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やさしいため息 青山 七恵 河出書房新社 このアイテムの詳細を見る |
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青山七恵 著 : やさしいため息
を、読みました。
主人公は派遣会社で、事務員をしているOL。
いつもの通勤途中で、4年ぶりに弟に再会します。
その日から、居候しはじめる弟は、奇妙な日記をつけ始めました。
狭いワンルームに横たわり、眠りに就く前、
弟にその日の出来事を報告し、
弟は、飾らない箇条書きで、ノートに書きつけます。
そこで語る一日は、主人公の一日のようで、
彼女のモノではありませんっでした。
弟の登場で、見えてくる彼女の姿。彼女の毎日。
主人公は弟を、自由奔放で、調子が良くて、要領が良い子で、
だからいつも、自分か割りを食ってきたように感じています。
しかし、物語を読み進めると、実は弟が要領いいんじゃなくて、
主人公が要領悪いんじゃない?って、視点は動いてゆきました。
主人公は、人づきあいが苦手というよりは、
どう他人と接して、距離を測ればいいのか、わからないのです。
日記に綴られる、沢山の嘘の一日。
しかし、本当の一日が増えてゆくと、主人公は自信を取り戻し、
人と関わることに、チャレンジしようと心は動きます。
この心の変化は、とても印象的でした。
人は誰しも、毎日がドラマティックなわけはなく、
代り映えのない毎日の繰り返しなはず。
おまけに、思い通りになることなんて、ほとんど無くて、
自分と、他人の思いの中を、必死で泳いでいるのかも。
でも、本人の意識や感性で、いくらでも日々を輝かせることが
出来るんじゃないか?
立ち止まって、自分と向き合うことが、改めて大切だと思いました。