いったりきたり

いつも通りの日をまじめに過ごしながらにっこりしたりきゅんと身にしみたり

かぐや姫

2008-03-28 | Weblog
千年という長い年月を経過した今でも多くの人の心をひきつける魅力を十分に備えていますね。
とりわけ女の子にとっては月の世界の神秘的なイメージと男性を寄せ付けない気高さとそして、別離の哀れ…心惹かれる何かがあります。

はて、そのかぐや姫、永遠の憧れの美女か、それとも残酷な悪女か?
かぐや姫は、老夫婦にとってまさに希望の光となるのですが、この愛情のかけかたは溺愛。

ところでこの物語、母親役の嫗の登場がほとんどなく、名前をつけたのも、祝宴を催したのも、結婚を勧めたのも帝と仲を取り持ったのもすべて翁。
ファンタジーのようだけど、なんか胸に痞えるものがあると、よくよく考えてみると、翁の心の変化や野望を中心とした物語なんだ、と気づく。

翁はかぐや姫を嫁にしようと殺到する身分の高い人を見て、次第に野心をかきたてられていったのでしょう。
かぐや姫と一緒に黄金がザクザクっと出てきて大金持ちになって満足しとけばよかったのにね。
それだけじゃなく、賤しい職人だった竹取の翁が身分まで得ようとしたところが哀れの始まり。
富とは無縁な素朴な竹取だったのに、富のいたずら…でしょう、富の次は身分、それが彼を俗人に仕立て上げてしまいます。(世間にはよくありそうな話)残念なことに翁の野心は見事に打ち砕かれ、結末は病床に伏して破綻してしまうわけで。
これはファンタジーというよりもサスペンスだわ。

しかし、もともと天女であったかぐや姫が(穢れはてた!?)人間界で赤ん坊の姿になってそこからやり直さなければならないなんて、どんな大罪を犯したんでしょうね???