いったりきたり

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坂の上の雲ミュージアム

2009-06-27 | Weblog
小説『坂の上の雲』
司馬遼太郎さんが40代のほぼすべてを費やして完成させた作品。
松山出身の秋山好古、真之兄弟と正岡子規を中心に近代国家をめざす明治の日本が描かれています。
初めて国民意識の中で資格さえとれば博士にも軍人にもなることができた時代。
子規は新聞記者になり俳句、短歌で、好古は陸軍で騎兵を育て、真之は海軍で近代戦術の基礎を確立、日露戦争が勃発する激動を駆け抜けていきます。

ミュージアムでは毎年テーマを新たにした企画展をしています。
今回は「秋山好古」です。
司馬遼太郎が明治の典型のひとりとして捉えたといえる、好古の実像にせまっていきます。

好古自身の言葉を引用してこう紹介しています。
「若い頃はなにをしようかということであり、老いては何をしたかということである、というたったひとことだけを人生の目的としていた」と。
自らの人生を「簡単明瞭」に過ごすことつとめましたが、10代後半に小学校の教師になり、のちに陸軍士官学校の騎兵隊の育成に力を尽くし、晩年は故郷松山で中学校の校長の仕事をしました。
当時、陸軍大将という地位まで登りつめた人が地方の中学校の校長をつとめるのは異例なことだったそうです。

ミュージアムは地上4階、安藤忠雄さんの設計です。
(松山すごいの建てちゃったな…)
明治時代に関わる書籍、茂木ヒデキチ画の「絵でみる好古物語」。
明治日本の特徴の資料や映像での解説、ナポレオン1世からうけた勲章。
宮中晩餐会の料理の再現、30年式乗鞍など時間を忘れるほどの展示です。

また松山は日露戦争で29箇所の捕虜収容所が国内に設けられた最初の収容所でもあります。
当時の捕虜たちの日常生活の写真パネル展示があり、写真の中には道後温泉で唐草模様の浴衣を着てビールなんか飲みながらまったりしてるのもあります。
(なんか笑える)
他には、道後公園の自転車競走の写真があったり、選手たちは練習を重ね、当日に臨んだそうです。捕虜や市民3000名が見物し、最終的には日露対抗だったとか。
(松山初の国際スポーツ交流だったんだ)

これまで世界の戦争捕虜の中で、もっとも人道的に扱われた1つの重要なケースとして歴史を刻んでいます。