2025/4/11
・とある家族に生まれた子どもと、星の一生を重ねて描いた話。
・ままごとのホームページには「時報で奏でるラップ・ミュージカル」と紹介されている。戯曲も読める。
・前説でワイヤレスマイク使用のため、スマホの電源を必ず切るよう言われる。劇場は久しぶりで何度も確認してしまう。
・演劇に詳しくない人でも、見れば簡単に「そりゃ月単位で練習期間いるわ」と納得できるぐらい、セリフや動き、演奏との掛け合いが複雑かつタイト。
・最初から等間隔の歩き、同時発話、文字単位の掛け合い。ミスがごまかせない。聞いているほうも緊張する。
・時報にあわせたセリフ。単なる形式に留まらず、そのまま作品テーマに結びつく仕組み。相似形を成す人間と宇宙の時間進行を組み合わせて同時に見せる。
・宇宙の100億年を引き合いにして、最終的に人間の一生は尊くて素晴らしいという話になる。
・全然違うところから始まって、ちゃんとソートン・ワイルダーの『わが町』と似た感じの感動に着地する。
・高い精密さが求められる一方で、演者からあふれ出す熱量があってこその作品でもある。
・「わたし」役のさとうともこさん。子供演技に様式の持つ力強さを感じる。小さくてかわいらしくて強い。
・おばあさん役の河野千晶さん。妙にキレがいい動きだなと思っていたら、本職はダンサー。面白い配役。というか、目黒紅亜さんの動画チャンネルの人だった。
・先生役の恒本礼透くん。こういうタイトな作品で、(たぶん)アドリブっぽい動きを入れていたのはさすが。たまたまかもしれないけど、見ているほうも、ちょっと一息ほしい時間帯でもあった。
・夫と妻がそれぞれの一日を語ってから改めて重ねて聴かせるのはよくできているし、大人たちが頑張っている間、ずっと油断しきった様子で寝ている子供という構図もよかった。
・「東京の平凡な家族」を想定した作品だろうけど、もうだいぶ平凡の定義も変わってしまったと感じる。
・生演奏は本公演の売りのひとつではあるけど、もう少しセリフの言葉を聞きたかったところもあったかも。
・たぶん上演を重ねるごとに精度と熱量が増す。スケジュール的に無理だけど、楽日も観たかった。
・なので、迷っている人がいたら観に行ったほうがいいと思う。
(生活支援型文化施設コンカリーニョ)