十勝千年の森

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十勝の庭づくり ― キッチンガーデン紹介 ―

2009-09-15 12:34:55 | ガーデン 連載

十勝の庭づくり ― キッチンガーデン紹介 ―

キッチンガーデンに何を植えようか。
それを考える時、自分の頭に真っ先に浮かぶのはやはり「自分の食べたいもの」である。
その多くは自然と、普段は手に入りにくい西洋野菜や日本を含む伝統野菜、
絶対にそばに置いておきたいハーブや果樹であったりする。

数多くあるバジルやタイムの中からとびっきり香りの良いものを育てたい。
さやを割るとカラフルでユニークな姿を現す豆は、さぞ愉快な気持ちにさせてくれるだろう。
アーティチョークの蕾を茹でてシンプルにオリーブオイルと塩で食すのは至福の時である。

食べたいものだらけの幸せなキッチンガーデンは、自分の庭だからこそ。
種類豊富な野菜やハーブから、「これこそわたしのもの!」に出会うまで
ぜひさまざまな栽培を試してみてほしい。

十勝千年の森のキッチンガーデンでは、今後も育てていくであろう、
すでにお馴染みの野菜となりそうなものがある。

そのひとつがスイスチャード。
鮮やかな赤や黄色は、見ているだけで元気になれそうだ。



とはいえ、もちろん見るだけではない。
いつものロールキャベツをスイスチャードで作るのをおすすめしたい。

珍しい西洋野菜だけではない。北海道ならではの伝統野菜もかかせない。



写真は「八列とうきび」の葉。
実だけではなく、この葉の美しさも庭では嬉しい存在である。
栽培する人が少なくなってきているが、まだまだこのとうきびが好きな人は多いようだ。
収穫したてのものを庭でつまみ食いしてみる。
もっちりとした実は少し粉っぽさを感じさせ、後味の甘さにコクがある。
乾燥させて粉にし、パンを焼いたらさぞ美味しいことだろう。

日本は伝統野菜を多く持つ豊かな国である。
昔ガーデナーの卵として修業していた頃に、フランス人の熱心な作り手に
「日本の野菜は素晴らしい!」と熱のこもった調子で絶賛され、
ぎゅうぎゅうと握手をされたことがある。悪い気はしない。

欧米でも、世代を越えて育てられ受け継がれてきた種は
「エアールームシード」と呼ばれ、在来種や固定種とも重なる。
ちなみに「エアールーム」は先祖代々伝えられた、という意味がある。

十勝千年の森のキッチンガーデンの在り方を考えるとき、
いつもこの伝統野菜、「エアールームシード」がしっかりとしたメッセージを伴って心に浮かぶ。
品種選びは重要だと改めて感じる。

シードセイバーとして大切に慈しむように育てた種が、
やがて次の世代のガーデナーに受け継がれていく。
まるで森がそうあるように・・・。

そんな風に思いを馳せながら、小さな種一粒に密やかな夢をみている。


(新谷みどり/十勝千年の森ガーデナー)


※十勝毎日新聞連載「十勝の庭づくり ~キッチンガーデン紹介~」は
次回9月20日(日)が最終回となります。
最終回のテーマは「収穫」。どうぞお楽しみに!