いったりきたり

いつも通りの日をまじめに過ごしながらにっこりしたりきゅんと身にしみたり

ラッシュライフ

2006-09-02 | Weblog
“ラッシュ”とはLush・Rush・Lash・Rash
豊潤なとか忙殺されるとか濫費するとか軽率なとか意味合いがあるらしくそれぞれの“ラッシュ”な5つストーリーをバラバラに描いていく。
でも、それはどこかで何かがつながりをもっていて、最後には1つの話となっていく。

とてもスタイリッシュ。

この小説を読んで、ある言葉を思い出した。
セレンディピティ(Serendipity) 「幸福な偶然の発見」という意味で、たまたま幸福(偶然)をつかまえる、ということ。
でも、この“たまたま”といのはたまたまであって、たまたまではないという。
日ごろ頭に残っていることが大事。
日ごろ頭に残っているとふっと捕まえられる。ちょうどそいつが浮き上がって来たときに捕まえられるそう。

去年、驚くような“セレンディピティ”をつかまえたけど、この小説のようにまったく切り離されたそれぞれの人生が実はどこか雲のように繋がっていて、日ごろ胸にある記憶が偶然の幸福をつなぐ絆になったのか…と思うと何かに感謝したいようなそんな気持ちになる。

小説の中で、40回も就職を落とされた中年の男が、道端で拾った老犬と引き換えに金持ちの男から仕事先を斡旋してもらえるいうシーンがある。
金持ちの男は当然そんな汚い老犬など、やすやすと差し出すことだろうとギラギラした目でその男をみるが、そこでの男の台詞がいい「これは手放してはいけない気がするんです。譲ってはいけないもの。そういうものってあります。」
ここが一番私の好きな場面。