2025/4/17
《あらすじ》
ラスコはアリョーナと対峙する。
ラスコの小細工が功を奏し、斧で彼女の頭をたたき割る。
手間取りつつ財布と少量の金品を奪う。偶然、入ってきたリザヴェータも同様に殺す。
階下から客が上ってくるが、たまたま空いていたペンキ職人の部屋でやり過ごすことで、鉢合わせを回避する。結果的に彼は誰にも気づかれず帰宅する。
消耗したラスコは部屋で眠る。
しばらくして目を覚ました彼はようやく証拠になりうるものをどうやって処分しようか思案する。
ナスターシャと庭番がやってきて警察からの呼び出し状を渡す。
疑心暗鬼のままラスコは警察署に出向くが、殺人の件ではなく、家主から家賃の滞納で訴えられたことを知る。
安心して気が大きくなったラスコは署長や副署長を相手に身の上話をしながら宣誓書を書く。
・第一部はラスコが行動を起こすところまで。
・角川版でもやっぱりリザヴェータは殺される。
・あまりのことに思考が停止して声を出すことすらできない様子、頭上から斧が降ってくるのに中途半端に前方にのばされた腕、こめかみの深さまで達する斧。
・自分の命を守るという生物としての最低限の反射すらできない彼女が重ね重ね気の毒すぎる。
・そのあとラスコがバタバタしているのは、正直どうでもよく感じてしまう。
・自分のことを英雄だと信じて行動を起こしたはいいものの、徹頭徹尾そんな器じゃなかった。
・英雄の夢と妄想の中で生きてきたラスコが、殺人を犯してから少しだけ現実を生きるようになったのかもしれない。
・ただ、動いている時間以外は寝てばっかりいる。『罪と罰を読まない』で指摘されていたとおり、睡眠小説というジャンルがあったら筆頭格だと思う。
・火薬中尉(あだ名)の「おーだーまんなさい」という思い切った訳。新潮文庫版に比べて大分くだけている。
・今の時代だからこそ噛みしめたい「貧は不善にならず」という言葉。
・副署長とケバい女性とのやりとり、結構ねっとり描写しているわりに、この後の展開にほとんど関係ない。
・なんのためのシーンなんだろう。副署長の印象付けだけなんだろうか。