2024/12/1
・歌舞伎俳優の伊右衛門が、元恋人への愛に執着する妻に苦しめられる話。
・同じ演目で3回目の観劇。2013年と2016年。
・断片的な記憶はあるもののほとんど覚えていなかった。新鮮な気持ちで人間関係の把握に難儀する。
・前回までは客席が舞台を挟む変則的な形式になっていたけど、今回は一方向で目に付くのは映像用のスクリーンのみ。余計な飾りつけはない。内容勝負。
・伊右衛門役が能登英輔くん。今まであまり感じたことのないタイプの貫禄を感じる。影のある渋さ。
・岩→祝への役名の変換が好き。
・ギャグでお客さんを映像に慣らしてから、本命のシーンをぶち込んでくる。細かいことだけど手際がいい。
・敵役の与茂七役を演じた佐藤亮くんをはじめとして、新しく加わったメンバーはみんな好演だったと思う。
・与茂七が死んでから次のシーンまでがとても長く、途中から目が離せなかった。演劇のお約束として多少は動いてもいいと思うけど、しっかり死んでいた。
・無機質な死体とは対極にある役者根性のなせる技だと思うけど、何か技術的なコツがあるんだろうか。
・冒頭、ツイッターのRT機能を模した状況説明が相変わらず軽妙で楽しい。
・最後はリポストに変わっていたけど、コロコロ変わるSNSの仕様にどこまで付き合うかは難しいところ。
・エコーがかかったようなリポストの聞かせ方は今までもあったかな。拡散の勢いを感じさせて好き。
・今更だけど、うまい棒の彼はいったい何をやっているんだろう。初演から10年以上たってやっと気になってきた。あれで閲覧数を稼げると思っているのか。
・話が進んでいくにつれ、真相らしきものが明らかになっていく。事実は小説より奇なりという言葉があるけど、そもそも事実と虚構は簡単に区別できるものではない。
・極限状態で存在しない者を見てしまったり、言っていないことが聞こえてしまったり、現場にいた人間でさえ、事実を見失ってしまうことはある。
・ましてや、有象無象のSNSの言っていることなんて信用できるはずがない。
・一昔前はSNSは弱者のためのメディアだったんだけど、今はそういう感じではない。
・嘘の皮をはぎ続けているうちに、ごくシンプルな三角関係が現れるという展開がきれいだった。
(12/1 13時 コンカリーニョ)