蕎麦彷徨

ひとりの素人が蕎麦について考えてきたことを書きしるすブログ

栽培 (45)

2006-11-24 | 栽培
炭焼き窯を造るにも、竹を焼くことについても仲間とよく議論した。酒を飲んでの議論には、激昂し大きな声で怒鳴り合うこともあった。しかし、不思議なことに、遺恨が残ることはなかった。たかが炭焼きと人は言うかも知れないが、その難しさ故に議論はつきなかったのである。

これから書くことは、私自身の考えばかりでなく、仲間の人たちの考えも含まれている。それは、今では誰の意見か議論の中でどう採用されていったかなど、峻別つかないからである。まず、この点について仲間の人たちにお許しを願っておきたい。

竹炭を作るには、当然のことながら、炭焼き窯が必要である。窯を造るには幾つかのポイントがある。それは窯を造る土、窯の入口と出口(煙突)、窯の下側と屋根、窯の形である。いずれも重要なのだが、長くなるので、窯の下側、屋根、形の3点についてのみ触れてみる。

まず、炭焼き窯の下側について。

窯全体が湿気を持つのは、絶対に避けなければならない。しかし、窯は2重の意味で湿気にさらされる運命にある。1つは、窯自体が土中に造られているので、周りから水が差し込み易い。雨など降れば、特にそうである。2つには、炭にするいうことは竹であれ木であれそこから水分を蒸発させることなので、窯や煙突部分が水蒸気で満杯となってしまう。

これを避けるために窯の下側に工夫を凝らすのである。窯を造る時には、少し深く掘る。そして、奧から入口に下降する傾斜をつけて、最下段に丸木や細い枝を敷く。その上に土を盛り窯の床とする。すなわち窯の下には空間が出来ることになる。さらに、煙突の真下には小さな石などを並べ、落ちてくる水滴(竹・木酢液)は窯の中には入らないようにし、その水滴は下の空間に流れ込むようにする。床の上面にも傾斜をつけておく。こうして、一目見ただけでは判らないが、窯の下側には工夫を凝らし、窯は出来るだけ、乾燥し易くしておくことが重要なのである。