いったりきたり

いつも通りの日をまじめに過ごしながらにっこりしたりきゅんと身にしみたり

佐伯祐三展

2008-07-14 | Weblog
佐伯祐三の描くパリはカフェのテラス、冬の街並み、文字で埋め尽くされたポスターが貼られた壁。
殺風景な建物に赤、白、黄色のポスター。引きちぎられたような何枚もの広告がべたべた貼られ、そこには踊るような文字が描かれている。
良き時代が語りかけるパリの喧騒。

でも、なんでこんなに、広告に心を奪われ描き綴ったの…




現在の街に溢れる大量生産、大量消費の広告と一ではなかったからだ。

当時(1900年代)は今のような印刷技術は無く、リトグラフでの印刷。

優れた技術者が一枚一枚刷っていたリトグラフ。一度に500枚くらいの製作が限界で云われていますが、その卓越した技術は現在の機械を使っても再現できないようです。

当時も宣伝用の広告だから、現在と変わらない扱いをされ、パリの建物の壁などに貼られて、使い捨てだったのでしょうが…
当時の色合いや風合い、当時流行のデザイン、様式、多岐にわたるジャンル、そんなリトグラフのポスターたち。
街中がモダニズムのアートに溢れていたのでしょう。

そう思いを馳せると『佐伯祐三のパリの街並み』が私の中でもうひとつ輝きを増した。