天気 のち
のち
ぐるりのこと。(DVD)
を、見ました。
カナオと翔子は学生時代から付き合っていて、30歳にしてデキ婚。
女癖が悪いのを承知で、カナオと結婚した翔子は
「私がしっかりしてれば大丈夫。」と、カナオを
うまくコントロールして行けると思っていました。
しかし彼らを襲った、生まれたばかりの子どもを失うという悲劇は、
つらく苦しく、しっかり者のつもりだった翔子はすっかり壊れてしまうのです。
そんな彼らの10年間を追った、まるで記録映画みたいに淡々と過ぎる日々。
映画の終盤で、金屏風の前にはにかんで立つ二人。
10年の時を経てやっと夫婦になった。そんな瞬間を切り取った写真は、
この映画の象徴的なシーンです。
女好きで、靴修理バイトのカナオの子どもを身ごもった翔子。
大学の先輩の紹介で始めた、法廷画家の仕事を始めたカナオ。
以前騒がれたニュースを思い出させるような、事件の裁判で繰り広げられる
様々な人間模様。翔子の様子の変化とともに、この裁判のシーンも
この映画に感じる、無常観のような部分を、象徴していると思います。
この映画本当に見たかったので、やっと見られてとてもよかったです。
淡々と進んでゆく映画の作りや、木村多江の落ち着いた可愛らしさや
チョロチョロと登場する、脇役の豪華さなど、この映画のよさは沢山ありますが、
私がとても気に入った部分はやはり、リリー先生です。
リリー先生のあたたかい声と、筑豊訛りのセリフが、この物語の殺伐とした部分を
柔らかく包んでいたような気がしました。
無常の世の中を必死で生きてゆく私たち。
でもやっぱり、笑っていたい。
傷ついて嫌なこと沢山てんこ盛でも、
ただ一緒に笑える人がいれば幸せです。
そんな二人に、ゆっくりゆっくり成長してゆく。
人生ってそんな感じなんでしょう。