化学系エンジニアの独り言

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2004年度温暖化ガスの速報値

2005-11-01 | 環境
環境省より温室効果ガス排出量速報値が出ていますので、少し眺めてみました。

速報値の但書きには、各種統計の年報値に基づいて算定されるが、現段階で2004年度の年報値が公表されていないものがあり、その場合は月報値を積算するかあるいは2003年度値を代用しているとある。したがって、数値そのものが確定されていないので、速報値というそうである。また、確報値は2006年4月頃に報告される予定とのこと。

ここまではなるほどとうなずけるのだが、さらに続けてまた基準年の排出量の確定に向けて、現在排出量の算定方法の精査を行っており、来年報告される排出量の確報地にはその結果も反映されることに留意が必要である、と書いてある。

基準年って、1990年のことのはずです。フロン等でも1995年のはずです。今から15年前の値をいまだに計算しているというのはいったいどういうことでしょうか。基準が決まらなければ、削減量も決まらないでしょうに。およそはわかっているが、細かい数値の再計算をしているという意味なのでしょうか。それにしても、今頃なんだよ、という感じです。こんな状況で温室ガス排出抑制のため、環境税を導入します、なんて言われてもね、と思うのは小生だけでしょうか。

さて、速報値の中身ですが、温室効果ガス全体では2003年度から0.8%減って、13億2900万トンになっています。基準年(確報値ではないそうですが)に比べて7.4%の増加です。また、目標値12億3100万トンまでにはあと9800万トン削減の必要があります。
温室効果ガスの中で最も量の多いエネルギー起源CO2については、2004年度速報値は11億8100万トンで2003年に比べて0.6%減っています。感覚的にはほとんど変わっていないというところでしょう。基準年からは12.6%増加しており、削減目標値は10億5600万トンですから、さらに1億2500万トンの削減が必要です。

ここで発表資料の中では、東電の原発長期停止の影響にも触れています。東電の計画では原発予定稼働率は84.1%ですが、実績は68.9%であり、そのため火力を稼動させていることからCO2排出は3500万トン余計に多くなっている。つまり、原発が予定通りならば、2.8%は減っていたという。ちなみに2003年度は原発利用率59.7%とさらに低く、それによりCO2は4.9%多く排出されていたそうである。
だから、原発が計画通り動けば目標値までの削減率は約10%となります。

原発利用率が計画に対してずいぶん低いように思います。原発は2008年から2012年にかけて予定通り稼動するでしょうか。もし動かなかったら、CO2削減量を守ることは難しくなります。
逆に言えば、原発が予定通り動けるように多少の整備不良があっても、見てみぬ振りをすることが必要になるのでしょうか。
ともあれ、原発頼みというのは心もとないですね。

原発の稼働率が多少落ちても、それを補えるくらいにほかの方法でCO2削減を達成しなければいけないでしょう。