蕎麦彷徨

ひとりの素人が蕎麦について考えてきたことを書きしるすブログ

栽培 (74)

2007-01-30 | 栽培
ソバの殻すなわち果皮に一定の紋様があるものをどう拾い出したらいいのか。

前年の収穫された全てのソバから選び出すのはそう容易なことではない。そこで、すでに別のところで書いたが、NBさんに教わった石抜機を利用した。まずは、その機械で石の中に混入しているソバの種子を集める。こうすることにより、密度の大きい、いわば「重い」種子が選別できる。もうその時点で、丸々とした良質のソバの種子が集められているのである。これらの種子の中から、一つ一つ目で見て一定の紋様の種子を選んでいった。

まず最初の年に、140粒を選び、3m程の長さの畝を立て播種した。隔離栽培をするために、白い寒冷紗で覆いをかけた。しかし、これでは虫媒花であるソバは受粉をしない。ミツバチを入れるほどの広さでもないので、人工的に受粉させることにした。原始的な話だが、柔らかそうな筆を購入してきて、毎日花から花へと筆を「走らせた」のである。その際、ソバの花は長柱花と短柱花があるのでそれを特定しておいて、必ず交互に筆を「走らせた」のである。これで受粉が首尾良く行われるか心配したのだが、ソバは実をつけそこそこ収穫できた。

こうして収穫出来たソバの多くを、次の年度には50㎡足らずの「畑」に播種した。幅2mの寒冷紗を何枚も縫い合わせ、広いわけではないがソバの畑全体を覆い、ミツバチを放飼した。いよいよ次年度には、多くの種子の中からの選別が可能となった。
こうして、ソバの種子の選別と隔離栽培を2005年度まで継続した。

しかし、毎年収穫した「蕎麦」を食べると、始めに期待したような変化は認められず、心躍るような気持ちは次第にしぼんでいってしまった。結局最終年となった2005年のソバは香りに欠け大いに落胆した。そして、2006年は、従来の選別方法のみを継続し、隔離栽培は中止した。
自負して言えば、選別と隔離栽培をしたソバは、通常のどのソバと比べても劣りはしない。しかし、以前に書いた「山のソバ」には遥かに及ばない。

しかし、投げ出したくはない。物事には必ず突破口がある。
もう1度、今までの栽培を総括し、新たな発想を加味し、うまいソバ作りに挑戦したい。


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