ことばを鍛え、思考を磨く 

長野市の小さな「私塾」発信。要約力、思考力、説明力など「学ぶ力」を伸ばすことを目指しています。

住みよい、読みよい、学びよい?

2005年11月01日 | ことば・国語
地元の有力紙、信濃毎日新聞の販促キャッチフレーズは「早い、読みよい」です。

「早い」は「速い」じゃないですかね。
「朝早く」届くことより「ニュースを速く」伝えることを訴えていると思うので.....。

それはともかく、今日採り上げたいのは「読みよい」の方です。
私はどうもこれが気になって仕方ありません。
何回聞いても違和感が拭えないのです。

「気持ちよい」「心地よい」「形よい」など、名詞に「よい」が付いて形容詞になっているものはすんなり受け入れられるのですが、「動詞+よい」の形はすべてダメですね.....。

同じように感じている人がいるだろうとネットで検索してみましたが、そんな話題は見つかりません。
もしかして、私だけの感覚なのでしょうか.....?

辞書で調べると、「よい」の使い方には確かに「(動詞について)その動作を良い気分ですることができる。むずかしくない。たやすい。」(by広辞苑)とあり、万葉集での使用例も載っています。

最も普及しているのは「住みよい」でしょうか。
「住みよい町作り」「住みよい環境」などと広く使われています。
「住みやすい」と言うと「たやすい」ニュアンスの方が強く感じられるので、「良い気分で」が前面に出る「住みよい」が好まれるのだと推測します。
自治体などがやたら使いたがるのが納得できますね。

でも、これって最近の傾向だと思うのですが.....。
もともとは「住みやすい」の方が主流だったのでは?
因みにYahoo検索では、「住みよい」88万件に対し、「住みやすい」は115万件.....いい勝負です。

これだけ私以外の人々に受け入れられている「住みよい」ですが、ではこれ以外の「動詞+よい」はどうでしょう。

「使いよい」47,000件、「食べよい」11,000件、「暮らしよい」7,500件、「見よい」4,000件.....。
あとはぐっと減って「行きよい」「走りよい」「書きよい」「聞きよい」、そして冒頭の「読みよい」も3けた止まり。
「話しよい」は32件、「遊びよい」16件、「着よい」13件
という結果でした。

「住みよい」の使用例が際だって多いのは、やはりお役所などが好んで使うことのほかに、地名や神社名などに「住吉」が使われていることも影響していると思われます。

ところでこの「動詞+よい」、上に書いたように元はあまり使わなかったものが今増えているんでしょうか?
それとも昔は結構使われていたものが減ってきて、「住みよい」など一部のみが根強く残っているのでしょうか?

私はどうも前者のように感じています。
「住みよい」のヒット件数が「住みやすい」を抜くのも、おそらく時間の問題でしょう。
私は今後も絶対使いたくありませんが.....。

さあ、それでは今日も「わかりよい」(19,500件)教材作りと「学びよい」(22件)環境の整備に励むことにしましょうか.....。


※応援してくださる方はクリック(↓)をお願いします!
にほんブログ村 教育ブログへ