遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

yhs『四谷美談』

2024-12-03 22:11:51 | 演劇を見てきた

2024/12/1

・歌舞伎俳優の伊右衛門が、元恋人への愛に執着する妻に苦しめられる話。

・同じ演目で3回目の観劇。2013年と2016年。

・断片的な記憶はあるもののほとんど覚えていなかった。新鮮な気持ちで人間関係の把握に難儀する。

・前回までは客席が舞台を挟む変則的な形式になっていたけど、今回は一方向で目に付くのは映像用のスクリーンのみ。余計な飾りつけはない。内容勝負。

・伊右衛門役が能登英輔くん。今まであまり感じたことのないタイプの貫禄を感じる。影のある渋さ。

・岩→祝への役名の変換が好き。

・ギャグでお客さんを映像に慣らしてから、本命のシーンをぶち込んでくる。細かいことだけど手際がいい。

・敵役の与茂七役を演じた佐藤亮くんをはじめとして、新しく加わったメンバーはみんな好演だったと思う。

・与茂七が死んでから次のシーンまでがとても長く、途中から目が離せなかった。演劇のお約束として多少は動いてもいいと思うけど、しっかり死んでいた。

・無機質な死体とは対極にある役者根性のなせる技だと思うけど、何か技術的なコツがあるんだろうか。

・冒頭、ツイッターのRT機能を模した状況説明が相変わらず軽妙で楽しい。

・最後はリポストに変わっていたけど、コロコロ変わるSNSの仕様にどこまで付き合うかは難しいところ。

・エコーがかかったようなリポストの聞かせ方は今までもあったかな。拡散の勢いを感じさせて好き。

・今更だけど、うまい棒の彼はいったい何をやっているんだろう。初演から10年以上たってやっと気になってきた。あれで閲覧数を稼げると思っているのか。

・話が進んでいくにつれ、真相らしきものが明らかになっていく。事実は小説より奇なりという言葉があるけど、そもそも事実と虚構は簡単に区別できるものではない。

・極限状態で存在しない者を見てしまったり、言っていないことが聞こえてしまったり、現場にいた人間でさえ、事実を見失ってしまうことはある。

・ましてや、有象無象のSNSの言っていることなんて信用できるはずがない。

・一昔前はSNSは弱者のためのメディアだったんだけど、今はそういう感じではない。

・嘘の皮をはぎ続けているうちに、ごくシンプルな三角関係が現れるという展開がきれいだった。

(12/1 13時 コンカリーニョ)

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劇団・木製ボイジャー14号『ドララ・キュララ』

2024-11-30 19:52:39 | 演劇を見てきた

2024/11/30

・札幌から離れた小さな町で、吸血鬼による多数の失踪や殺人事件が起き、住人たちが混乱する話。

・中心人物は大学で知り合って長く親友関係にある女性二人。演じるのは寺地ユイさんと山崎亜莉紗さん。

・以前、二人芝居を書いたことのある二人。久々にコンビで見られて懐かしい気持ちになる。

・複数のカラフルなボックスが並ぶ舞台美術がきれいで、特に十字架型の装置はモチーフに密接に結びつくだけでなく、自動車やベッドにもなる。汎用性が高い。

・ドラキュラという、たぶん世の中で最も有名な架空の存在が題材。

・本作のドラキュラ観は、どちらかというと悲劇的な存在として描かれているようにも見えるけど、そうでもない者、全然そうでもない者もいて、どう受け止めていいのか迷う。

・少なくとも三人の吸血鬼が出てくるけど、それぞれ全然ジャンルが違う。

・特に巨大なドラキュラは、人形で表現され、見た目がかなりデフォルメされている。

・北海道の田舎町で、あの大きさで、常にタキシードみたいなのを着ていたら、目立ってしょうがないと思うけど少しは周りに適応しようとかないんだろうか。

・たぶん山崎さんの演じている感じが一番自然で、実際にあの場所で吸血鬼が存在していたらああいう風にならざるを得ないような気がする。

・演出表現の手数が多い。人形やブルーシート、すだれ状の仕切りなど、一覧にして公開したら喜ぶ人が多いと思う。

・若いお母さん役の竹道光希さんの演技がとっちらかっててよかった。言葉の意味が繋がってないセリフが多いので覚えるのが大変そうだし、それをあの勢いで言うのは簡単じゃないと思う。

・おとぎ話のようでもあり、シスターフッドのようでもあり、風刺のようでもあり、日常系ファンタジーのようでもあり、そのどれでもないような、つかみどころのない話だった。

・自警団のところで急に生々しくなるのが怖い。

・白いふわふわに赤いチカチカしている物が何だったのか最後までわからなかった。

・今のところはアルビノの蝙蝠だと思っている。

(11/29 20時 シアターZOO)

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劇団words of hearts『博士と過ごした無駄な毎日』

2024-10-21 11:29:42 | 演劇を見てきた

2024/10/18

・戦時中、江別で木製戦闘機の開発に携わった人々が満足な成果を得ることなく終戦を迎える話。

・初演も見ているので、同演目二回目の観劇。

・「博士」は当時作られていた戦闘機の愛称。

・「無駄」というのは、実戦に間に合わなかったという時期の話でもあり、木製戦闘機で戦おうとする発想そのもののことでもある。

・戦争の悲惨さをセンセーショナルに見せるような作りではなく、地続きのはずの戦場と目の前の作業に追われる日常との乖離を見せる方針。

・戦場で肉親が死んでも死んだという情報しか残らない。

・大規模な自然災害もそうだけど、誰でも有事に直面するまでは平時。ネット社会の現代ですら、平時に有事のことを想像するのは難しい。

・滑走路を組み込んだ美術がかっこいい。上部のガラス部分の曇りも味がある。高村由紀子さんの舞台美術はいつも楽しみ。

・初演の記憶がそんなにあるわけではないが、にぎやかな女工三人の掛け合いの練度が上がっている。

・最後のお菓子を食べるシーンで「いただきます」と手を合わせるところ。頭で考えていたら、あんなにリズムよくできないと思う。

・温水元さん演じる所長の語り口が軽快。間の取り方やスピードがお客さんの呼吸を感じながら話してるよう。

・人は弁当箱の包みをくわえたまま話せるものなんだ。

・本庄一登くんの見た目の威圧感がすごい。特別な服装ではないのに、当時の雰囲気を感じさせる着こなし。

・見た目から女工三人との対比ができている。

・映画『風立ちぬ』で描かれていた、技術者の喜びと人殺しに携わる苦悩との葛藤を思い返すと、どこまで爽やかな青春劇として描いていいのかという疑問は残る。

・それも国の中枢と地方の温度差とは言えるのかも。

・アフタートークは作演出の町田誠也さんと街歩き研究家の和田哲さん。

・史実と創作の違いなど。宿探し以外は大体もとになるエピソードがあるとのこと。

・質問コーナーで、客席にも江別の方や作品関係者の方が来場されていたことがわかる。

・近現代の史実を題材にしている以上、上演して終わりではなく、現実との関わり方も重要になる作品なんだなと勉強になった。

(10/18 15:00 生活支援型文化施設コンカリーニョ)

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北星学園女子高等学校『ホット・チョコレート』

2024-10-16 20:58:13 | 演劇を見てきた

2024/10/15

・自分の詩に曲をつけてくれたバンド仲間の親友が転校することになり、引っ越しの荷造りを手伝っているうちに、自身の環境の変化を受け入れていく話。

・今の生活が充実しているほど、その時間を失うことが怖くなってしまうことはある。

・特に大人と比べるとタイトな時間制限のある高校生(or高校生経験者)は共感しやすい題材だと思う。

・平凡と言えば平凡な題材でもあるので、どうやって表現するかが腕の見せどころ。

・本作では、直接的な表現や大袈裟な事件などは採用せずに、親友の引っ越しだったり、幼馴染に彼女ができること、進路とジェンダーギャップ、昔のままではいられない環境を丁寧に表現していた。

・ほとんど「時間が過ぎゆくのが寂しい」だけで説得力のある一本の話ができている。強い。

・微細な心理表現が必要な主役の二人。演技として不自然なところが少なく、ストレスなく観ることができた。好演。

・ホットチョコレートのくだりはとてもよかった。あそこで牛乳とチョコを買ってくるセンス。

・本作では、別時空の人と思われる大人っぽい女性が一人、登場人物の女子高生たちの中に紛れ込んでいる。

・素直に見ればミオの将来の姿になるんだけど、今回のお話のなかでの役割がいまいち飲み込めず。

・あそこで自暴自棄にならず、ミルクとチョコレート買ってきたから今の自分があるみたいな感じなのかな。もうちょっと情報がほしい。

・主演の二人だけでなく、全体的に演技が見やすい。

・演技経験の少なそうな人もいるにはいたけど、うまく配役されていて気になりにくい。

・舞台袖からすでにわちゃわちゃしている感じがかわいい。

・彼女がいるのに幼馴染女子からノートを借りる男の無神経さ。彼女は彼女なりに抱えているものもありそう。

・引っ越しの準備で舞台上が少しずつ空っぽになっていくアイディアもおもしろかった。

(10/14 17:00 教育文化会館小ホール)

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札幌西高校『誰そがれ』(たれそかれ)

2024-10-13 18:29:00 | 演劇を見てきた

2024/10/11

主人公が母親の残した数々の写真を見つけて、友達と撮影された場所を探す話…だと思うけど、仕事で3分くらい開演に遅刻してしまったので違うかもしれない。

主人公とその友達、若いころの母親とその親友、二組のシーンを交互に見せる進行。

転校なんてどこにでもある別れだけど、だからこそ平凡な日常を特別なものに変える写真という媒体に意味が出る。

演出効果や舞台美術にこだわりを感じる。

スマホのタップ音まで出しているところ初めて見たかも。

写真を飾る複数のハンガーラックも、教文の広い舞台をしっかり彩っていた。

ホリ幕を使った照明効果は高校演劇で多用されがちだけど、その中でも見せ方がうまい。

花火も見られるとは思わなかった。

憧れの作家先生とあった時のリアクションより、シシャモについて語るときの熱量が高くてそれでいいのかと思ったけど、人間びっくりしすぎるとそうなるものかもしれない。

(10/11 18:30 教育文化会館小ホール)

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ラボチプロデュース のと☆えれき『葉桜とセレナーデ』

2024-08-29 19:41:26 | 演劇を見てきた

2024/8/29

・娘が出産する病院の駐車場で、実の父親と育ての父親がやり場のない感情を発散しあう話。

・初演も見ているので二回目。

・正直、見た演劇の内容はすぐ忘れてしまうので、細かいことはわからないけど、だいぶ印象が変わった。

・たぶん情報の出し方の調整が効いていて、かなり見やすくなっていたと思う。

・具体的には実の父親が警察を名乗るウソの回収と、育ての親夫婦に子供ができなかったくだり。

・初演時には、身分を偽ることによるハラハラが軸になりそうなところを途中で方向転換した感じだったけど、今回は自然に展開、着地させていたと思う。

・出産に立ち会うシミュレーションをしている時に、バレる前の段階なのに「お父さん」って言っちゃってるけど、能登くんの役が瞬時にそれらしい設定を考えたのか、うすうす気づいていたのか、どちらも可能ではある。

・もう一つの能登くんの役の子供ができなかったくだりは、前回もう少し言葉で説明していたと思うけど、今回くらいのバランスで十分伝わる。演技や演出の配分のほうかも。

・エレキ君が立ってるだけで、たしかに違和感なく警察にもヤクザにも見える感じがおもしろい。

・能登くんの、コンビニおにぎりのフィルムを向いて一口食べるまでの所作がきれい。隠れた見どころ。

・役柄や状況にもよるけど、こういう意外と複雑な動きをノイズなく見せられるところがすごい。

・クラップ式の腕立てをやってから、だんだん感情が高ぶっていくうちに、トレーニング的には全く意味のないスクワットにまでクラップ入れていたところが楽しい。

・「父親になれ」「なれない」のくだりで、一人の人間の中で、強い感情が混ざりあわず、原色のまだら模様のまま喋っている様子も好き。

・ゲストは福地美乃さん。声だけでなく、舞台上にも登場する。

・おじさんたちの残念さを俯瞰する役割で、自己憐憫に陥りそうな雰囲気をうまくかき消していた。

・たくさん演者がいる中の3人なら何度も見ているけど、今回は3人だけ。

・初期のyhs成分が濃いせいか、急に三人芝居になったのに、なんだかおさまりがよかった。

・諸条件あって難しいのはわかるけど、ぷらすのと☆エレキの福地さんバージョンも見てみたい。

(8/29 14:00 シアターZOO)

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ニットキャップシアター『チェーホフも鳥の名前』

2024-08-26 23:46:45 | 演劇を見てきた

2014/8/21

・サハリンにある、かつて劇作家チェーホフが訪れた家を中心に、1890年から1980年代頃に至るまでの間に起きた出来事を四幕に分けて見せていく話。

・戯曲は北海道戯曲賞の大賞作品。

・縁あってご招待いただく。上演直前で指定席だと気付いてあわててしまう。申し訳ない。

・大きく分けて4幕。1890年、1945年8月、1945年12月 1980年代および戦中の回想。

・ある地域の長期間の歴史を追うにあたって、単に網羅的ではなく、どのポイントをどう区切ってどのくらい膨らませるのかという加減はとても難しい。

・チェーホフ本人は一幕に出てくるだけ。

・それでも本作では、チェーホフが著書を通して時代を超えた登場人物たちにほんの少し影響を与え続けている、としている。ほんの少しだけど、大事な何か。

・こういうところは、戯曲に限らず、表現の根本的な意義なんだと思う。

・北海道文化財団発行の「北のとびら」などによると、チェーホフのルポタージュ「サハリン島」を起点に作られたそうだ。

・学校で習うような歴史だと、サハリン(樺太)は、ロシアか日本の領土という認識になるけど、少数民族の存在もあって実際にはそんなに単純ではない。

・地図でしか知らなかったような場所が、そこで生活していく人々を通して、だんだん色が付き、細分化し、立体化、多層化していく様子が楽しい。

・同じ演者さんが、単純に別の役だったり、同じ人でも年を重ねて見た目が変化しているだけだったり、別人でも血縁者だったりで混乱してしまい、終演後のパンフのお世話になる。

・以前映像で見ていたという油断があったかも。

・本来なら地理的に近い北海道の作家が書くべき題材のような気はするけど、逆に考えると、北海道の作家も他の文化圏を題材に挑戦してもよいのかもと思えてくる。

・自分にしか書けない作品というと、自分の出生や生活環境から題材を採るように考えがちだけど、人類が積み重ねてきた各種のアーカイブを信じるやり方もある。

・作品の題材選択から構成や表現の仕方まで、学びの多い作品だった。

(8/24 13:00 札幌市民交流プラザ クリエイティブスタジオ)

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ハイバイ『ワレワレのモロモロ2024』

2024-08-10 20:38:23 | 演劇を見てきた

2024/8/9

・四人の俳優がそれぞれ自分の経験を題材に脚本を書いて自分たちで上演する短編オムニバス。

・ご縁あって招待していただく。

・北八劇場は初めて。駐輪場が分散して設置されている。

・納谷真大『恵比寿駅発札幌、仕方なき弁』。

・出張先で便意とウンコに翻弄される話。

・どんな創作でも自分を晒す要素が含まれているものけど、そこまで晒さなきゃダメなのかとしみじみする。

・誰にでもわかる極めて敷居の低い話であり、企画趣旨をよく体現している、導入に最適な話だった。

・こんなノリかと油断していたら、次の滝沢めぐみ『クローゼットのほとけさま』は、宗教三世の経験談。

・西沢さんの演技は朗らかで屈託ない表情が魅力的なんだけど、自身の経験をもとにしている以上、安心できるような着地があるとは限らない。それが怖い。

・新興宗教は必ずしも悪しきものではない。なので、お札の買い替えにいくらかかったのかが気になる。

・足立信彦さん『僕の夢、社長からハト』。上京直後に、悪徳プロダクションの演劇公演にかかわった話。

・今の感覚では明らかに悪徳でも、ネットがそこまで充実していない時期ならありうる範囲だと思われる。

・それこそ演劇現場の苦労話なんて珍しくないけど、それでも本作は頭ひとつ抜けている。

・ガラクタを引き連れて登場してくる社長の姿は、事実だからこその絶望感と悲哀、わずかなおかしみがある。

・退所後の社長との距離感から、単に騙されただけではない、ノンフィクションらしい生々しさを感じた。

・南雲大輔『アメリカで起業したら大変だった件』。

・タイトル通り、アメリカで起業して色々あったのち、今舞台に立つに至るまでをそのまま作品にした話。

・パンフのプロフィールを読むと、たしかに南雲さんだけ演劇との接点が感じられない。

・小劇場系の脚本家が書かなさそうな題材を、小劇場らしい距離の近さで見せる。新鮮だった。特に人事のくだり。

・規模は全然違うけど、自分も辛いときにやりたいことを書き出したりするので、親近感がわく。

・「自分で演じる」という企画なので、本来は俳優以外の人生を見ることができないはず。そんな中で異彩を放つ作品だった。

(ジョブキタ北八劇場 8/9 19時の回 )

※せっかくご招待いただいたのでアフタートークで良い質問のひとつしなきゃと思っていたと思っていたが、何も思いつかず申し訳ない。お札の張替え費と、過去の同企画で俳優以外の方の作品はどのくらいあったのか聞けばよかった。

※身体接触は自分も気になったんだけど、あとで小道具受け渡しのための緊急措置だとわかって腑に落ちた。

 

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intro『ハワイの地平線、テキサスの水平線』

2024-07-27 22:42:34 | 演劇を見てきた

2024/7/27

・109歳で大往生を迎えたスエ子のお葬式で、誰が喪主をつとめるか、孫の里子を中心に関係者間でモメる話。

・豊平川の花火大会と重なったため、劇場外はものすごい人の数。早めに移動して開場時間ちょうどに到着。

・花火大会の高揚感にあてられたのか、久々のintroだからか、初日だったからなのか、始まる前から客席の雰囲気がかなり温まっている印象。

・前説の拍手から期待感が伝わってくる。

・タイトルロールかわいい。こういう一工夫が楽しい。

・自分自身、お葬式の運営に深く関わったことがないので、一般的な知識がないままに見始める。

・個人的に「喪主をやりたい」という感覚自体が共感できず、立ち位置的には序盤の里子に近かった。

・それでも、次々と頼りになるんだかならないんだかわからないライバルが現れるにつれ、里子に「喪主は自分しかいない」という使命感のようなものが生まれてくる。

・最初の二組以外は全員シードの不公平なトーナメント表を見ている感じ。最後に参戦する悦子が一番強い。

・里子はなかなか自分から動かないタイプの主人公で、序盤の悦子と連絡が取れない場面は、「悦子は頼りにならない」という描写のように見せて、実は「里子が悦子に依存している」描写だったのかなと思った。

・スエ子の顔を見に行くところでワンクッション置く演出がいいアクセントになっていた。素直に考えれば、身近な人の死を胃の腑に落とすための儀式のような感じ。

・最後、里子はちゃんと自分の中の弱さを認識して、祖母の顔を見に行ったんだから、もう喪主やらせてあげればいいのにと思った。あと一歩だった。現実は厳しい。

・町内会の山之内を演じる宮沢りえ蔵さんが相変わらず面白かった。具体的なプランは何一つ提案していない、ふんわりしたセリフだけで、あれだけ演技のバリエーションつけられるんだ。

・佐藤剛さんがりえ蔵さんを引っぱたくシーンでどこをどう叩いたのかというくらいすごい音がしてた。

・ひ孫が喪主のあいさつをする場合は、最初に自分の名前を自虐風に振っておいてから、「そんな名前でもひいばあは素敵な名前だと言ってくれた。だから、私はこの名前に誇りを持っている」でまとめれば、なんとかなると思う。

・最後の食卓を囲うシーンのおさまりの良さ。ノーサイドの象徴であり、打ち上げでもあり、お葬式という大イベントに向けてのエネルギー補給にもなっている。

(7/26 20時 シアターZOO)

※清二の子孫が気になる。

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石川県立金沢商業高校『子どものままでいて』(春フェス2023年度)

2024-07-23 00:27:32 | 演劇を見てきた

2024年上演1石川県立金沢商業

2024/7/24

演劇部の照明担当と脚本担当が、父親の介護で部活に来なくなった佐藤さんと語らい、そのエピソードを作品に反映させようとする話。

最初の場面は、(たぶん)テクリハの作業中、調光卓の前。

照明担当が、様子を見に来た佐藤さんと話をしている。

演劇部が出てくる作品はたくさんあるが、照明担当を中心に据えるのは渋い。

演者とは違うスタッフ目線での会話が生々しい。こういう会話、たしかに様々な調整室的な現場で行われている。

会話のテンポも配慮されていて聞き取りやすい。

中・後半は父親の介護とヤングケアラーの話。

アスベスト被害という言葉は久しぶりに聞いたような気がする。

石綿健康被害救済法の成立が2006年。思ったより最近だった。

法律ができたから話題にのぼらなくなったとも言えるけど、恥ずかしながら、もう過去のものだと思っていた。こういうことは他の分野でたくさんありそう。

そういう気づきを与えてくれる作品だった。

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