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遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

ドストエフスキー『罪と罰 上(角川文庫)』(上巻・第三篇/六、下巻・第四篇/一)

2025-07-14 00:49:00 | 罪と罰

2025/7/4

ラスコとラズはポルフィーリイの家を出る。ラズは、ポルがラスコのことを疑っていることに気づき憤慨する。ラスコは駆け引きの内容を詳しく説明する。ラスコはラズと別れ自宅に戻る。心の迷いから盗品を入れていた穴を調べなおし、再び外出する。見ず知らずの中年男がラスコに「人殺し」と声をかけられる。動揺したラスコは彼の正体もつかめないまま自宅に戻り、再び老婆を殺す夢を見る。目覚めると、別の見知らぬ男がそばにいた。スヴィドリガイロフだった。

ラスコとスヴィドリガイロフの会話。拒絶気味のラスコに対して、スヴィはいかさまカルタ、妻とのなれそめ、妻の幽霊、死後の世界、自らの再婚、ルージンとの関係など、要領を得ない話題で会話を続ける。彼はドーチャに会ってルージンとの結婚をやめるよう伝えたいこと、一万ルーブリを提供することを望み、ラスコに仲介を求める。ラスコは拒絶する。彼と入れ違いでラズーミヒンが現れる。

・前章の説明回という感じ。質入れ時と犯行時の時間差を利用したひっかけ問題を詳しく。

・そこは見抜いてもやはり消耗している。

・見ず知らずのおじさんから「人殺し」と言われる。

・そのあと、枕元に見ず知らずの別のおじさんがいる。

・この見ず知らずのおじさん攻め意味がわからない。そりゃ初見は混乱するわ。

・罪の意識なのか、嫌な夢を見てしまう。

・その前のラスコの言動も安定していないから、たぶん夢と現実の境界線があいまいになるように書かれている。

・まさかおじさんダブルもそれが目的なのか。

・下巻に移行。スヴィドリガイロフと会話するだけの章。

・殺人犯よりセクハラおやじのほうが悪党に見える書き方になっている。

・善意または謝意なら見返りを求めるのはおかしいので、本来はシンプルに「金は受け取ってもいいが、ドーチャに会わすことはできない」でよかった。それをさせないのも一種の交渉術なのだろう。

・死人に口なしなので、スヴィの言う妻の話は全くあてにならない。

・ラスコにとって急所になるのは、対ルージンという点では完全に目的が一致しているところ。ついでにラスコにはない経済力があるとこと。

・前に読んだ「~を読まない」によると彼が裏主人公になるそうだ。

・今のところ、ただの図々しいおじさんなんだけど、二回目読んだら印象変わるんだろうか。

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ドストエフスキー『罪と罰 上(角川文庫)』(上巻・第三篇/五)

2025-06-16 15:29:07 | 罪と罰

2025/6/16

《あらすじ》

ラスコは質入品のことでポルフィーリイに相談する。ラスコはラズをからかうことで真実味のある陽気さを演出する。ポルの家にはザミョートフもいた。ポルはラスコを歓迎する。最初にポルとラズの議論の話。社会における犯罪を引き起こすものという見地から二人の考え方は対立する。ポルの意見は、究極的に犯罪は環境が引き起こすというもの。ラズは人間の自然性が勘定に入っていないと反論。話題はラスコの論文に移る。ポルは人間を凡人と非凡人を大別するラスコの考え方に疑問を持つ。ラズは社会に進歩をもたらす人間であったとしても、流血を許すラスコの論旨を怖いと感じる。そして、ポルはラスコが自分のことをどう考えているのか質問する。ラスコは否定するものの、ザミョートフの一言もあり、ポルがラスコを疑っていることが濃厚になる。ラスコは、ポルの最後のひっかけにも乗らず、退出する。

・一回通読したおかげでこれくらい期間が空いても平気。

・芍薬のような真っ赤な顔で怒るラズ。比喩がかわいい。

・ラスコとポルフィーリイの腹の探りあいパート。

・表向きは押収された質入れ品に関する申し入れ。

・いつまでも押収品に対してコンタクト取ってこなかったのがラスコだけだったといのは、かなり危ない。

・ラスコ自身は本当に疑われているのか半信半疑でどうにか探りを入れたい。結果的に必要だったにしろ、本当に有効だったのかどうかは微妙。やぶ蛇感もなくはない。

・ポルはラスコの書いた論文をあえて曲解してプレッシャーをかける。ラスコはかわす。

・たぶんこの辺の緊迫感は小説ならでは。映画や演劇だったら説明過多になるか、受け手に伝わらないかのどちらかになると思う。

・ポルの質問「新しいエルサレムを信じるか」が唐突な感じがしたのでChatGPTに聞いてみた。

・新しいエルサレムとは、聖書の『ヨハネの黙示録』21章にある概念で、神からもたらされる理想の都市であり、救済と再生の象徴らしい。なので、実際にあるイスラエルの首都とは別で考えたほうがよさそう。

・罪を犯した人間でも救済される、再生できるという考え方はラスコにとって都合がいい。

・ラスコのように狂人病人のフリをするのは簡単だけど、英雄にはなれない凡庸な人はどこにでもいる。

・ポルにとっては外堀の一つを埋めたという感じ。裏どりは大事。

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ドストエフスキー『罪と罰 上(角川文庫)』(上巻・第三篇/三・四)

2025-05-23 19:24:00 | 罪と罰

 

2025/5/19

《あらすじ》

母娘とラズはラスコの部屋に入る。ラスコは意外にも穏やかに三人を迎え入れる。部屋にはすでにズシーモフもいたが、経過が良好であることを伝えて早々に退室する。最初穏やかだったラスコだが、母娘が自分に対して緊張していること、昔の婚約者のこと、ルージンのことを話しているうちに徐々に情緒が不安定になる。あらためてルージンとの結婚を認めないとことを伝え、その根拠を彼の手紙から読み解いて説明する。ラスコはドーチャの望みに応じて、ルージンと同席することを了承する。ラスも同席することになる。

マルメの娘ソフィアがおずおずと訪ねてくる。マルメの法事にラスコを招待する。ラスコがソフィアを紹介すると、母娘はそれぞれに彼女を見定める。母はソフィアのことをどことなく恐ろしいと思う。ソフィアも住まいに帰るが、中年男性に後を付けられる。男は三日前に彼女の隣の部屋に引っ越ししてきたと言う。ラスコはラズに、(自分が殺した)老婆に質入れした品物について相談する。ラスコはラズに法律家のポリフィーリイを紹介してもらうように頼み、二人で彼の家を訪ねる。ラスコはラズと大げさに談笑することで、相手に疑惑を抱かせないよう駆け引きを試みる。

・腫物としてのラスコの面目躍如。

・終止不機嫌だと飽きられるが、時々殊勝なことをはさみ緩急をつけることで、周囲の人間を惑わせている。

・ツッコミどころが満載のルージンからの手紙。ただただ読みにくい文章だったけど、どこが問題かをそれなりにしっかり説明している。

・面倒くさい息子にビクビクする母親と物おじしない娘の組み合わせが生々しい。

・たぶん「不断着」は普段着の誤字。

・四章はそれぞれがそれぞれの思惑で急に群像劇っぽい様相になっている。

・証拠の回収をしたいラスコ、ラスコの不審な言動の理由がわかって安心したラズ、ソフィアが怖い母親プリヘーリヤ、ラスコを信じたい妹ドーチャ、恩人が思いのほか貧乏だし知らない人ばかりで動揺するソフィア。

・ドーチャがすっかり感化されて婚約者のことを「やくざな金棒引き」と言い出す。

・悪口なのはわかるけど、どういう意味なのかよくわからなくて調べた。大げさに騒ぎ立てる人(金棒を付き鳴らして夜警する)ということらしい。

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ドストエフスキー『罪と罰 上(角川文庫)』(上巻・第三篇/一・二)

2025-05-19 01:18:00 | 罪と罰

2025/5/5

《あらすじ》

ラスコは母のプリヘーリヤと妹のドーチャを歓迎しない。更にドーチャとルージンの結婚を反対すると宣言する。ラスコは三人を追い出そうとするが、息子の拒絶にショックを受けたプリヘーリヤはここに残ると言い張る。

その場にいたラズは、自分と医師のズシーモフがラスコを見張って都度報告すると言って説得する。母娘は承諾し宿に戻る。まだ酔いが残っているラズはドーチャに夢中になっている。彼は宣言通りズシーモフに協力してもらいながら、宿とラスコの家を行き来し、母娘の信頼を得る。ラズはズシーモフが恋敵にならないか心配する。

翌朝、ラズは母娘のところへ行く。彼はドーチャの婚約者に敵対的だったことを後悔しているが、二人とも歓迎する。ラズは二人がラスコの話を聞きたがるので自説を展開する。さらにルージンがラスコとの同席を拒絶していると相談される。ドーチャはラスコを同席させたいと考えている。三人はラスコに再び会いに行く。

 

・ラスコは本章では終始具合悪そうにしているけど、本当に具合が悪いのかは微妙。

・余分に具合悪そうにすることで、周囲の人間をコントロールしているように見える。姑息。

・酔っ払いラズの行動が特に常軌を逸している。

・ラスコなら似た者同士だが、素朴な母娘が相手だとより異常さが際立つ。

・翌朝になってちゃんとラズが反省していたのはよかった。

・「物腰が居酒屋じみている」(p382)という斬新だけどよく伝わる表現。どの言葉がこの言葉に翻訳されたのか気になる。

・ラズのラスコ評は案外辛辣。

・母親が久しぶりに会う息子に怯えているのがかわいそう。どこの世界にも似た経験をしている母親は多そう。

・ルージンからの手紙。彼のダメな感じがだいぶん盛られている。原文もそんな感じなのか。翻訳家の個性なのか、原文の個性をうまく翻訳している感じか。どっちにしてもわかりやすい。

・文面が「拝啓陳(のぶ)れば」で始まる。読み仮名ないと読めない。候ってばっかり。たぶん、やたらと横文字を使いがちなインフルエンサーみたいなものか。

・ドキドキしながら家に行ったら、扉の隙間から両目がのぞかれるなんて怖い。

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ドストエフスキー『罪と罰 上(角川文庫)』(上巻・第ニ篇/七)

2025-05-03 23:44:38 | 罪と罰

 

2025/5/5

ラスコが人だかりに近づくと、マルメラードフが馬車に轢かれて瀕死の状態だった。ラスコは手持ちの金をはたいて身元を引き取り、家族のもとに連れて行く。家では娘のポーレンカが他の子供たちの寝支度をしているところだった。妻のカチェリーナは咳き込みながら裕福だったころの思い出に浸っていたが、夫が瀕死という非常事態に直面すると、容体をチェックし、見物人を追い払うなどテキパキと動き出す。娼婦として離れて暮らしていた長女のソーニャも帰ってくる。マルメは娘の腕の中で死ぬ。絶望的な様子の妻を見かねて、ラスコは残りのお金をほとんど置いて立ち去る。ラスコはそのままウラズーミンの引っ越し祝いに出向く。喜んだラズはすぐに帰ろうとするラスコに同行して会を抜け出す。彼の部屋で待っていたのは田舎から出てきた母と娘だった。彼は驚いて気を失ってしまう。

・ラスコは緊急事態に際して、急に生き生きと輝き始める。「~読まない」で指摘されていた、虐げられている人への共感はわりと一貫している。

・身投げに遭遇するわ、知り合いが血まみれで死ぬわ、ラズはうざったいわ、自分の部屋に田舎から出てきた母と娘が待ち構えているわで、色々なことがありすぎる一日。最後に倒れるのも納得。

・マルメの一家は派手に不幸。

・妻のカチェリーナは肺病でギャグマンガに出てくる病人みたいにちょいちょい血を吐いている。

・いいところのお嬢さんだったのに、どうしようもない男と結婚したせいでどん底生活をしている。

・それでも死んだら死んだで悲しむし、途方に暮れている。マルメの更正を期待していたんだろうけど、それだけではないように感じる。多分それは愛とは別のもの。夫婦関係はよくわからない。

・作者の人間観が直接的に書かれているところがあった。今わの際のマルメを見守る借間人たちに対して「真剣な憐憫や同情を持っているにもかかわらず」「奇怪な心内の満足感」を抱く。これは誰しも「のがれ得ないもの」らしい。部分的に共感できる。

・ソーニャがちゃんと出てきたのは初めてかな。「すばらしい青い目」「かなり美しい明髪女(ブロンド)であった」。中心人物二人は美男美女の組み合わせ。

・名作古典にしては案外俗っぽいなと思ってしまった。

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ドストエフスキー『罪と罰 上(角川文庫)』(上巻・第ニ篇/六)

2025-05-01 21:26:25 | 罪と罰

 

2025/4/25

部屋から人々を追い出したラスコは、老婆殺しの決着を望んで外出する。前にリザヴェータを見かけた広場に行く。老婆殺しの事件について、酒場にいた役人のザミョートフを挑発する。偶然、ラズーミヒンとも出会う。彼は半病人のラスコが出歩いていることに腹を立てる。激しい言い合いになるが、最終的に自分の引っ越し祝いに来るように求める。一人になったラスコは橋の上から女が身投げしている現場に遭遇する。続けて、犯行現場の建物、部屋に戻ってリフォーム中の職人たちと話をする。往来に戻ると、馬車の近くに人だかりができている。

・身綺麗にするとちょっと落ち着くのはわかる。

・怒ったり、笑ったり、人と話をしたくなったり、相変わらずのラスコの情緒。

・「僕はね、寒くて暗い湿っぽい秋の晩―それはどうしても湿っぽい晩でなくちゃいけないー通行人の顔がみんな青白く病的に見えるような時、手回り風琴に合わしてうたっているのが大好きなんですよ。出なければ、いっそぼた雪が風もなくまっすぐに降っている時でもいい、わかるでしょう?」と、初対面の役名もない浮浪者風の人に話かけるの怖い。普通にわからんと言われているのはちょっと面白い。

・ザミョートフと話すラスコが本当にうざい。「私が新聞で何の記事を読んでいたか、知りたい?知りたい?」みたいな感じ。疑心暗鬼と自暴自棄の合わせ技。

・事実を知らない相手に、実際に殺したけど、殺していない体の人間が「実際にはこうだ」と優位に立とうとするのはだいぶ下品。

・実際にやってうまくできなかったのに、うまく殺せるような言種もどうなのと思ってしまう。

・こういう相手だから、ラズーミヒンが壊れたダンプカーみたいなっているのも、わからないでもない。自身の引っ越し祝いに対する並々ならぬ情熱はなんなんだろう。

・ラスコの目の前で身投げしているのに、作品には全く関わってこないのがシュール。

・ふと、この人がラジオのMCをやったらどうなるんだろうと思ったりする。ラスコーリニコフのANNみたいな。すぐ不機嫌になるのも芸としていけるかもしれない。

・翻訳家の岸本佐知子さんが言っていた使いたくても使えない訳語「黒山の人だかり」がたくさん出てくる。この章だけで3回。中には黒髪もいるんだろうけど。

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ドストエフスキー『罪と罰 上(角川文庫)』(上巻・第ニ篇/四・五)

2025-04-27 22:59:36 | 罪と罰

 

2025/4/25

若い医師ゾシーモフがラスコを診察する。特に大事はない様子。ラズは引っ越し祝いの宴会をすると二人を招待するが、反応はあまりよくない。参加者の話から、活動家のザミョートフや警察批判、金貸しの老婆が殺された事件の話題になる。ペンキ屋のミコライに嫌疑がかかっているが、ラズはそれを否定し、自説を展開する。

そんな中、ラスコの妹の婚約者ルージンが訪ねてくる。三人は彼を歓迎しない。不自然に着飾ったルージンと実際的精神が、特にラズの気持ちを逆撫でする。終始、ぐったりしていたラスコも、過去の妹への発言を持ち出してルージンを責め立てる。お互いに最悪な印象を残したままルージンは立ち去る。

・四は急に登場人物が増えるので二周目でも理解が難しい。ペンキ屋のミコライとミトレイとか、名前も適当に付けているんじゃないかと疑ってしまう。

・ペンキ屋の二人が往来でつかみ合いの喧嘩をするが、特に嫌いあっているわけでもないという。

・殺した直後にそんなじゃれあいができるわけがないというのがラズの主張。

・これはこれで危なっかしいけど、あの場で起きた出来事自体はほぼ正確に言い当てている。

・多少ウザったくても有能な人間だとわかる。

・なのに、横で真犯人が寝ているのがおもしろい。

・五はルージンの観察日記。

・ルージンはカツレツを顔に二個付けたような真っ黒な頬髯を蓄えている。頬髯ってそんな感じで独立して存在できるものなんだろうか。焦げてない?

・実際的精神と言われてもよくわからなかったので、ChatGDPに聞くと「現実的で計算高く、自分の利益を第一に考える」ということらしい。まず自分が富を築いてから他者を施すのがよいという考え方。

・どこまで正確なのかわからないけど、たぶんトリクルダウン的なこと。竹中平蔵か。

・ルージンが語り倒した直後、ラズとズシーモフが全然関係ない老婆殺しの話を始めたのは面白かった。

・ルージンは小物かつ悪役として結構いい感じのキャラクター。

・年齢的なことは置いといて、ラズは八嶋啓人さんがイメージキャラクター。

・ラスコはずっと横になったり起き上がったりしている。逆に疲れそう。

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ドストエフスキー『罪と罰 上(角川文庫)』(上巻・第ニ篇/二・三)

2025-04-24 22:00:52 | 罪と罰

 

2025/4/22

《あらすじ》

ラスコは自分の部屋で盗品を確認し何もかも堀に投げ込む作戦を立てるが、堀のまわりは人が多く投げ捨てる隙がない。運よく、堀に囲まれた空き地に盗品を隠すことができた。自然と大学の知り合いだったラズーミヒンの家にたどり着き仕事の紹介を頼むが、すぐに気分が変わってそのままで出ていく。往来で通りがかりの母娘から20コペイカの施しを受けるが、河に投げ捨てる。部屋に戻ると、イリヤがおかみさんを暴行しているような音を聞くが、ナスターシャは否定する。

4日ほど昏倒していたラスコが再び目を覚ますと、ナスタと知らない男がいる。すぐにラズが加わる。男は母親が借りたお金35ルーブリを届けに来た。精神不安定なラスコは受け取りのサインも渋る。ラズが説得してサインをさせる。その金の一部を使ってラスコのために服を買ってきて着せてやる。共通の知り合いで医者のズシーモフがやってくる。

・この時代の警察の捜査能力を考えると、盗品の有無が有力な証拠になる。捨ててしまえば、リスクは激減する。

・ただ、結局、彼は盗品を隠すことにする。後で回収するつもりなのか。仮置きで後で本格的に捨てるのか。

・捨てている場所が角川版でも微妙に絵が浮かばない。空き地で建築資材置き場になっているらしい。

・今の感覚だと建築業者の人の出入りがあるのは危ないんじゃないかと思ったりするけど、どうなんだろう。

・いちいち笑ったり怒ったり落ち込んだり情緒が全然安定しない。

・ラズのところに行ったのも謎だし、訪ねた口実に仕事の話はしたけど、はじめから受ける気があったように見えない。

・なぜ作者はこういうシーンを書こうと思ったんだろう。フィクションとして考えると冗長すぎる。

・熱病的、半意識、4日もほぼ飲まず食わずというラスコ。うわごとで結構致命的なことを口走っている。

・自身は病人を装っている認識なのが厄介で、端的に言って病気だけど、程度を偽っている。徹底してステレオタイプを避けている。

・サインをするかしないかというだけの押し問答が長い。

・登場したのに名前が明かされない組合員の人。

・頼みもしないのに、ふうふうしてラスコにスープを飲ますラズ。これは不快。ここだけラスコに同情した。

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ドストエフスキー『罪と罰 上(角川文庫)』(上巻・第一篇/七、第ニ篇/一)

2025-04-23 21:27:47 | 罪と罰

 

2025/4/17

《あらすじ》

ラスコはアリョーナと対峙する。

ラスコの小細工が功を奏し、斧で彼女の頭をたたき割る。

手間取りつつ財布と少量の金品を奪う。偶然、入ってきたリザヴェータも同様に殺す。

階下から客が上ってくるが、たまたま空いていたペンキ職人の部屋でやり過ごすことで、鉢合わせを回避する。結果的に彼は誰にも気づかれず帰宅する。

消耗したラスコは部屋で眠る。

しばらくして目を覚ました彼はようやく証拠になりうるものをどうやって処分しようか思案する。

ナスターシャと庭番がやってきて警察からの呼び出し状を渡す。

疑心暗鬼のままラスコは警察署に出向くが、殺人の件ではなく、家主から家賃の滞納で訴えられたことを知る。

安心して気が大きくなったラスコは署長や副署長を相手に身の上話をしながら宣誓書を書く。

 

・第一部はラスコが行動を起こすところまで。

・角川版でもやっぱりリザヴェータは殺される。

・あまりのことに思考が停止して声を出すことすらできない様子、頭上から斧が降ってくるのに中途半端に前方にのばされた腕、こめかみの深さまで達する斧。

・自分の命を守るという生物としての最低限の反射すらできない彼女が重ね重ね気の毒すぎる。

・そのあとラスコがバタバタしているのは、正直どうでもよく感じてしまう。

・自分のことを英雄だと信じて行動を起こしたはいいものの、徹頭徹尾そんな器じゃなかった。

・英雄の夢と妄想の中で生きてきたラスコが、殺人を犯してから少しだけ現実を生きるようになったのかもしれない。

・ただ、動いている時間以外は寝てばっかりいる。『罪と罰を読まない』で指摘されていたとおり、睡眠小説というジャンルがあったら筆頭格だと思う。

・火薬中尉(あだ名)の「おーだーまんなさい」という思い切った訳。新潮文庫版に比べて大分くだけている。

・今の時代だからこそ噛みしめたい「貧は不善にならず」という言葉。

・副署長とケバい女性とのやりとり、結構ねっとり描写しているわりに、この後の展開にほとんど関係ない。

・なんのためのシーンなんだろう。副署長の印象付けだけなんだろうか。

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ドストエフスキー『罪と罰 上(角川文庫)』(上巻・第一篇/五・六)

2025-04-21 21:39:00 | 罪と罰

 

2025/4/13

《あらすじ》

ラスコは本当に自分が人を殺せるのか、自問自答を続ける。

精神が不安定になり、草の上で寝る。幼いころの馬を虐待する男たちの記憶が夢として現れる。

起きて散策を続けると金貸しのアリョーナの妹、リザヴェータが立ち話している様子を見かける。

安料理屋に入ると、大学生と将校が立ち話をしている。話題は、アリョーナの悪評とその彼女に搾取されているリザヴェータのこと。

ラスコは家に帰って布切れを取り出し、斧を隠し持つための輪っかを作る。

運よく斧を手にいれたラスコは、さっそく外套に斧を忍ばせアリョーナ・イヴァーノブナの住む部屋の前までやってくる。

・もう明らかにラスコの情緒がおかしい。

・嫌な夢の内容も凄惨だけど、寝るまでの過程も心配になる。藪を分け入って草の上で寝ている。急に眠たくなるのは、何かの病気の影響なんだろうか。

・関係あるのかないのか、ドストエフスキーはてんかんを患っていたという話もある。

・このパートで斧を使って金貸しのアリョーナを殺すという話がようやく出てくる。確かに斧の殺傷能力は高いだろうけど自分だったら斧は選ばないだろうなと思う。

・というか、人を殺すということについて、真剣に考えたことがない。討ち損じが一番怖いというのはわかる。

・人を殺すとか、道端で寝るとか、今読むとビックリするけど、日本では明治維新をやってる頃だから、比べるとずいぶん文明的な社会だったんだとも思う。

・ラスコは近ごろ迷信的になっていると書かれている。元気な人は運命や迷信に頼らない。

・ラスコは、人間は凡人と英雄にわかれ、英雄ならある程度の犯罪は許されるという思想(大意)を持つ。

・彼自身、犯罪行為が失敗する原因について細かく分析するが、最終的には「ただし自分は例外」という結論に達する。自分を客観的に見るのは難しい。

・布で輪っかを作る作業をしていても、まだ自分は殺すか殺さないかはっきり決めていない感じ。運命という名の成り行きに任せている感じがする。

・だからちょっと変な偶然が重なると、それが運命だと信じて騙されてしまう。弱っている時の人間は大体そんなもんだと思う。

・いよいよ決行。角川文庫はリザヴェータが助かるとかないのかな。

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