窓の灯 青山 七恵 河出書房新社 このアイテムの詳細を見る |
青山七恵 著 : 窓の灯
を、読みました。
ミカドは、喫茶店の上の部屋に住み、喫茶店でアルバイトをしています。
店の女主人“姉さん”は、そこはかとなく漂う、大人の女の魅力があり、
その魅力に、常連の男たちはもちろん、ミカドも魅了されています。
仕事が終わり、独りで過ごす小さな部屋の、
向かい側に見える、同じように小さな部屋。
ミカドはその部屋をこっそり観察するのが
唯一の趣味のようになっていて、いつも部屋の灯りを消して、
向かいの部屋の明かりの中に浮かび上がる、様子を見つめていました。
窓から見える景色を、じっと観察していた主人公。
その姿はまるで、長い長い長編映画を見ているように、
どことなく、現実から遠く距離をとって暮らしているように見えます。
しかし、若く鋭い心を持った、ミカドはしだいに日常の中のリアルと対峙し、
内にこもりがちだった、自分を解放し、
大人に成長する予感を、感じる物語でした。
誰しも、ザラザラといろんな感情を経験して
大人になって行くものですね。
私も、過ぎ去ったそんな自分を思い出しました。