今更留学記 Family medicine

家庭医療の実践と、指導者としての修行も兼ねて、ミシガン大学へ臨床留学中。家庭医とその周辺概念について考察する。

チェックリスト医療

2008-12-24 01:51:49 | 臨床留学
アメリカの医療は良い意味でも、悪い意味でもチェックリストで成立しています

入院の指示から、プロトコール化されたセットメニューをひたすらクリックしていきます

見落としが少なくなりますが、逆に「そのチェックリスト」の無いところに転勤となった時に、それが身に付いているかは疑問です


今回チェックリストと書いたのは、もっと違う意味が主旨です

すなわち入院診療をする時に、自分でおぼえとして作るチェックリスト

受け持ち患者が5人いたとして、それぞれの患者ごとにやるべきことをチェックリストに書き出しておきます

それらの優先順位を判断して、ひたすらこなしていきます

"Get things done!"  日本語で「やっつける」でしょうか

チェックリストの作成と、優先順位の判断が極めて重要であることは、思い返せば当初から言われてきたのですが

最近になってようやく実感するようになりました

入院期間が極めて短いため、

一日でも入院を長引かせることが「極めて良くないこと(罪悪)」と考えられています

今日中に退院させるためには、今日の昼までに「○○科」のコンサルテーションをすませる必要がある

そのためには、朝7時半にコンサルテーション先に直接電話をして、○○時までにrecommendationをもらえるように言質を取る必要がある

現在のFMBでも普通の経膣分娩で24時間
                       GBS陽性は36時間
       帝王切開で48時間

正常の経膣分娩で、生後20時間ぐらいになると、看護士や家族もそわそわし始め

「あらかじめ退院の指示を入力しておいて」とポケベルがなります

また殆どの男の子が割礼の手術(これも私たちレジデントの仕事)を受けますが

お産の合間をぬってベストのタイミングで割礼の手術をこなさないと、退院が遅れてしまいます

この辺りの時間感覚が、日本モードではダメだということに、半年たってようやく実感してきました

それというのも、FMBというホームのローテーションでアテンディングがダイレクトにフィードバックをくれているからです

Awayでも同じようなことを指摘されていたと、今になって思うのですが、かなり遠回しだったせいか、今ひとつピンときていませんでした

今頃実感するのは、ちょっとのんびりすぎた感もあります


チェックリストはセコセコして、せわしない感じがあまり好きではないのですが

全てを頭に入れておくほどの若い脳みそはありませんので、仕方がありません