佐賀県に来て「くど造り」の民家を見ずに帰る訳にはいかない。
途中でもチラホラ見かけるのだが、岡目八目の性癖として、寄り道を始めると果てしの無い状況が生じるので、極力ガマンしながら見過ごしていた。
それでも、武雄北方ICに向かう途中、塩田町のはずれ、ここで外したらもうムリ、と判断して停車、道沿いの民家を眺めた。
「くど造り」とは、佐賀独特の茅葺屋根の形態で、“くど”のように棟が三方に回された茅葺屋根の形である。従って、平面は“凹”のような形となる。流石に絶滅危惧種の民家形態であるが、地方の得がたいアイデンティティとしては、手が打てないものか、よそ事ながら気になる民家の一つ。
モノの本によると、台風の時に、凹の字型の両翼の棟で強風対策の押さえとする、という説があったが、果たしてどうだろう。風向きと平面の間取りの関係と、広い佐賀平野の立地条件と、様々な要因がありそうだ。そう言えば、本来の「くど造り」には、テッペンの棟瓦に「みのんすく(ミミズクの意か?)」という角状の飾りが付くが、アレも妙と言えば妙な造形だ。
一方の鍵屋も、東北の南部(岩手)で見られる「曲がり家」と西日本の「鍵屋」では、使用目的の違う立地だと思われる。江戸期は、宇和島藩内では三間郷の庄屋毛利家以外では殆ど見られず、ステータス建築だったし、ハテ、日田・玖珠地方の「鍵屋」はどうだろう。
併せて、日田・玖珠地方で見かける「鍵屋」も。
なかなか、お目にかかれませんので、この際に。すみません。