遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

石川県立金沢商業高校『子どものままでいて』

2024-07-23 00:27:32 | 演劇を見てきた

2024年上演1石川県立金沢商業

2024/7/24

演劇部の照明担当と脚本担当が、父親の介護で部活に来なくなった佐藤さんと語らい、そのエピソードを作品に反映させようとする話。

最初の場面は、(たぶん)テクリハの作業中、調光卓の前。

照明担当が、様子を見に来た佐藤さんと話をしている。

演劇部が出てくる作品はたくさんあるが、照明担当を中心に据えるのは渋い。

演者とは違うスタッフ目線での会話が生々しい。こういう会話、たしかに様々な調整室的な現場で行われている。

会話のテンポも配慮されていて聞き取りやすい。

中・後半は父親の介護とヤングケアラーの話。

アスベスト被害という言葉は久しぶりに聞いたような気がする。

石綿健康被害救済法の成立が2006年。思ったより最近だった。

法律ができたから話題にのぼらなくなったとも言えるけど、恥ずかしながら、もう過去のものだと思っていた。こういうことは他の分野でたくさんありそう。

そういう気づきを与えてくれる作品だった。

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OrgofA『父と暮せば』

2024-07-07 22:26:47 | 演劇を見てきた

2024/7/6

・終戦後の広島、原爆で親しい人たちを失った美津江が、自分だけ生き残ってしまった罪悪感と、芽生えてしまった恋心との板挟みに苦しむ話。二人芝居。

・自分が観た回は飛世早哉香さんと松井真人さん。

・劇団あおきりみかんの松井さんはたぶん初めて。

・終始、早口かつ言葉が全部クリアに頭に入ってくる。

・父親の竹造は存在自体がイレギュラーな役で、時には怒り、時には囃す、常に場を動かす立場。

・緩急も声色も自由自在で役の高い要求に応えていた。

・竹造は幽霊なのか娘の想像なのかどちらだっけと思いながら見ていたら、セリフ的に想像のほうだった。

・幽霊は人の死を矮小化する側面もあるので、こういう題材にふさわしくないのはわかる。

・美津江の頭の中に竹造の人格が生成されて、彼女自身の思考を通さずに勝手に話し出す感じなのかな。

・美津江の中の竹造の人格は当然生前の竹造がもとになっているので、それまでの彼の人生が反映される。

・死を矮小化せず、死者を蔑ろにしないようにする仕掛け。ありがちに見えて結構ギリギリのバランス。

・そんな竹造の頑張りに対して娘はなかなか動かない。

・死んでいった人々のためにも生きるというのは正論だけど、人間正論だけでは動かない。

・美津江は、人より強いわけでもなく、臆病なところがあり、判断を間違えたりもする。つまり、より生身の人間に近い。

・飛世さんの過去の二人芝居を思い返してみると、どちらも比較的迷いを表に出さないタイプの役を演じていたと思うので、今回の美津江役は新鮮だった。

・恋心は様式としては強いけど、地に足の着いた人間として表現するのはかなり難しそう。

・悲惨なことを繰り返さないため、後世に記録を残そうとする話ではあるんだけど、今現在、自分たちがこの悲劇を引き継げているのかはかなり怪しい。

・ちょうど都知事選で、過去の虐殺事件を無かったことにしようとする人が圧勝しているのを見て、ちょっと無理かもとは思ってしまう。

・感動して泣くのもいいけど、その先が大事。

・先人が大きな犠牲を払いながら残してくれた記憶や文化が活きる世の中であってほしいなと思う。

(演劇専用小劇場BLOCH 7/5 19:30)

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DDT 「路上プロレス in 東京ドーム」

2024-06-22 00:39:19 | 演劇を見てきた

2024/6/22

リング以外の様々な場所でプロレスをするシリーズ。

東京ドームという大箱中の大箱でも、無観客配信のみ、ワンマッチにすることで、興行全体のサイズを軽くすることができる。

頭いいなと思うし、頭おかしいなとも思う。

世紀の一戦、アジャコングによる国家斉唱がある。結構うまい。

東京ドームは広い。

フィールドで土まみれになったり、一番高いスタンドから落とされそうになっていたり、ブルペンで硬球ぶつけられたりする。

レスリング技術で勝る鈴木みのると、かけひきで不意をつこうとする髙木三四郎。もともと対戦相手としての相性がいい。

加えて、様々なプロレスラーやそれ以外のひとたちが乱入してくる。

なぜかいる狂猿がなぜかある脚立と長テーブルを使って大家健にボディプレスしている。どういう文脈なんだ。

笑ってはいけないシリーズのノリに似ている。

最終的に、このフィールドにより適用できたほうがちゃんと勝っていた。オチも納得。

DDT 「路上プロレス in 東京ドーム」 東京・東京ドーム 2017.6.1

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PARCO PRODUCE『ハムレットQ1』

2024-05-28 16:28:00 | 演劇を見てきた

2024/5/24

・映像では何度もPARCO劇場の作品を観ているが、現地での観劇は初めて。

・わりと暑い日に長々歩いた上に、ちょうどいい感じに休めるところがなく疲労困憊状態だった。みんな、あんな坂をのぼっていたのか。

・中段やや下手。見やすい席でほっとする。

・舞台装置がシンプルで美しい。

・下手奥に向かってせり上がっている。上手側には瓦礫に見えるオブジェ。玉座にも使う。

・ハムレットが父親の仇である叔父に復讐する話(何度も書いているとだんだん雑になる)。

・ハムレット役は吉田羊さん。男性として演じる。

・演者が女性であることの違和感はなかった。

・一昔前だったら「女性が演じる意味とは」が重要になりそうだけど、トピックの一項目程度だったと思う。

・商業レベルでも、こういう性別違いが当たり前になる傾向は進みそう。いい流れ。

・男女逆転の『じゃじゃ馬ならし』とか、もうやっていそうだなと検索したら2019年にやってた。最近。

・ハムレットは、華奢な体つきで耽美。音声の高低を使い分けられるのは女性の演者特有か。狂人と狂人でない時がくっきりしている。

・前々から疑問だった、ポローニアスはなんで刺されたのか問題。「いきなり刺すことなくない?」と思っていた。

・今回はおそらくセリフが足されていて、現国王のクローディアスだと思っていたという説明。

・一瞬なるほどと思ったけど、その直前に殺せるチャンスを見逃しているので納得しにくい。

・あと、ポローニアスが物陰に隠れてからの一連の流れを演劇的にきれいに見せるのは大変そうだといつも思っていた。

・最初、それ用に大きな仕切りが運び込まれたのかと思ったら、劇中劇用の幕だった。そのあとに隠れる用の幕が下りてきた。この順番なら不自然じゃない。なるほど。

・Q1は展開が早い。ラジオCMのものものしい調子とはかなりギャップがある。端的に見やすい。

・序盤、ちょっと雰囲気が重たく感じたものの、誰がどうしてそういう風になったのかがわかりやすい。

・一期一会の演劇という形式なんだから、十分有力な選択肢ではないか。

・というか、Q1を謳わなくても、ハムレットの上演台本を作るときに参考にした人は多いんじゃないかと思う。

(2024/5/24 18:30開演 PARCO劇場)

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新国立劇場『デカローグ5・6』

2024-05-24 23:30:23 | 演劇を見てきた

2024/5/24

・ポーランドの映画監督キシェフロフスキーが旧約聖書の十戒をテーマに作成した10本の中編映像作品のうち、第5話と第6話を演劇に翻案した作品。

・事前にドラマ版のDVD-BOXで全話視聴して予習十分。

・知識ゼロの状態からだいぶん愛着は沸いているものの、第5話と第6話は、端的に言って話が嫌い。

・舞台化したら印象が変わるかもしれないし、行きがかり上、見ない選択肢はない。

・そんな心持ちもあり安価なテラス席を購入。下手側。

・舞台に対して椅子が垂直方向に並んでいるのでずっと左横を向いて観劇することになる。

・加えて左隣の人(舞台に対しては前方の人)が前傾姿勢。舞台の左側半分が見えない。アナウンスしていたのに。これは声掛け案件かと思っていたら開演10分位で姿勢を変えてくれた。

・第5話は、無軌道な若者がタクシー運転手を殺して死刑になる話。

・弁護士が死刑を反対する立場で苦悩している。

・ドラマ版の被告はいかにも無軌道な若者という感じで鬱屈した気持ちに対しては正直だったのに対し、舞台版ではわりと同情しやすい人柄に調整されていたように見えた。

・テーマをはっきりさせる意図だとは思うんだけど、この雰囲気で簡単に殺人を犯せるのはかえって怖い。

・自分も死刑には反対の立場だけど、死刑の考え方についてとりたてて新しいところは見出せなかった。

・第6話は、覗き趣味の若い男性が覗き相手の女性と仲良くなる話。

・覗き、いたずら電話、郵便物の偽造、付きまとい、当てつけの自傷行為、個人情報の私的利用かつ悪用と、自分の感覚では全く同情の要素はないんだけど、本作では全部許されている。

・男性から見た、理想的な女性という感じ。都合が良すぎる。

・舞台版では、女性の自暴自棄になっている部分が強調されて、覗き男の存在が、彼女にとっても救いになるという要素が強め。

・舞台版でおどけた感じの演技が足されていたけど、どういう意図だったんだろう。

・若干見やすくはなっているものの、「経験がないからと言って何でも許されると思うなよ」という感想は変わらなかった。

(2024/5/23 19:00開演 新国立劇場小劇場)

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DDT「DRAMATIC DREAM TOUR 2024 in SAPPORO【DAY2】」

2024-05-06 23:08:04 | 演劇を見てきた

2024/5/6

・オープニング。どこかで聞いたことのあるようなマイクアピール合戦。そういうご当地感の出し方もあるのか。

・もともと好きな人は楽しいし、今なら配信でいろいろ見られるから意外と間口は広いはずだし、全く知らない人でももはや古典化している掛け合いそのものの力強さで盛り上がれる。客を選ぶようで意外と強い。

・男色ディーノという存在。世の中のセクハラに対する考え方とか、ヒールとか、人気ヒールのベビー化とか、下ネタの塩梅とか、ベテランレスラーとしての立ち位置とか、見れば見るほど思考を求められる。深い。

・大社長の長期休業は寂しい。それすらネタにするのはさすがだった。

・最後は謎に平田一喜と松井レフリーが入れ替わっておしりにはさまれていた。

・試合中、ヨシ・タツの「おまえ喋りすぎだ」という指摘。たしかにみんな喋るんだけど、喋りがおもしろい人とつまらない人がいるので一言あったのは嬉しい。

・全体的にベルトを持っている人が多い。数えてないけど、出場選手の三分の一くらいが何かのチャンピオンという印象。ありがたみを感じにくい。

・なので、今のKO-Dチャンプが上野勇希だったことにやっと気づいた。言われてみればたしかに。「効いたよ」のイントネーションがさわやかに感じる。

・Tシャツを買うなら佐々木大輔がいいな。

・第四試合の須見和馬。第一印象、苦手なタイプのヤンチャさだったけど、格上に対しても抜けのいい生意気さと、とにかくやられまくっているのを見ているうちに印象が変わる。

・クリス・ブルックスが保護者みたいになっている。

・秋山準のチョップはとてもいい音がする。

・おっさん三人と須見+保護者の組み合わせが、須見選手の魅力を最大限に引き出していた。今大会のベストバウトかも。

・派手な技ができる強い選手より、やられっぷりのいい選手のほうが印象に残る。

・序盤の場外ダイブは作為が強すぎる。

・HASASHIMAのカウンターの水面蹴りかっこいい。

・IamHappyルールはこなれてきたら面白くなりそう。またやる機会あるのかな。

・無邪気にレゴで遊ぼうとするお子さんに、レゴは凶器ではないという当たり前のことを教えられる。レゴは子供の夢なんだからほどほどにしてほしい。

・オーソドックスなDAY1に比べると、いろいろ実験してみた感じの日だった。

DDT「DRAMATIC DREAM TOUR 2024 in SAPPORO【DAY2】」(有料)

北海道・札幌サンプラザ 金枝の間 2024.4.29

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劇団words of hearts『この生は受け入れがたし』

2024-04-26 22:42:15 | 演劇を見てきた

2024/4/26

・東京から東北の寄生虫研究室に異動してきた研究者とその妻が、環境の変化に対して正反対の反応をしてしまう話。

・会話はほとんどが津軽弁と福島弁、そして標準語。

・おそらく俳優さんのほとんどはネイティブではないので、方言指導を経て、上演に臨んでいる。

・聞いていて言葉の区別や練度がわかるわけじゃないけど、会話のリズムはよく、緊張感を損なわず聴き続けることができた。

・文字にすると意味の分からないようなフィラー的な声を自然に差し込んでいる。

・話にわかりやすい起伏が少ない平田オリザ戯曲では、会話の精度が一番大事。

・個人的に好きでたまに目にしている生き物情報がなぜかハマって心を見透かされた気分になる。

・レイコクロリディウムとかフタゴムシとか。カタツムリは見た目がかなりグロテスクになるので、舞台上で鮮明な映像を出したらダメだったと思う。楽しいけど。

・寄生虫と宿主から、寄生する寄生されるの関係性を、夫と妻、東京と地方、専門家と一般人、親と子供など、異なる複数の組合せに重ねている。

・専業主婦というキーワードひとつ取っても、どっちが寄生しているのかは見方次第。

・あわせて寄生虫という言葉が、一般的に言われるようなネガティブな意味を持つのかどうかも問われる。

・どんなにネガティブなことでも、研究者が新しい発見に喜んでしまうのは仕方ないことだと思う。

・対象を好きかどうかと研究の成果はたぶん直結する。

・例えば、人の体を切るのが好きな医者と嫌いな医者でどちらが外科医として信用できるかは微妙なところ。

・お話は常に平熱で進行する。

・奥さんがぴりっとしたことを言っても、現実がそうであるように、その場は受け流して何なら場を和ませようとしたりする人たち。

・舞台上に起きていることは静かなのに、水面下では色んな関係や感情がドロドロと溶けているような感じ。現実の反映としてとても正しい作品だった。

・奥さんは嫌いな寄生虫の講義を受けているし、夫も歩み寄りを見せたし、たぶんあのあとしっかり話すんだろうなと少しだけポジティブな気持ちで終われた。

(ターミナルプラザことにパトス 4/26 15時の回)

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クシシュトフ・キェシロフスキ監督『デカローグ』第7話 ある告白に関する物語

2024-04-23 00:24:28 | 演劇を見てきた

 

2024/4/22

ある女性が、若くして出産した結果、母親に娘を奪われてしまう話。

解説によると、第八戒「あなたは盗んではならない」がモチーフらしい。

それで母親に娘を奪われた女性のエピソードを扱う飛躍具合が好き。

一番小さい子供を祖母と母で奪い合う感覚は結構いろんな家庭で見られると思うけど、立場の強い弱いがはっきりしすぎている。

実の母親のほうがどんどん追い込まれて誘拐まがいのことをしてしまう。

三代それぞれの立場で盗む盗まれるの見え方が全然違うのがおもしろい。

小さな子供からしたら、自分がずっと母親だと思っていた人が祖母だったから逃げようと言われてもついていけない。

落ち着いたら「ケンカするな、仲良くしろ、私はおまえらの所有物ではないぞ」と言ってあげてほしい。

最後の後味の悪さも嫌いではなく、ここまでのエピソードの中では一番好みだった。

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黒澤明監督『椿三十郎』(1962年)

2024-03-19 23:29:44 | 演劇を見てきた

2024/3/19

・椿三十郎を名乗る浪人が、冤罪で拘束された城代家老を救おうとする若者たちを助ける話。

・その若者たちが九人もいる。似たような若い武士たちが彼のあとをウロウロついていく。

・椿三十郎は若者たちを一人も殺さないようにゴールに導く。ゲームの『レミングス』っぽい。

・金魚のフン状態の若者たちの中でも決して埋もれない田中邦衛の顔面力。

・96分。時間が短い。内容も軽い。巨匠の作品という感じがしない。

・各登場人物の役職や身分がよくわからないまま見ていたけど、その時その時で登場人物たちが何をしたいのかわかりやすく全然ストレスにならない。

・囚われのお姫様ならぬ城代家老のおじいちゃん。命の危機だったのに、己の馬面をネタにしてのほほんと若者たちを笑わせている。胆力があるとも言えるけど、ゆるい。

・家族の危機なのに奥方も娘もなんだかのんびりしている。小川に椿の花弁が流れたら突入の合図。

・そして、押し入れの中のあいつが一番軽い。

・こんなに緊張感が無くていいのか不安になる。

・とにかく椿三十郎の言うことを聞いていれば安心。

・見ている間は、椿がどうして若者たちを助けるのかよくわからなかった。最初に十人目を自称するところも、それまでの彼の言動とは合わないように感じる。

・あとで確認したら、『用心棒』の続編的作品とのことなので、彼の人間性や行動原理についてはそちらのほうで言及されているのかも。次はこれ見よう。

・椿三十郎の小細工と力技の振り幅がものすごい。

・三十人叩き斬ったあとに、逆に襲われたことにするから縄で拘束しろと言う。

・普通はそれじゃ成立しないはずなんだけど、三船敏郎の殺陣の迫力と存在感で楽しく見ることができる。

・椿三十郎のライバル役を仲代達矢が演じている。全体的にゆるいせいで強いのに損な役回りになっている。

・このころはまだ若手と言っていいと思うけど、のちの主演作品『切腹』を見ると、この時の三船敏郎並みの迫力を身に着けていた。しっかり受け継がれている。

・血の吹き出し方が思い切っている。公開時も見た人からツッコまれていたらしい。

・椿が重要なモチーフになっているのに、誰も首をはねられていなかった。それは安易ということか。

(U-NEXT)

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山田洋二監督『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』(1975年)

2024-03-17 22:21:35 | 演劇を見てきた

2024/3/16

・寅次郎が飲み屋で謎の爺さんを拾ってきたことをきっかけに、なぜか市役所の接待を受けたり、金をだまし取られた芸者の話を聞いて、我が事のように怒ったりする話。

・最初の夢シーンは『ジョーズ』のパロディ。ジョーズが1975年、本作が1976年。早い。想像していたより死に方が雑すぎて笑った。源公むごい。

・こういうバカバカしいシーンの場合、味付け濃いめの渥美清の演技と、自然な感じの倍賞千恵子の演技を並べると、さくらのほうに違和感と面白味を感じてしまう。

・寅次郎が目まぐるしい。

・甥っ子のお祝いをしてくれる。人からバカにされたと拗ねる。居酒屋で無一文の爺さんを見かけたから立て替えてやる。家に泊めてやる。高名な先生だとわかると金づるにしか見えなくなる。接待を受けたあとにとらやの飯に文句を言ってイヤな顔をされる。

・満男の入学式の出来事。義憤で始まったのに、最終的に周りにあたり散らかしてしまう寅次郎。

・このシーンに出ている役者さん全員おもしろい。

・社長なのに寅次郎にちゃんと謝れるタコ社長はえらい。

・真顔で「お芋の煮っころがし」と囁くおばちゃん。

・寅次郎に対するさくらの表情。不安8憐れみ2くらいの感情が地層のように積み重なった結果、それ以外の表情ができなくなっている感じ。

・泥棒扱いされても、さくらには甘い寅さん。

・説得されてしんみりしているとらやの人たち。

・わりと急場なのに「姉ちゃん、国はどこだい?」で始まる説得。

・高名な画家の役に宇野重吉さん。言葉数が少なくても、たしかにその道の専門家に見える。

・おいちゃんが転んだのは何だったんだろう。台本なのかアドリブなのかアクシデントなのか。「危ないよ」の一言が効いている。

・鑑定のくだりがやたらと生々しい。

・彼の正体が判明したところで一回話が終わっているように見えるけど、全体の尺の半分手前くらい。

・そのあとの展開は全体的にふわっとしていたけど、予想できるところから、もうひとひねり入れていて、ものすごくきれいにまとめていた。

(U-NEXT)

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