深キ眠リニ現ヲミル

放浪の凡人、中庸の雑記です。
SSなど綴る事アリ。

中庸の日常⑦

2006年09月06日 | 日記
最近、だいぶ秋めいてきた、と思ってきたがまだ日中は暑い事が多い。昨日も京浜東北線が動かなくなったため、仕方なく馬車道駅から横浜を目指したのだが、どこにあるんだかちっともわからずに、20分も彷徨えば喉がカラカラになるくらいの日差しにすっかりやられてしまった。
 今日に至りては少し涼しい。しかし、雨はやめて欲しい。鈴虫は良いが、夜に大声で鳴くのは五月蝿い。蝉より性質が悪い。そんなわけで、どうも気色は優れぬ。明日行く気のないところの面接を受ける事になったのが、またマイナスになっている気がする。バイトでもしたほうが余程よい。最近は消費するばかりでいかん。

 いや、わたくしの事はどうでもよいのだ。
 今日はどこかの国の何とかの宮に男子が出来たとかで騒いでいる。実にどうでもよい。誰が死のうが、誰が生まれようが関係ない。黒田清隆ではないが、超然としておればよい。誰が生まれようと、税金が安くなるわけでもないし、ビールがうまくなるわけでもない。もちろん、友人の子であれば、めでたいと思えるし、ビールも上手くなるかもしれない。気持ち次第だから。
 まぁ、どうでも良い事の話はすまい。それではまるで、どうでも良くない事のようだから。
 
 最近目が疲れやすい。別にディスプレイをずっと見続けているわけでもないのに、とても疲れる。人間やはり五体も五感もしっかりしているのが、一番だ。そう思う。やがてこの五感が衰えていくのだろうか、と思うとちと恐ろしくもある。今感じる音を感じなくなり、今見える景色が霞んでいたり、柔らかい感触を感じなくなっていたり、旨いものを脂ぽいと感じたりするのだろうか。
 そうすると、昔わたくしが感じていた、あの空気に乗るような不思議な感覚ももう、戻らぬのであろうか。少々残念ではある。しかし、いまは今でぼちぼち楽しいこともある。差し引きゼロかな。

 じゃ、お休み。ゆっくりとね。そして、また明日。

中庸の日常⑥

2006年09月03日 | 日記
 ああ、最近夜は秋ぽくなってきましたね。まったく光陰矢の如し、とはよく言ったもので、充実した時間はあっという間に過ぎ去るものです。だから、更に充実した日常を送るために、計画を練って行動しよう。自分!最近またたるんでいる。思い出せ、あの日々を!お前を苦しめたあの日々を!また、後悔させるつもりか!

 という具合に叱咤したくなる今日この頃。

 秋・・・安芸・・・空・・・ああ、寒い季節が近づくと心が寒々しくなるのは何故だろう。しかし、今年はまだまだやることが山積み。ボーッとしている場合ではない。

 そして、今日もお疲れ様。おやすみなさい。兄弟。

ひさしぶりの埼玉

2006年09月03日 | 日記
 しばらく前に私の元に、懐かしい劇団のDMが届いた。懐かしいなどといっても、最初に私がそこを訪れたのは、三年前のことで、最後にいったのが二年前のことだった。
 二年ほどで私は懐かしいと言うような人間らしい。半年でも懐かしい、と多分言える。つまりこんな私の「なつかしい」はあんまり懐かしくないのかもしれない。しかれども、わたくしの主観が懐かしいという語を意識的に選んで心裡でそう思っているという事は、純粋に懐かしいという感情がそこにあるのではないだろうか。

 と、少々はなしがずれたが、そんなわけでふと思い立って久々に見に行ってみようという気になった。そうして埼玉というわけだ。
 埼玉は遠い。どれだけ遠いかというと、八時半に向こうをでると、見事に十二時十五分前に家に着くという、素晴らしい寸法である。わたくしにとっては全く以ってありがたくないわけであるが。おかげで交通費もだいぶ掛かった。それもまた、良かろうと思える。なんだかオヤジくさくなったものだな。いやいや、まだ若い。弱気になってはいかん。

 「スナフキンの手紙」
 というタイトルだった。前日に友人に聞いたには、有名な戯曲らしい。私は詳しくないので、知らぬ。もとより演劇に触れたのが、大学に入ってからだし、そもそも劇自体もあまり観覧したこともないのである。
 感想はというと、難しいところなのだが、結構わからない点があった。結局登場人物にはそれぞれ背後関係があったみたいだけど、それがなんなのかイマイチはっきりしなかった。終わった後、同道した友人と確認しあったほどである。
 しかし、全体的には楽しませてもらった。かの「かみそり後藤田」のパラレルな存在が登場したり・・・。わたくしにとっては胸をくすぐられるものだった。
 かの役を演じておられた方は、かつて見に行った時からずっと現役でまだやっている。多分年代は同じくらいだと思う。彼の姿にわたくしは、なんだかとても励まされた気がした。また、その相方をやっておられた方も、初めて見に行った時に主人公をやっていた方で、勇気をもらいました。いや、ありがたい。
 なにより、地下組織のアイドルが萌えでした。ついつい目がいってしまうのは、人情でしょう。うわ、それは・・・いかん。おお、なんてことだ!!ジ~ザ~ス!それにつけても、マネージャー役羨ましいなぁ、なんて思ったり・・・。妄言。
 そんなわけで、休日を思い切り満喫して、いい気分で寝れそうです。

 それじゃ、おやすみなさいませ。(いまそかり)

鏡の中

2006年09月02日 | 小説/SS
 悪魔がいる。
 私がその悪魔と対峙することになったのは、何年前のことだっただろうか。少なくとも高校生の頃に無精髭の生えた顔で、洗面所の歯磨き粉で汚れた銀色の古めかしい鏡を覗き込んだ時にはそいつは、既に口の裂けるみたいな顔で、私のことを見下しているみたいだった。
 私はすくなくとも、世の中の半分以上の人間よりは十分に優れた人間であると思っていた。もっと昔のことをいえば、本当に幼い頃は、私だけが特別な存在だと思っていた。いつの間にかすこし、落ちぶれてしまったみたいだ。
 私は順調に成長していた。成長と一口にいうではあるが、これは人さまざまな所もあるだろう。具体的にいえば、一流の私立大学を良好の成績で卒業し、一流の企業に就職した。人並み以上の恋愛劇場で、大学でも指折りの彼女を得た。
 月並みの表現をするならば、私の人生はまさに順風満帆だった。

 ところが、鏡の中の悪魔だけは消えることはなかった。それどころか、日々その姿を怪物じみたものに変容させていった。引きつる目、それに虹彩もどす黒くよどんでいく。
 奴が話すようになったのが、ちょうど私が結婚する数日前のことだった。
「お前は幸せになれない」
 なんだ貴様は。一体いつまでそこでそうしている。
「お前は幸せにはなれない」
 これは幻想だ。こんなことがあるわけはない。寝よう。
「おいおい、ちゃんと俺を見てくれよ」
 突然強い力が、私の顔をグイッと鏡に向けさせた。強い力が私の体を強く固定して、ぶるぶると震えた。
「逃げるなよ」
 何から。私は何も恐れるものがないと言っても過言ではない。
「まだ分からないのか?」
 わからない。貴様は悪魔だ。
 私の姿をした醜いくず野郎だ。消えちまえ!!
 消えちまえ。
「お望みのままに」
 人の心を逆なでするような、上ずった声・・・。私は遂にこぶしを振り上げて、鏡にぶつけた。ひびが入る。鏡の中の怪物もこっちに拳を突き出だしている。

 血!?

 血・・・だ。
 私の血?やつの血?
 うわぁぁぁあ。
 壊してやる。こんな鏡、壊してやる。粉々に砕いてやる。悪魔め!!
 
 血!
 血!!血!!!血ッ!!
 私は、徐に台所へ向かった。なんて緩慢な生なんだ。なんて・・・。一体私は・・・なんの為に。いや、もう考えるまい。
 私はもう、さようならのだから。鏡よ。鏡よ・・・。私は全てを変えるよ。この世を全てね。変えてやるよ。こんな意味のない世界。

 そうして、私は悪魔に身を委ねた。この無価値の世界をコワシテやる為にネ。