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Mrs.ベリーのVeryな一日

☆ミセス・ベリーのSmileダイアリー☆エレガントな女性目指してセルフプロデュース中(^v^)

オレたち花のバブル組

2017年10月17日 15時52分12秒 | ベリーの感想文(本・映画)
オレたち花のバブル組 (文春文庫)
池井戸 潤
文藝春秋

池井戸 潤 著: オレたち花のバブル組
を、読んだ。


老舗高級ホテルグループの伊勢島ホテルの
立て直しを任される半沢直樹。
次から次へと現れる敵に、果敢に挑む
痛快銀行活劇の決定版!


半沢シリーズを何作か読んでいると
同期入行の渡真利無くしては成り立たない事に気がつく。
『やられたら倍返しっ!』と、
眼光鋭く前を見据え、拳を握りしめて
速攻で渡真利に情報提供を求める。
というのが、佳境に入った時のパターン。
だから、渡真利が主役の物語も読んで見たい。




SOSの猿

2017年10月13日 17時50分36秒 | ベリーの感想文(本・映画)
SOSの猿 (中公文庫)
伊坂 幸太郎
中央公論新社

伊坂幸太郎 著 : SOSの猿
を、読んだ。



引きこもりの知人の息子の悪魔祓いする話と
300億円という巨額の損失を出した、
誤発注を検証する話が、交互に進んで行くお話。


伊坂幸太郎作品と言えば、
全然関係ない事の絡み合いの妙!
よくも毎回毎回、こうも関係ない事柄、人物を
一本の糸に縒りあわせる事が出来るもんだ
しかも、ごく自然にさりげなく。
で、この作品も伊坂幸太郎ワールドが炸裂していて
孫悟空なんかも登場する。
そう、ありえない存在もすんなりと
溶け込ませるのも、伊坂作品の特徴。


ほんとうに悪いのって、誰なんだろうね??








少女ポリアンナ

2017年10月12日 22時06分24秒 | ベリーの感想文(本・映画)
新訳 少女ポリアンナ (角川文庫)
木村 由利子
角川書店(角川グループパブリッシング)

エレナ・ポーター 著 :少女ポリアンナ
を、読んだ。



馬車もあるが、車も走っている。
そんな時代のアメリカが舞台の児童小説。
少女ポリアンナは、幼くして天涯孤独となる。
実母は、若い時分に貧しい牧師と駆け落ちした。
そんな母は、ポリアンナの幼い頃に亡くなり
信仰を守り清貧を守っていた父親にも先立たれたのだ。
孤児となったポリアンナは、
母の実家に住む、母の妹の元で暮らす事になる。
旧家然とした、母の実家は豪邸で
メイドも庭師も住まわせていた。
夢のように豊かな暮らしをおくれるのか?
と、思いきや陰鬱で堅物の叔母は、
ポリアンナに他人のような態度を取るのだった。


明るく元気で、ひたすらに健気なポリアンナの
ひたむきさに、心洗われ、深く考えさせられる。
ストリートチルドレンの“モモ”と
アルプスの天使“ハイジ”と
妄想少女“アン”を
ミキサーでドロドロに混ぜたみたいな
アメリカンガールだと思った。
大大円のハッピーエンドかと思いきや
ラストは、少し歯切れが悪い気がした。
人の傲慢さや、偽善を問題提起していたのかな?







ふる

2017年10月10日 16時01分48秒 | ベリーの感想文(本・映画)
ふる (河出文庫)
西 加奈子
河出書房新社

西加奈子 著 : ふる
を、読んだ。


花しす(かしす)は、アダルトビデオにモザイクをかけるという
特殊な仕事をしている。
数年前に、偶然産婦人科で出会ったさなえと2人で暮らし
人の邪魔にならないよう、細心の注意を払い
いつも『オチでいたい』と思っている。
健全にイジられて、周囲の調和を保つカシスは
誰も知らない変わったモノを収集している。
1日の会話をレコーダーに保存し
ベッドの中で聞いているのだ。


物語の中に、度々“新田人生”という男が登場する。
その新田人生は、歳も職業も様々で、主人公花しすとは
ほんの一瞬すれ違うだけの存在だ。
最初、新田人生の登場になにか深い意味を探しつつ読んでいたが
様々な新田人生は、重要なモチーフであはるが
決してキーパーソンではない。

そして物語を、読み終えて
ワタシの人生を通過して行った、多くの新田人生を思う。
新田人生は、あるいは女性の姿をしていたかもしれない。
人生に大きな影響を及ぼしたと、記憶の中に留まる事はなくとも
しっかりと、ワタシの今迄の人生の中で登場し
深層心理に影響しているかもしれない、多くの新田人生。
ワタシはこれからも、きっと多くの新田人生とすれ違い
大して気にも止めず生きてゆくのだろう。
ちょうど、主人公花しすのように
しかし、気にも止まらない小さなすれ違いでも
ワタシの人生の中に登場する、重要なモチーフになるのかもしれない。




満月の道

2017年10月03日 22時39分00秒 | ベリーの感想文(本・映画)
満月の道: 流転の海 第七部 (新潮文庫)
宮本 輝
新潮社

宮本輝 著 : 満月の道
を、読んだ。


引き続きモータープールを切り盛りし、つつがなく暮らす
熊吾達、松坂家族だったが
モータープールの管理人の片手間に始めた
中古車販売店“ハゴロモ”が、予想以上に拡大し
大所帯になって行く。
あくせくと大阪の街を、動き回る熊吾だったが
一度縁を切ったはずだった、西條明美が現れ
物語に軋むような不協和音が、混ざり始める。


輝ちんの代表作、流転の海シリーズ大河小説
始めて第1部を読んだのは、もう25年以上前で
その本を買った本屋さんは、現在跡形もなく
今では、本は家で注文する時代になってしまった。
それほどの時間と共に、物語の中では17年程の時間が流れている。

この小説の主人公である、松坂熊吾は
輝ちんの父親がモデルで、実際の出来事を軸に展開して行く。
輝ちんは昔から、50歳で初めて人の親となり
波乱万丈の人生を豪快に生きつつ
結局は、没落の一途を辿った自父の事を
事あるごとに語ってきた、だからわかっている。
よほど宮本輝を知らずに、最近このシリーズから
読み始めた人ではない限り、往年の輝ちんファンであれば
熊吾の最後の悲壮さは、嫌という程知っているのである。


そして、この満月の道の終盤は
その転落を予感させるシーンが満載で
次回作が楽しみでもあり、憂鬱でもある。
そんな複雑な心理をもってしても
やっぱり読みたい。豪放磊落な熊吾の生涯を見届けたい。
そう、思える凄い物語。
ゆっくり読んできて、良かったと思える名作。