は 冴え冴えとした月の光に 照らされたまま凍てついてしまい あなたの微笑みやぬくもりは 別れ際にみせた涙の底に沈んでしまった サヨナラのかわりに 帰りたくもないと言って あなたはわたしの掌に掌をかさねた 細い指にかけたあなたの重さを 目をとじたま . . . Read more

凡人

2006年02月17日 00時08分33秒 | 詩(塚原将)
冷徹になりきるには わたしは さくらんぼの色を思いすぎる 温和になりきるには わたしは 真夜中のつららを求めすぎる 結局 わたしは暖かな陽差しのなかに坐って 行くこともない旅を 思いつづけているのが いちばん似合っている 塚原将『閉ざされた愛』より . . . Read more

孤独

2006年02月14日 20時45分56秒 | 詩(塚原将)
風が山を下りてくる音が 背後にして しばらくすると わたしにつきあたった 風にのってやってきた 暗褐色の啄木鳥が わたしの背中に深い洞をあけて 胸の奥深くくちばしを突っこんで 熱しきれない想い出を啄んでいる 塚原将『閉ざされた愛』より . . . Read more

小さなアルバム

2006年02月13日 01時17分27秒 | 詩(塚原将)
小さな花を落下傘にして 塀の上からとびおりて 足を痛めた それでも 甘酸っぱい馬鹿馬鹿しさに満足して 足の痛みよりも 塀の上から地面に着くまでの 気持の軌跡をたどりながら 一冊の小さなアルバムを 作ることに熱中しきっていた 塚原将『閉ざされた愛』より . . . Read more

ものおもい

2006年02月12日 10時31分52秒 | 詩(塚原将)
机の上にこぼれた 花びらの音に目を上げると いつの間にか雨がふっていた 何を考えていたのだろう かたつむりの歩みのように 思い切りゆっくりと 時を逆さになでてゆくと あじさいの花の色に染まったところに はじめて雨の音が聞えた 塚原将『閉ざされた愛』より . . . Read more

戻ってきたものは

2006年02月11日 06時54分53秒 | 詩(塚原将)
戻ってきたものはなんだったのだろうか 心の隅にかすかな傷みを落して もう風が肩にとまるなどという夢も 持つことはないのに 少女が レモンを思いっきりかじりながら 透明になっていった季節だけを 想いおこせるだけの幸せに酔っているのに 戻ってきたものはなんだったのだろうか 明るすぎる街で 髪のきれいな少女とすれ違っただけなのに 塚原将『閉ざされた愛』より . . . Read more