遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

押山清高監督『ルックバック』

2024-08-07 23:49:59 | 映画を見てきた

2024/8/6

・マンガ好きの藤野が、小学校の学級新聞から、商業誌に掲載される現在に至るまでマンガを描き続ける話。

・藤野と相棒の京本が、直接的に間接的にお互いの背中を追い続ける話でもある。

・原作も映画も絶賛している人が多いが、自分には原作があんまり刺さらず、ちょっと身構えながら見始める。

・小学生藤野の描いた支離滅裂なマンガから始まる。

・原作はもっと内省的な話だと記憶していたので、シュールでポップな絵柄と動きに、警戒心が解かれる。

・とにかく背中を見せ続ける話。背中という主題への作り手の自信というか、信頼が伝わってくる。

・たぶん作者お気に入りの背中のフォルムがあって、それは男子よりも女子のそれなんだろうなと思ったりする。

・単純に絵を描き続ける描写が何度も繰り返される。

・同じことの繰り返しに見えて、少しずつ遠いところへ遠いところへと進んでいく。ボレロみたい。

・藤野は二回前進を止めてしまう。どちらも相棒の京本がきっかけ。そして、再起のきっかけも京本。

・踊りながら畦道みたいなところを歩くのかわいい。

・藤野と京本がお互いに追う追われるという最小要素でお話を作っている。

・おそらく、その関係性は二人とも死ぬまで続く。

・二人の絵が並べられた学級新聞。

・京本の絵は上手いけど話の中身はなさそうに見える。

・なので、藤野とそこまでの差はないんだけど、小学生であの画力の差を見せられるのは厳しい。先生むごい。

・もういいやではなくて、発奮できるのが才能。

・一度は描くことを諦めるが、それもやり切った後。

・それでも藤野に卒業証書を預ける担任。リスクもあるだろうに、京本の親経由とかで何か聞いていたのかな。

・顔の描き方が緻密。アニメでここまで書き込みできるものなんだ。止め絵の使い方がうまいのかな。

・個人的に声優特有の様式的な演技はちょっと苦手なんだけど、本作ではかなり抑えられている。

・イフに魅力があるのは確かだけど、実際に何が起きたのか素直に考えると、全部藤野の自己完結じゃないかと思わないでもない。それを考えるのはたぶん野暮。

・本作はすべての作り手に捧げられた話なので、『往生絵巻』で言うところの屍から蓮華の白い花が咲くタイプの話なんだと思う。

(札幌シネマフロンティア)

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『ラーメン赤猫』(先行劇場上映)

2024-06-21 12:43:28 | 映画を見てきた

2024/6/21

・猫たちが運営する「ラーメン赤猫」が、初のにんげんを雇い入れ、新しい体制を迎える話。

・テレビアニメの先行上映。上映時間は短く65分。

・原作は、いま自分が一番読み込んでいるマンガ。

・近いうちにテレビや配信で見られると思うけど、TOHOシネマのサービスデーに背中を押される。

・来場者プレゼントは書き下ろし風の色紙。かわいい。

・ステッカーが良かったなと思っていたら、もう少し待てばもらえたらしい。残念。

・原作1巻の城崎君が出てくる「マスクドエンジニア」のところまで。

・猫がラーメンを作ったり、接客したり、経営したりする、多めにファンタジーが入っている話なんだけど、猫ならではの言動や制約をうまく取り入れていて、虚実の塩梅が絶妙な作品。

・アニメの場合、マンガより自然に見ていられる幅が狭まるので、最適解を出すのがかなり難しい。

・個人的に違和感が抜けなかったのは唯一の人間である珠子で、それなりに色々経験している社会人なのに顔が小学生みたいに幼く見える。

・一部のアニメヒロイン特有の様式で描かれた感じ。

・あと、大変だっただろうなと思うのがクリシュナ。

・従業員で唯一の虎。見た目の迫力と、内面の繊細さとのギャップが魅力。

・声質からどうするんだろうと思っていたら、かなり繊細で気弱そうな方向に振り切っていた。

・アニメ化による絵の単純化もあって、虎ならではの迫力は抑えられ、だいぶんキャラクター化している。

・熊だけど、プーさんみたいな。

・どうやっても何かしらの違和感はあるだろうけど、性格と声質は合わせなくても良かったような。

・他の猫も猫っぽさは少なくなって、猫というより猫モチーフのキャラっぽく見える。

・でも耳がキュキュッと動くところは猫っぽい。ぽふぽふ拍手が音で聞けたのもうれしい。

・人間よりも動物のほうが描き方に専門技術がいりそうだし、劇場アニメならもう少しこういうところが増やせたのかなと思ったりする。

・画面の隅で見切れているような常連客描写も見どころなので、配信が始まったら見返したい。

・外待ちのリーゼント御所川原さんは見つけた。

(6/20 TOHOシネマズすすきの)

※ステッカーはパソコンに貼るもの(色紙はどうしよう)。

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ジョージ・ミラー監督『マッドマックス:フュリオサ』(2回目)

2024-06-18 22:51:00 | 映画を見てきた

2024/6/17

・一回目はほとんど情報を入れずに見て、色んな感想や解説を見聞きしてから二回目。スクリーンX。

・二回目は全体図がわかっている状態なので、一回目よりかなり短く感じる。

・「デスロード」の前日譚らしく、若干マッドじゃない人たちが生き残っていることにも気づける。

・穏当な人は、何もかも奪われて死んでいくけど。

・母親にしてもジャックにしても自ら捨て駒になったんだから、ちゃんと意を汲んで行きなさいよとは思ったけど、見捨てることができないのがフィリオサという人間。

・似たことを宇垣美里さんが言っていて共感する。たしかにディメンタスとは全く違う。

・子供フィリオサの背後で母の背中が燃えているシーンと、後のバレットファームで鉄格子ごしに火炎放射をうけるシーンが似ているのも、あえて重ねているのかもしれない。炎を背負う女。

・あの時は子供だったけど、力をつけた今なら助けられると思ったんだろうし、実際一回は助けている。

・一回目見たときには全く印象に残らなかったジャックも、人間性を残した人間の生き残りという目線で見ると、味わい深くなっていく。

・話を盛り上げるために取ってつけたような恋愛をねじ込むのは嫌いだけど、「フィリオサとジャックは別によくない?ないほうが不自然じゃない?」とは思った。

・みんなスターウォーズがトラウマになっているんじゃないだろうか。

・対バイク集団でフックをつけてどんどん持ち上げていくという戦法がおもしろい。

・最初、ボミーノッカーは飾りだと思っていた。二回目見たらたしかに名前を言っているんだけど、その時に映ってないからわからなかった。

・オクタボスかっこいい。空中戦が本当に合理的な戦法なのか疑問だったけど、たしかに頭上からの攻撃は有効なのかも。費用対効果が悪すぎるような気はする。

・どうして子供フィリオサがあんなに不用意にあいつらに近づいていったのかは結局わからず。

・スクリーンX初体験。でも、内容の面白さに意識を取られてしまって、その良さは感じ取れなかった。

・今度はドルビーシネマで見てみようかな。

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ジョージ・ミラー監督『マッドマックス:フュリオサ』

2024-06-13 14:41:09 | 映画を見てきた

2024/6/7

・文明崩壊後の世界、拉致された少女フィリオサが、支配者たちのもとで成長し、やがて故郷に帰ろうとする話。

・前作「怒りのデスロード」のフィリオサはひたすら凛々しく強い存在だった。

・逆にどんな半生を送ったらあんな感じになるのか、説得力を持って見せられるのか、期待半分不安半分。

・最初に出てきたフィリオサは、文明崩壊後とは思えない、かわいらしい普通の見た目の少女。

・いかにも危なそうな連中に近づき、いきなりならず者たちに拉致される。唐突にも思える。

・母親がフィリオサを助けるため、単身ならず者一派のアジトに乗り込む。迷いがなくて見ていて気持ちいい。自分の命の使い方も含めて合理的すぎる。

・敵のリーダーはディメントス。バイク三台を中世のチャリオット風に並べた乗り物を操る。運転しにくそう。

・のちのフィリオサを知っているので、この救出劇がどうなるかも大体わかる。つらい。

・一少女から戦士になるところが一番飛躍しているところだと思うけど、リクタス、おまえのせいだったのか。

・乱世の英雄でもあるイモータン・ジョーが調整役にならざるを得ない。ちょっと哀愁を感じてしまう。

・あのとき、相方のジャックを見捨てて帰っていれば故郷で何かできたのかもしれないなと思ったりはする。

・彼は作中とても重要な役割を果たすんだけど、前作のマックスと似たような役割で、印象に残らない。

・ディメンタスがほんとよく喋る。

・見た目からWWEのスーパースターみたいだし、マイクアピールも上手。最後はWWEどころかシェイクスピア俳優だった。喋ってる場合じゃないのによく喋る。

・基本的に言葉よりもアクションが重要な作品なので、そういう意味でも異質な悪役だった。

・マッドな世界だから仕方ないけど、ほんとに合理的なのかどうかわからない空中戦が派手でたのしい。

・ウォータンクの後ろ、ちゃんと使い道あったんだ。

・前作の「怒りのデスロード」はよく「行って帰ってくるだけの話」と言われていたけど、今回も行くと戻るの要素だけでここまで派手で面白い話になるのはやっぱりすごい。

・数え方にもよるけど、「怒りのデスロード」は彼女にとって三度目の正直だったんだなとわかる。

(6/6 21:00 ユナイテッドシネマ IMAX)

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シッダールト・アーナンド監督『WAR ウォー!!』(2019年)と新文芸坐オールナイト上映「リティク・ローシャンと一夜を共に」

2024-06-03 00:32:45 | 映画を見てきた

2024/5/30

・新文芸座のオールナイト上映のに三本目。

・時間的には午前4時過ぎくらいの開始。

・さすがに眠くなってきたが、前の二作が楽しかったこともあり、序盤のうちはまだ余裕があった。

・主人公の尊敬する先輩が軍を裏切って敵になってしまう話、でいいのかどうかは自信がない。

・本作ではもう一人メイン級の人がいて、リティク・ローシャンが敵役に回っている(ように見える)ため、やや出番が少ない。

・オールナイト上映が始まるときに、スタッフさんが「いつ寝てもいつ起きてもリティク・ローシャンがいるから安心してほしい」と言っていた。

・嘘ではないんだけど、本作の彼はすこしだけ出番が少なめだったと思う。

・すっかりリティクが好きになっていたため、彼が出ていないシーンは緊張感が保てない。

・加えて、敵と味方が激しく入れ替わる話なので、過去二作に比べて内容が複雑。

・作品に対する関心が持ちにくいこと、内容が複雑だったことで、これまでごまかせていた疲労がどっと押し寄せてくる。結果、話についていけなかった。

・最後のネタ晴らし的なクライマックスシーンを見ることはできたので、逆算して話を想像する感じ。

・気が付くと終わっていた。午前7時30分くらい。

・ここからはオールナイト上映全体の感想。

・告知通りの時間に映画が始まるのがうれしい。開始時間に本当に本編が始まる映画館は少ない。

・今回は客席での食事OKということだったが、普段は禁止らしい。たしかに床がきれい。

・遅い時間の映画館って、ポップコーンの欠片が散乱して不快なくらい床が汚いことがある。

・椅子が思いのほかゆったりしていて快適。全体的に居心地が良かった。

・一本目を見ている時に軽い地震があった。一瞬不安になったけど、この日は宿もとっていなし、すぐにどこかに帰れるわけでもないし、今いるところが耐震的にもベストだから、早々にこのままでいいやと思った。

・三作品とも終わると客席から拍手が起きていた。みんなは最後まで見ることができたんだろうか。

・オールナイト用に睡眠時間をとることができなかった。次の機会があれば今後こそ。

・最初のオールナイト体験がこの三本立てでほんとによかったと思う。

(5/25~5/26 新文芸坐)

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シッダールト・アーナンド監督『バンバン!』(2014年)

2024-06-02 23:20:56 | 映画を見てきた

2024/5/30

・新文芸座のオールナイト上映の二本目。

・深夜一時過ぎだったと思う。事前に普段より多く寝ていたわけではないけど、まだ頭はしっかりしている。

・婚活で出会った男が大泥棒だったという話。

・その大泥棒役がリティク・ローシャン。

・巨大なダイヤを盗み出すが、報酬をめぐり、交渉先の犯罪組織との関係を悪くしてしまう。

・一方で、婚活を始めた普通の若い女性。たまたま婚活サイトでアポを取った男性が遅刻してしまい、リティクを婚活相手だと勘違いしてしまう。

・温度差が極端。

・状況的に極めてうさん臭い人間のはずなのに、リティクの人間力だけで魅力的に見えてしまう。

・何かのショーに紛れ込んだリティクが、迫力ある音楽ともに踊りだすシーン。割と序盤だけど、本作のピークだった。アナ雪のレリゴーに匹敵する。

・演出効果もあるけど、彼だけ3Dに見えた。

・筋肉の彫りが深く、汗でピカピカ輝いている。

・正直、最初から偽物っぽかった巨大ダイヤより、カットも輝き方も彼のほうが上だった。

・水上での格闘シーンも良かった。マシンを使って、イルカのように飛んだりもぐったりして前進していく。実写とは思えない動きだった。

・女性が彼のことを信じたり疑ったりを繰り返すところでは、ちょっと飽きてしまう。

・あわせてクライマックス級のアクションシーンが多く、かえって印象が薄くなったりもしてしまう。

・どんな大技が決まってもなかなか試合が終わらないプロレスを見ているような感じ。

・それでもオープニングの残酷なシーンが中盤と終盤に二度回収されていくところは気持ち良かった。

・終始三人組で行動していた一作目や、若手に結構見せ場を譲っている三作目に比べて、最もリティク・ローシャンの魅力を堪能できる作品だった。

・カリオストロの城かと思ったらドクターフーに近かった。

・運命の出会いだからと言って、そこに飛び込めるとは限らない。安定のほうが大事な人もいる。

・結果的に、彼が運命の人ではあった。婚活サイト凄い。

(新文芸坐)

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ゾーヤー・アクタル監督『人生は二度とない』(2011年)

2024-06-01 14:31:47 | 映画を見てきた

2024/5/30

・新文芸座のオールナイト上映の一本目。

・開演時間になるとインド映画の配給担当スタッフのかたが出てきてあいさつ。拍手が起きる。

・いかにも映画好きが集っている雰囲気。

・勝手に想像していた、たまたま宿が取れなくて仕方なくここで一晩過ごす、みたいな人は見られなかった。

・確かにただ寝るだけならネカフェのほうが安い。

・結婚を間近に控えた男性が、親友二人とともに、男同士、独身最後の旅行を楽しむ話。

・旅行先はスペイン。旅行先の体験や出会いを通じて、少しずつ三人の過去のわだかまりや、現状の困難さと向き合えるようになっていく。

・少なくとも結婚、長期の海外旅行ができる程度に裕福な三人なので、多少ひどい目にあっても生々しくならない。いい意味で他人事として見られる。

・スカイダイビングのシーンが長くてハラハラした。もっと速くパラシュートを開いてほしかった。

・牛追祭りで荒れ狂う牛にエキストラ的な人が引かれていた。スタントマンなんだろうか。どういう訓練をしたらそんなことができるのか、実際無事だったのか、謎。

・三人ともインド映画特有の鍛え上げられたすごい肉体をしているし、ダンスシーンもしっかり盛り上げている。

・俳優が踊れるというのは大きな武器になる。

・リティクの役は仕事人間。金融ブローカー(wiki参照)で40歳までに貯金を作って引退しようとしている。

・計画に固執しすぎて、過去恋人にこっぴどいフラれ方をしていたりする。

・そんな彼も、旅先で出会った美女とスキューバダイビングをすることで、少しずつ変化していく。

・そのあとの出来事もしっかり時間を使って丁寧に描かれているので、客席から見てインパクトのある出来事はそんなにないのに、見た後の幸福感が強い。

・バチェラーパーティーと言えば「ハングオーバー」シリーズだけど、あんな突拍子もないことが起きなくても立派な作品になりうるんだとわかる。

・少しずつ三人が解放されていく様子を通して、旅行というものの本来の意義らしきものを感じる。

・この作品を旅先で見ている自分はとても運がいい。

・エピローグの過不足の無い描写が美しかった。

(5/24 新文芸坐)

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伊勢朋矢監督『日日芸術』とCINEMA Chupki TABATA

2024-05-27 06:34:22 | 映画を見てきた

2024/5/24

・こちらの映画館は、耳や目が不自由な人も楽しめるユニバーサルシアターとのこと。

・小さい映画館であることは知っていたけど、実際現地に来てみると思っていたよりもかなり小さい。20席。

・どの席にも音声解説用のジャックがある。

・ここに来て普段通りに映画を観ても仕方ないかなと、イヤホンをお借りして音声ガイドのみ鑑賞を試みる。

・映像がなく、音声のみの作品なら、ラジオドラマみたいなものかなという素朴な疑問。

・実際に体験してみると、映像を言葉で説明する音声ガイドと、映像表現自体を想定していないラジオドラマは似て非なるものだった。

・そもそも映画でしか見られない作品は山ほどあるので比較自体あまり意味のないことだった。

・自分は目を閉じていたけど、頭の中には映像が浮かんでいる。中途失明した人はともかく、元々目の見えない人の感じ方をトレースすることはできそうにない。

・でも、映画を見た人と音声ガイドで鑑賞した人が同じ作品のことをちょっと語り合ったりはできる。そのちょっとが大切なんだと思う。

・作品は、若い女優である富田望生が、不思議なメガネをかけることで、様々な芸術活動をする人たちと出会い、成長のきっかけをつかむセミドキュメンタリー。

・幼さの残るヒロインの声とパスカルズの音楽がとてもフィットしていた。

・誰も見たことがないものを表現することが芸術の重要な要素なので、見たものを言葉で説明する音声ガイド鑑賞とは圧倒的に相性が悪かったような気がする。

・始まって数秒でいったん停止。音声ガイド対応の上映ではなかったのでやりなおすとアナウンス。

・視覚障碍のない自分が紛らわしい鑑賞の仕方をしたせいで間違われてしまったかも。申し訳ない。

・私の誕生月なのでジュースをくれたり、アフタートークの無い日なのにアフタートークのアナウンスをしていたり、おちゃめな映画館だった。

・「自分の踊り方で踊ればいいんだ」という言葉が彼女の血肉になっていく様子が感動的ではあるけど、世の中それだけじゃ駄目だということは無数にある。

・そのあたりきれいごとにしないために、どのようなことに注意したのか、しなかったのかということを監督に聞いてみたかった。

・当たり前だけど、双極性障害のかたや七十代から創作をはじめたおじいさんなど、「見たい!」と思える作品を製作されている方がたくさんいた。

・なので、結局帰りにパンフを購入した。折り葉と一筆書き絵の精密さがえぐい。

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クリストファー・ノーラン監督『オッペンハイマー』

2024-04-02 12:45:18 | 映画を見てきた

2024/4/2

・原爆の父と言われたオッペンハイマーの評伝劇。

・180分ある。家でサブスク視聴するには厳しい長さ。こういう作品こそ映画館がはかどる。

・せっかくの話題作なのでIMAXにしたけど、会話が9割だったので、そこまでこだわらなくてよかったかも。

・ただ、ロスアラモスの原爆実験はすさまじい。クリストファー・ノーランがCGを使わないということくらいは知っていたので、ますます凄みを感じる(実際にはちょっと使っていたらしい)。

・爆発時の数字を聞いて、単に大きな爆弾が炸裂したと思って喜んでいるライト層と、とんでもない異常な規模だとわかる専門家たちの表情の違いも見どころ。

・彼のキャリアの振り返りと、戦後の公聴会のシーンが切り替わりながら話が進む。

・最初、公聴会で調査しているのは人道的な意味での是非なのかな、ちゃんと検証しているアメリカはえらいなって思っていたけど、全然違っていた。

・セックス描写の必要性がわからない。特に公聴会中のシーンは、作り手側の悪ふざけに見えてしまった。そういうタイプの話ではないのに。

・冒頭にプロメテウスの説明。人類に火を与えた罪で永久に苦しみ続けるという神。そのまんま、この映画のオッペンハイマーを説明している。

・原爆を落とさないと日本は降伏しなかったのではないかという指摘。絶対ないとは言えないのがつらい。

・アインシュタインがイメージ通りの見た目と言動。

・科学者からの指摘を、決して正面から受けず、流して崩して倒す合気道の達人のような悪い政治家。

・なるほど、こうやって悪い政治家は正論と戦うのかと、暗い気持ちになる。

・一応、説明はあるので、オッペンハイマーと友好的な人、敵対者、この人たちは何をやろうとして何が問題になのか、最低限のことはわかるようになっている。

・それでも登場人物が多く、前提知識も足りず、何が進行しているシーンなのかよくわからない時間帯があった。

・映画や演劇を見るときは前情報なしが好きなんだけど、評伝劇に関しては展開に面白味があるわけではないので、下調べしてから見たほうがよかったかも。

・良くも悪くも戦争関連のグロい表現はないので、長時間のわりに見やすいタイプの戦争映画だった。

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マーティン・スコセッシ監督『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』

2024-03-02 22:55:05 | 映画を見てきた

2024/3/1

・仕事を求めてオクラホマ州に移り住むことになったアーネストが、地元の有力者である叔父の言いなりになって、オセージ族の連続殺人計画に飲み込まれていく話。

・実際の事件をもとに作られた3時間26分の大長編。

・アカデミー賞10部門ノミネートの記念上映で、実際見た人の評判もいい。それなのに、最初の20分くらいは何が起きているのかよくわからず、不安になる。

・徐々に登場人物の関係性、凶悪な行為、計画がわかってくるにつれ、話が加速していく。中だるみしなかった。

・後日譚の見せ方も好き。もうちょっと見たくなる。

・なので実時間ほど長くは感じないんだけど、それでも映画館の環境あっての作品ではある。

・オセージ族は、保留地から石油が採掘され、裕福だったため、白人入植者に権利を狙われているという背景。

・結構な数のオセージ族が殺されている。

・酷い話だけど、殺人シーン、人が生物から物になる瞬間の繰り返しがリズミカルでひきつけられてしまう。

・他の映画だと『アウトレイジ』の感じが近い。

・起きていることに比べて生々しさは薄めだけど、きれいごとで終わらせないという意思も感じる。

・オセージ族を善人として描かないバランスも好き。悲劇性よりも身近に感じさせることを優先している。

・アーネストは、オセージ族の女性と結婚している。

・当然、叔父と妻の板挟みに苦しむ話になると思いきや、アーネストはびっくりするくらい葛藤していない。

・叔父がオセージ族を殺せと言えば殺すし、オセージ族の妻のことは大好き、子供のことも大好き。

・何かを変えなければ、行きつく先はわかりきっているのに、叔父の言いなりになっているうちに、案の定、取り返しのつかないことになっている。

・どうしてこういうことができるのか、にわかには理解できないけど、やっぱり差別意識が根本にあるのかな。

・妻のことを愛しているのも本心なんだろうけど、同時に見下してもいる。たぶんこのへんは両立できる。

・自分自身が空っぽで、善悪の基準を持っていない。自分の感情よりもボスの言うことを優先する。

・遠い地域のまあまあ昔の話なのに、この主人公が全然他人に思えなくて困る。いまの日本人で彼のことを笑える人がどれだけいるのかと考えてしまう。

(TOHOシネマズすすきの)

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