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ボロボロになった人へ (幻冬舎文庫) リリーフランキー 幻冬舎 このアイテムの詳細を見る |
天気 朝からずっと雨はまだ
リリーフランキー 著 : ボロボロになった人へ
を、読みました。
タイトル作「ボロボロになった人へ」は、6作品中最後に収められた作品。
たった4ページの短編で、まるで長いポエムのようです。
戦争中の町に住むフィーゴは、右足を地雷で失い、
もう片方の足の爪が、折れたまま、体につながっています。
善良な人、ひどい悪人、あらゆるすべての人のために
何かとてつもなく良い事をして、逝きたい。そう思いながら
どうすることもできずに、足の爪はただ再生していった。
をいう、とても単調なお話の中に、人の生きざまの真髄が
したためられているような気がしました。
「東京タワー ~オカンとボクと時々オトン~」で
一世を風靡したリリーフランキー、その作品は
ただひたむきに母を想い、その死を淡々と語った名作でしたが、
この短編集は、東京タワー~ 以前の作者の
イメージの作品で、各作品エロさ爆発です。
しかし、そこは大ヒット作を生み出した、天才リリー先生。
軽快で笑わせる文章の中にも、人の持つ傲慢さや、
虚栄心や、儚さなどを、感じることができました。
設定が、不思議な非現実的な作品が多く
三崎亜紀のような、星新一のような、そんな感覚も楽しめました。
それにしても、タイトルがいいですよね。
どんな人でも、きっと一度はボロボロになった経験があるはず。
そんな誰もが、ふと手に取ってしまいたくなるタイトルだと思います。