11月1日、NHKの「プロフェッショナル」に極上の米を無農薬有機肥料で栽培するという石井稔さんが出ていた。栽培に向かう姿勢が、確かに、尋常ではなかった。作物は異なるが、ソバを栽培している私の観点から何が学べるかに注目して視聴した。
やはり、感動的であったのは、いいあるいは美味い米を作ろうとしてどこまでも追及するその姿勢である。例えば、無農薬ということが、どれほど大変なことか。稲の根元の雑草を取るのに、自ら工夫をして作りあげた重い道具を、普通の人にはただ歩くことさえ疲れる田んぼの中で、隅々まで引き回していた。これ1つとってもどれほど多くの労力を費やしているかが、充分推測できる。私のソバ作りなど比肩すべくもない。
しかし、どんなに労力をかけようと、方向性が間違っていればいい結果が得られない。石井さんの独自の米作りの方法は、美味い米を作りだすことに直線的に向かっている。ここが凄い。(蕎麦の世界では、多大の労力かけながら、美味い蕎麦という方向には向かっていないことがあまりにも多い。1例、蕎麦の味が最もよくわかり、玄ソバの良し悪しが最重要とするそば職人の方が多いのに、栽培にはなぜ多くの方が向かわないか。)