野の花 庭の花

野の花や山の花は心を慰めてくれます。庭園に咲き誇る花は心をはなやかにしてくれます。

春に紫の花で野原を埋め尽くす「オオアラセイトウ」(早春の花 030)

2021年03月20日 09時58分53秒 | 

春に紫の花で野原を埋め尽くす「オオアラセイトウ」。中国原産で渡来し、諸葛菜という名前をもっている。『三国志』で有名な諸葛孔明が食料として栽培したからだという。ほかにハナダイコンとはムラサキハナナとも呼ばれる。アブラナ科の馴染みの花の形をしている。侵入種だがスジグロシロチョウの分布拡大に寄与したとも。

(2021年早春 川崎市)

■早春の花シリーズ

「チロリアンデージー」(早春の花 001)
「クリスマスローズ」(早春の花002)
「ツルニチニチソウ」(早春の花 003)
「ペーパーホワイト」(早春の花 004)
「日本水仙」(早春の花 005)
「黄水仙」(早春の花 006)
「カラスノエンドウ」(早春の花 007)
「ラッパスイセン」(早春の花 008)
「ヒマラヤユキノシタ」(早春の花 009)
「ジンチョウゲ」(早春の花 010)
「ヒメオドリコソウ」(早春の花 011)
「アラセイトウ」(早春の花 012)
「オオイヌノフグリ」(早春の花 013)
「ハクモクレン」(早春の花 014)
「玉縄桜」(早春の花 015)
「タチツボスミレ」(早春の花 016)
「河津桜」(早春の花 017)
「ノースポール」(早春の花 018)
「ヒヤシンス」(早春の花 019)
「ミモザ」(早春の花 020)
「フレンチ・ラベンダー」(早春の花 021)
「シデコブシ」(早春の花 022)
「ムスカリ」(早春の花 023)
「レンギョウ」(早春の花 024)
「クロッカス」(早春の花 025)
「馬酔木」(早春の花 026)
「ヤグルマギク」(早春の花 027)
「雪柳」(早春の花 028)
「イベリス」(早春の花 029)

オオアラセイトウ
アブラナ科 Brassicaceae  オオアラセイトウ属

別 名 ハナダイコン(花大根)
ショカツサイ(諸葛菜)
中国名 诸葛菜 zhu ge cai
英 名 Chinese violet cress
学 名 Orychophragmus violaceus (L.) O.E.Schulz

花 期 3~5月
高 さ (6)15~60(90)㎝
生活型 1年草又は2年草
生育場所 草地、畑
分 布 帰化種   中国原産
撮 影 幸田町 12.4.15
江戸時代に観賞用として渡来し、野生化したもの。
 茎は直立し、1本か又は基部で分枝し、しばしば上部でも分枝し、無毛又はまばら~密に長毛がある。根生葉はロゼット状にならず、葉柄は長さ(1)2~8(11)㎝。葉身又は頂裂片は心形~腎形~広卵形~類円形、長さ(0.4)1.5~10(14)㎝、幅(0.3)1~4(7) ㎝、無毛又は長毛があり、基部は心形~まれに鈍形、縁は粗い円鋸歯状、先は鋭形~鈍形。側裂片は1~6対、無柄~有柄、長さ3㎝、幅2㎝、ときに欠く。最も上の茎葉は耳形~茎を抱き、無柄~有柄、長さ(0.5)2~9(15)㎝、幅(0.2)1~6(9)㎝、縁は粗い、不規則な歯牙状、まれに全縁、先は鋭形~尖鋭形。耳は長さ3㎝、幅4㎝以下。側裂片は無く又は両側に1~4対、無柄~有柄。果柄は二股に分かれ、無毛又は長毛があり、果実より狭く、長さ(0.6)0.8~2(3)㎝。萼片は線形、直立し、収束し、長さ(0.6)0.8~1.3(1.6)㎝、幅1.5~2.5㎜、 側部の対は強く、袋状。花弁は濃紫色~ラベンダー色~白色、広卵形、長さ(1.2)1.6~2.5(3.2)㎝、幅 (4)5~9(11)㎜、先は円形、爪部は萼片と同長。花糸は0.8~1.8㎝。葯は線形、長さ(3)4~6(8),㎜、明瞭な微凸頭。胚珠は子房の(20)40~70個。果実は狭い線形の長角果、丈夫で、4稜があり、長さ (3)4.5~11(13)㎝、幅1.5~3㎝。さやは、無毛又は密に粗毛があり、でこぼこし、普通、中脈がある。花柱は長さ(0.3)0.7~3(5.5)㎝。柱頭は2裂し、裂片は沿着する。種子は長楕円形、 長さ2~3(3.5)㎝、幅1~2㎝。2n=24
 アラセイトウ Matthiola incana はヨーロッパ原産。茎に灰白軟毛、分岐毛、星状毛など毛が多く、腺点が混じる。葉は灰緑色、全縁。花は密につく。

 

諸葛菜 の例句 

ありありと縄焼きし灰諸葛菜 能村登四郎
たはやすき泪もありぬ諸葛菜 飯島晴子
一日一日は旅立ちに似し諸葛菜 山田みづえ 手甲
吾子亡しや今年早咲く諸葛菜 角川源義
唐様の紫はかく諸葛菜 後藤比奈夫
夕べには別れの言葉諸葛菜 佐藤鬼房
天壇の植込うづめ諸葛菜 松崎鉄之介
天壇へ藍を頒ちて諸葛菜 鷹羽狩行
草庵の春らんまんと諸葛菜 富安風生
諸葛菜しばらくいつてひびきけり 岡井省二 鯨と犀
諸葛菜また咲きいでて忌の日来る 角川源義
諸葛菜むらさきに咲き新学期 山口青邨
諸葛菜やたらに咲かせ悉替壜 雨滴集 星野麥丘人
諸葛菜咲き伏したるに又風雨 水原秋櫻子 餘生
諸葛菜嫁の一語を佳しとせり 村山故郷
諸葛菜晩年の文字美しや 角川源義
諸葛菜疾く人界にかへり来よ 角川源義
諸葛菜眺めに今日の誕生日 後藤比奈夫
諸葛菜窓塞ぐかに活けくれぬ 石田波郷
諸葛菜花むらさきに卒業期 山口青邨
雑草園花むらさきに諸葛菜 山口青邨


濃い紅色の一重の花弁椿の縁を白く彩る「玉の浦」(椿シリーズ 21-04)

2021年03月20日 09時06分58秒 | 

濃い紅色の一重の花弁椿の縁を白く彩る「玉の浦」。ラッパ咲きの白の覆輪の種で、珍重されたらしい。どこか和菓子のようにもみえるのがかわいい。名前はこのヤブツバキ系の花が長崎県五島列島福江島玉之浦町の野生のヤブツバキから選ばれたためである。

(2021年早春 横浜市)

玉之浦
Tama-no-ura (長崎・五島)
【花】 濃い紅地に白覆輪の一重、筒~ラッパ咲、筒しべ、中輪、1~4月
【葉】 長い楕円形、中型
【樹】 立性、枝はやや垂れる。
【来歴】 1970年代
長崎県五島列島福江島玉之浦町の野生のヤブツバキ林より選抜。

藤田友一の発表、県ツバキ協会の命名・発表。

江戸時代の文献に「縁白」と記載のあるツバキは存在したが、現代これに見合うツバキは絶滅した(この他にも絶滅したとされている品種は多くある)。しかし、1970年代、偶然発見され、県ツバキ協会の展示会に出品され幻のツバキとして騒がれたとある。その後、原木は業者や多くのファンに枝を採取され裸同然の姿で枯死したという。

 しかし、その行為もあって今日では誰でも簡単に入手でき(当時は需要も多く高価ではあったが)、日本だけではなく、世界中で‘玉の浦’は栽培されている。はたして、‘玉の浦’にとって世界中に自分を繁殖できたことがよかったのか、東シナ海を臨むヤブツバキ林で人知れずひっそりと咲いているのがよかったのか、そのこたえは人々の心の中にある。

 

■椿シリーズ
「白角倉」(椿シリーズ 21-01)
「六歌仙」(椿シリーズ 21-02)
「太郎冠者」(椿シリーズ 21-03)

■椿山茶花シリーズ
「菊冬至」(椿山茶花シリーズ 20-01)
「曙」(椿山茶花シリーズ 20-02)
「夕陽」(椿山茶花シリーズ 20-03)
「白卜伴」(椿山茶花シリーズ 20-04)
「赤腰蓑」(椿山茶花シリーズ 20-05)
「玉芙蓉」(椿山茶花シリーズ 20-06)
「一子侘助」(椿山茶花シリーズ 20-07)
「肥後入日の海」(椿山茶花シリーズ 20-08)
「七福神」(椿山茶花シリーズ 20-09)
「昭和の栄」(椿山茶花シリーズ 20-10)
「富士の峰」(椿山茶花シリーズ 20-11)
「緋乙女」(椿山茶花シリーズ 20-12)
「光源氏」(椿山茶花シリーズ 20-13)
「三国紅」(椿山茶花シリーズ 20-14)
「乙女サザンカ」(椿山茶花シリーズ 20-15)
「剣の舞」(椿山茶花シリーズ 20-16)
「大空」(椿山茶花シリーズ 20-17)
「敷島」(椿山茶花シリーズ 20-18)
「静海波」(椿山茶花シリーズ 20-19)
「不二の雪」(椿山茶花シリーズ 20-20)
「桃源郷」(椿山茶花シリーズ 20-21)
「京錦」(椿山茶花シリーズ 20-22)
「花大臣」(椿山茶花シリーズ 20-23)
「明行空」(椿山茶花シリーズ 20-24)


雪解けの後に咲き出す早春の花「雪割草」(高尾の花 21-02)

2021年03月20日 07時52分59秒 | 

雪解けの後に咲き出す早春の花「雪割草」。野草のうちではセツブンソウと同じくらいに早く咲き出すので、この花のニュースを聞くとソワソワする。品種改良でさまざまな色が作りだされ、八重のものもあって多様な花を楽しめる。ミスミソウという名前はコミックと映画で有名になったが、現実のミスミソウは和やかな美しい花である。名前がきれいなので俳句でも好まれる。雪の降るうちから雪割草を夢見たのが次の句「しんしんと雪割草を恋ふるかな 青柳志解樹」。

(2021年早春 南高尾)

 

■高尾の花

「カタクリ」(高尾の花 21-01)

「雪割草」

雪割草の基本情報
学名:Hepatica nobilis var. japonica
和名:ユキワリソウ(雪割草)  その他の名前:オオミスミソウ、ミスミソウ、スハマソウ、ケスハマソウ、地桜花、雪割り草

科名 / 属名:キンポウゲ科 / ミスミソウ属

特徴
雪国の春を彩る雪割草(ユキワリソウ)は、ほかの花に先駆けて色とりどりの花を開くことから、多くの人に親しまれています。一般に「雪割草」と呼ばれるものには、オオミスミソウ、ミスミソウ、スハマソウ、違う変種のケスハマソウがあり、それぞれ自生地が異なります。
ここでは、最もよく親しまれているオオミスミソウ(Hepatica nobilis var. japonica f. magna)を紹介しましょう。北陸地方以北の本州日本海側に分布し、里山の雑木林の斜面や山地の林床に自生します。
早春に開いた花弁のように見える部分は萼片で、花弁はありません。花色は白や桃色、赤や紫と、野生植物には珍しく多彩です。花後、地際に3裂する葉を一度に数枚展開し、そのまま常緑となって1年を過ごします。タネはそう果で金平糖のように固まります。葉は一年中ありますが、「春植物」に近い性質をもち、目に見える成長は春で完成して、その後は翌年の開花までじっくりと芽や根を充実させます。
八重咲きなどの変化花も多く見いだされ、多くの先人により変異の仕組みもある程度解明されています。それにより園芸的育種も盛んで、近年では新しい園芸植物としてマニアの注目を集めています。

基本データ
園芸分類 山野草
形態 多年草 原産地 北陸地方、東北地方の日本海側
草丈/樹高 10~20cm 開花期 2月下旬~5月上旬
花色 白,ピンク,赤,紫,複色 栽培難易度(1~5) 
耐寒性 普通 耐暑性 普通
特性・用途 常緑性

雪割草

あどけなき丈を束ねし雪割草 山田弘子 こぶし坂
しんしんと雪割草を恋ふるかな 青柳志解樹
ふるさとや雪割草のかすかなる 古澤千枝子
まだ萼に隠れし花や雪割草 石田波郷
みんな夢雪割草が咲いたのね 三橋鷹女(1899-1972)
ものの影まだ地になくて洲浜草 永方裕子
よきことはいつか来るもの雪割草 鈴木伊都子
一と鉢の雪割草の野を買ひぬ 蔦三郎
一鉢の雪割草の野を買ひぬ 蔦三郎
傘雫振るや雪割草の濃く 増田萌子
図書室のこの窓が好き雪割草 行方克巳
奥能登の蕎麦屋に売れる雪割草 坂部尚子
小屋に春呼んで雪割草ひと鉢 石川桂郎 高蘆
峡の日のまなこに痛き雪割草 宇咲冬男
思ひ出すことも供養の雪割草 気田妙子
息止め見る雪割草に雪降るを 加藤知世子 花寂び
指を組む闇に雪割草の花 堀越胡流
控へ目に雪割草は地をわりぬ 松浦ミヤ子
旅信ばかり呉るる友あり雪割草 石田波郷
日に飢ゑし雪割草と灯をわかち 軽部烏頭子
洲浜草鞍馬はけふも雪降ると 後藤比奈夫
異倭(ことやまと)の子らも育ちぬ雪割草 水野真由美
空腹に雪割草の花ふたつ 宮坂静生 春の鹿
義士まつり雪割草を照らし売る 大西八洲雄
花日記雪割草に始りし 秋葉美流子
花終へし雪割草を地にかへす 軽部烏頭子
起伏みな雪割草の占める岬 中村青峯
逆修の板碑しんしん雪割草 望月精光
雪を割り雪を纏はず三角草 稲畑汀子
雪を割る力は見えず雪割草 竹下陶子
雪割草に跼むや兄も妹も 山田みづえ
雪割草佐渡がもつとも純なとき 中嶋秀子
雪割草古き落葉のかげに咲く 山口青邨
雪割草咲き出て峡の日章旗 唐橋秀子
雪割草咲く墓山に忌を修す 青柳はじめ
雪割草垂水の滝は巌つたふ 山口草堂
雪割草氷河の水に根を濯ぐ 依田明倫
雪割草海無き国は父の国 成瀬櫻桃子
雪割草裟婆捨て峠越えてより 青木和枝
雪割草谷間の風にたじろがず 設楽隆夫
雪割草通りやんせとは怖き唄 鈴木伸一
雪割草雲千切れとぶ国上山 朝妻 力
雪割草風透き通るこの辺り 高澤良一 宿好


白い小さな花が集まって咲く「イベリス」(早春の花 029)

2021年03月20日 07時07分49秒 | 

白い小さな花が集まって咲く「イベリス」。向日性が強く、太陽に向かって曲がるので「まがり花」とも呼ばれるらしい。まだ咲き始めだが、外側の花弁がもう大きくなっている。

(2021年早春 川崎市)

■早春の花シリーズ

「チロリアンデージー」(早春の花 001)
「クリスマスローズ」(早春の花002)
「ツルニチニチソウ」(早春の花 003)
「ペーパーホワイト」(早春の花 004)
「日本水仙」(早春の花 005)
「黄水仙」(早春の花 006)
「カラスノエンドウ」(早春の花 007)
「ラッパスイセン」(早春の花 008)
「ヒマラヤユキノシタ」(早春の花 009)
「ジンチョウゲ」(早春の花 010)
「ヒメオドリコソウ」(早春の花 011)
「アラセイトウ」(早春の花 012)
「オオイヌノフグリ」(早春の花 013)
「ハクモクレン」(早春の花 014)
「玉縄桜」(早春の花 015)
「タチツボスミレ」(早春の花 016)
「河津桜」(早春の花 017)
「ノースポール」(早春の花 018)
「ヒヤシンス」(早春の花 019)
「ミモザ」(早春の花 020)
「フレンチ・ラベンダー」(早春の花 021)
「シデコブシ」(早春の花 022)
「ムスカリ」(早春の花 023)
「レンギョウ」(早春の花 024)
「クロッカス」(早春の花 025)
「馬酔木」(早春の花 026)
「ヤグルマギク」(早春の花 027)
「雪柳」(早春の花 028)

「イベリス」

イベリスの基本情報
学名:lberis
その他の名前:トキワナズナ、マガリバナ(屈曲花)、トキワマガリバナ、キャンディタフト
科名 / 属名:アブラナ科 / マガリバナ属(イベリス属)

特徴
イベリスは、砂糖菓子のようなかわいい花が株を覆うように咲き、春の花壇を彩ります。名前は、スペインの昔の国名イベリアに由来し、この地域に多く自生していることからつけられました。中国名では屈曲花(マガリバナ)と呼ばれ、これは太陽を向く性質が強くて花茎が曲がりやすいことに由来します。
4枚の花弁のうち、外側の2枚が大きくなるのが特徴で、小花が多数集まって大きな花房になります。花房は、咲き始めは平らですが、咲き進むと盛り上がって長い穂になります。
イベリス属には40種ほどがあります。一年草では、「ヒアシンスフラワー」とも呼ばれるアマラ種(lberis amara)と、花色の多いウンベラータ種(I. umbellata)が多く栽培されています。多年草では、常緑性で耐寒性が強く、トキワナズナやトキワマガリバナとも呼ばれるセンペルビレンス種(I. sempervirens)がよく栽培されています。これらは、それぞれ園芸品種も育成され、特にセンペルビレンス種では多くあります。

基本データ
園芸分類 草花
形態 一年草,多年草 原産地 南欧、北アフリカ、西アジア
草丈/樹高 10~60cm 開花期 4月~6月
花色 白,赤,ピンク,紫 栽培難易度(1~5) 
耐寒性 強い~普通 耐暑性 強い(多湿には弱い、一年草は夏はない)
特性・用途 常緑性(種類による),香りがある(オドラータ種など),開花期が長い