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Re:SALOON & VBA

しばらくは、過去BBSの倉庫、および
作成した EXCEL VBA の置き場(公開)として

秋の陽

2005年01月09日 00時05分47秒 | 詩(塚原将)
浮かんでいる陽ざしを そっとはじくと 細くひかる少年は コスモスの上に腰をおろした すっきりとゆれた花に 少年は遠く微笑って 陽やけした麦わら帽子の 小さな破れ目から 風がこぼれた 塚原将「たったひとつの季節に』より . . . Read more

旅立ち

2005年01月03日 08時38分37秒 | 詩(塚原将)
あなたが旅に出るといったときには もう あなたははるか遠いところに 風にふかれて立っている あなたがほんとうに摘みたい花は どのあたりに咲いているのだろうか 生まれたての蝶が はじめてみるひとひらの夢のなかに 咲いているような花は あなたはまだわたしの目の前にいるのに わたしをみる瞳は もう 想い出をのぞきこんでいるようだ 塚原将「たったひとつの季節に』より . . . Read more

明るい日

2005年01月02日 01時53分38秒 | 詩(塚原将)
背負っていることを 背負っていると感じないで すごしている日は とても明るい 背負っていないのに 背負っていると感じて あのひとはもう微笑わないだろうと 考えながら 波打ち際にそって歩きつづけた あの日は もっと明るかったのかも知れない 塚原将「たったひとつの季節に』より . . . Read more

希い

2004年12月30日 02時57分18秒 | 詩(塚原将)
でも 本当はいきたかったのです 海辺のひっそりとした町で 仕事はごく地味なもので 賃金はほんの少々なのに ただ 少女が希んだというだけで 淋しい砂浜に立って 少女が好きだという 海の色をみる時間のために 特に 台風の通ったあとの 空にすいこまれてしまった色が 海にもどっていく 一年にほんの少しの時間のために そうして欲しいと言う 少女の瞳は そんな色だったのに わたしは手を離したのです . . . Read more

そこ

2004年12月29日 00時49分15秒 | 詩(塚原将)
振りかえってみたところで もう そこはそこではない 目をしっかりと閉じて まだ明確に残っている映像を頼りに もどっていっても もうそこはそこではない 木の葉一枚までもが まったく同じ角度で 風に吹かれていても もうそこはそこではない かすかに上げた足のうらから もうそこは すでにそこではなく 彩色された位置になる 塚原将「たったひとつの季節に』より . . . Read more

晩秋

2004年12月28日 00時34分02秒 | 詩(塚原将)
いやに深閑としした昼だ 風が梢にとまっている 太陽はレモン型の風船 ひとりぼっちの子供が つつましくひっぱっている 何の構えもなく休んでいる 赤とんぼのおとした羽根のなかで 雪をきざむ音がきこえる 塚原将『たったひとつの季節に』より . . . Read more

コスモス

2004年12月27日 00時18分24秒 | 詩(塚原将)
コスモスの花の色が 傾斜しているのは 秋が深いためだ 保たれていた 花の持つべき香りのまい上る平らな形体は 脈搏もなくおちてくる光の向こう側に 風が握りしめていってしまった コスモスの花の香りが ゼラチンのように固まっておちているのは 秋が深いためだ 塚原将『たったひとつの季節に』より . . . Read more