goo blog サービス終了のお知らせ 

遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

渡邊祐介監督『なにはなくとも全員集合!!』(1964年)

2025-05-15 13:22:28 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2025/5/15

・草津の駅員と新規参入してきたバス会社の社員たちがいがみ合いながら距離を縮めていく話。

・ドリフターズ映画は初めて。シリーズが続いたということは一作目が良かったんだろうと最初の作品を選ぶ。

・彼らはドリフターズとしてではなく、作中世界で生活する一般人として登場する。名前だけほぼ一緒。

・今見るとコントのノリそのままで特に違和感はない。

・1967年の作品なので、『8時だヨ!全員集合』が始まる前。当たり前だけど、みんなとても若い。

・動きや喋り方にかなりクセはあるものの、加藤茶の顔が特にきれい。つるつるしている。

・いかりやとハナ肇はバス会社側、加藤と仲本は鉄道側、高木ブーは中立的な立場の旅館職員と、各陣営にメンバーが分かれている。メンバー間で敵対関係ができているのがドリフっぽい。

・ただし、話の中心はドリフターズではなく、新しく駅舎にやってきた、三木のり平が演じる駅長。

・彼とその家族の話を主軸に据えている。

・ヒロインは新駅長の娘で中尾ミエ。スポーツできそうな感じの美人。

・敵対する陣営それぞれの身内の男女が恋仲になるという王道のロミジュリ展開。

・半世紀以上の前の作品だから古風で当たり前かもしれないけど、中年男性が「そうだろう、君?」とか「よろしい!」とか言っているのが味わい深くて好き。

・色々あって目覚まし時計を食べようとする碇矢に対して、三木のり平が「お茶!」と声をかけているのがおもしろかった。アドリブなのかな?

・どっちつかずの立ち位置に高木ブーがいるのは的確な配置。ある場所で当たり前のようにタバコを吸っているシーンはまさに彼の見せ場だった。

・乱闘シーンが妙にのんびりしている。素人同士のじゃれ合いという感じで、逆に新鮮だった。今の一般人はなかなか暴力を振るわないから貴重かもしれない。

・草津温泉というロケーションが情緒の塊。風呂場で逢引シーンするシーンも斬新だった。

・昭和中期の話なので、楽しむためには衛生感覚や家父長制の倫理観は、一度脇に置く必要はある。

・最後のトラブルを解決するところ、色々ツッコミどころはあるけれど、だからこそ想像できなかったし、無茶苦茶で楽しい。

・最後の加藤茶はかわいらしかった。かっこよさとは別のベクトルの魅力を感じた。このあと売れそう(売れた)。

(U-NEXT)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヴィクター・フレミング監督『オズの魔法使』(1939年)

2025-03-21 23:59:00 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2025/3/19

・農家の娘ドロシーが家出して魔法の国に紛れ込んでしまい、かかし、ブリキの木こり、ライオンとともに、オズの魔法使いを訪ねる話。

・タイトルロゴ、羽の生えた猿みたいな動物、気球、オズの魔法使いがハッタリをかますところ、ウィキッドに転用されている要素が多い。

・悪い魔女の妹の扱いが酷い。

・黒幕であるはずの悪い魔女が思いのほか前線に出てくる。遠見の水晶あるのに。

・テンプレ的な悪党の笑い方。カメラ目線で笑ったり、消えるときに説明しながら消えていったり、ウィキッド見たせいもあるけど、もしかしたらこの人、真面目なんじゃないかという気持ちになる。

・悪い魔女と水の関係がよくわからない。最後のほう、何か説明を見落としたのかなと思うくらい唐突。吸血鬼は流水がダメみたいなルールでもあるのかな。あんなので退けられるのは不憫すぎる。

・総じて悪い魔女の行動がいちいち不自然。

・本作を見て、「自称よい魔法使いが都合よく改ざんした物語なのでは」と疑いたくなるのはわかる。偽史感がある。

・かかしのダンス。力の入っているときと、抜けているときの動きが絶妙で、ほんとに体に藁が詰まっているように頼りなく見える。

・かかしもブリキの木こりも一応人間型に作られているから人間が演じても不自然ではないけど、ほぼ人間の姿のライオンが出てきた時点で、バランスがちょっと崩れる。実写版キャッツみたい。

・ときどき、犬のトトがお利巧すぎてCGみたいに見える。どんな訓練したらあんな感じになるんだ。

・ブリキの涙がさびた茶色だったり、シーンが切り替わ毎に馬の色が変わっていたり、演出が細かい。

・自力では空に飛べないオズの魔法使い。口は達者。

・足りないもの同士が連帯する仲良し四人組+ワンコの組み合わせが楽しい。

・それぞれ知恵と心と勇気がほしい。どれも人からもらうようなものではなく、行動を通して獲得していくものであるという展開はとても道徳的。

・ウィキッドはパート1でやりきったように感じていたけど、大元の作品を見ることで、まだまだやることがあるとわかった。期待して待ちたい。

(U-NEXT)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

岡本喜八監督『EAST MEETS WEST』(1995年)

2025-02-23 00:29:14 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2025/2/21

・1860年、使節団の一員としてサンフランシスコにわたってきた武士の上條健吉が、強盗に父親を殺されたサム少年の敵討ちを手伝う話。

・チャンバラと西部劇、東洋文化と西洋文化の融合と言うとわかりやすいけど、そんな単純な構図ではない。

・色々あって上條自身も追われる立場になるので、追っているのが少年の仇なのか、強盗に盗まれた三千両なのか、追っているのか、逃げているのか、案外複雑。

・忍者の為次郎や、原住民の女、元士官の教師、街のゴロツキたちもそれぞれの思惑で行動を共にする。仲間とも言い難い属性の違う人たちが、真の悪党と戦うというのがおもしろい。

・上條役が真田広之。立っているだけでもかっこいいし、喋っても動いてもかっこいい。白人の老婦人が「いい男だ」と言っても、違和感がない。

・江戸時代末期の話なので、武士と言えども実際に人を斬ることはほとんどない。

・鍛錬だけはしていて、実際に戦うと強い。人を斬ったあとは腕が震える。このバランスがいい。

・のちにバディっぽい扱いになる為次郎は竹中直人。

・幕末の世なのに侍に憧れる忍者で、のちの展開も含めてとても味わい深い役柄。歌声の説得力はさすが。

・ただ、自分の感覚ではかなりオーバーアクトで、受け入れにくい。セックスしたら相思相愛になるという展開もなんかイヤだ。

・19世紀の話だからそういうこともあるんだろうし、作品自体も30年前だから倫理観がゆるいのはわかるけど、それにしても。

・ジョン万次郎の指導が適当すぎるのも悪い。

・岸部一徳の声で、日本語の中にネイティブに近い外国語がまざっていて楽しい。

・何気にサム少年の演技が上手い。演者はスコット・バッチッチャ。聞いたことないけど、真田広之と横並びになってしっかり絵になる。

・本来なら、タイトル通り、上條の刀と少年のピストルで戦うのがバランス良いように思える。

・あちこちで馬が躍動している。今こういうのを日本で作るのは難しいというか、たぶん無理。

・荒っぽいところも見られるけど、製作的にかなり難しい題材だと思うので、しっかりエンタメ作品として捌き切ったのはすごいことだと思う。

(U-NEXT)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

グレン・R・ミラー監督『シーワールドZ』(2021年)

2025-01-26 08:31:00 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2025/1/26

・システムダウンで水族館内に閉じ込められた人々が、ゾンビ化した生物に襲われながら脱出を試みる話。

・これから実際に水族館めぐりをするから、何かしらの関連がありそうで時間短めの作品を選んだ。

・最初に巨大タコがゾンビ化して人を襲う。

・このときもそうだけど、襲われている瞬間がほとんど映らない。

・音楽で煽る→ゾンビ生物が映る→恐怖に顔をゆがめた人間が映る→次のシーンみたいな感じが多い。

・ゾンビ生物自体もなかなか出てこない。

・なけなしのCGのリソースで作ったと思われる、ゾンビワニが全く同じ動きで作中何度も迫ってくる。

・タコもワニも一緒の鳴き声。

・カニとヒトデに関しては、作中の活躍ぶりでも、CG的にも頑張っていたんだと思う。地味だけど。

・結果、グロ描写がほとんどなく、苦手な人でもかなり大丈夫なほうのホラー映画だった。

・なぜか必ず酷い目にあう獣医の中年女性がかわいそう。

・そういうアトラクションにしか見えない、ゾンビザメまたぎシーンでもオチ担当と言っていい。

・ただ、生物の専門家らしく、「目が白濁しているから視覚はないはずだ」と看破するところはかっこいい。

・絶対、途中でゾンビ化するもんだと覚悟していたのに、最後まで生き残った。よかった。

・タコがヒロインを襲うシーンはあるが、春画みたいなことにはならない。

・ゾンビイルカの活躍をもっと見たかった。爬虫類の無表情感もいいけど、口角上がってるから人間の表情に近くて気持ち悪い。良い。

・登場人物の全体的に華の無い感じはむしろ好み。

・地方のだいぶん老朽化した感じの水族館なので、これくらいのほうが生々しい。

・警備の人が、両手を開いて顔の横に添え、目と口を大きく開いて驚いていた。とても様式的だった。

・結局、作中水族館の水槽は割れやすいのか割れにくいのかよくわからなかった。

・普通、ゾンビになったくらいじゃ割れないと思うけど。

・見終わって、本当の水族館のスタッフさんたちに申し訳ない気持ちになる。

・まじめなドキュメンタリーなどを見るべきだった。

・こういう作品は定期的に観たくなってしまう。こういうゆるい作品はもっとあってもいい。

(U-NEXT)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山田尚子監督『リズと青い鳥』(2018年)

2024-12-29 21:06:57 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2024/12/26

・吹奏楽部ののぞみとみぞれとの関係が、ソロパートの掛け合いをきっかけに崩れそうになる話。

・「響け!ユーフォニアム」のほうは全く見ていない。本作を観たあとにスピンオフだと知った。

・みぞれ登場からタイトルまで。大した事件がなくても、音楽と人のちょっとした仕草だけでシーンが持つ。アニメ映画らしい堂々とした冒頭。

・オーボエのリードを削るところ、分解してケースにしまうところ、フルートの口元、大会が近くなると増える顧問、吹奏楽の知識はないけど、細かい情報がそれっぽくて楽しい。

・床に毛布のようなものを敷くところや、糸で作業しているところも、何なのかはよくわからなかったけど、そういうもんなんだろうなという感じがする。

・登場人物が可愛らしくて小奇麗な女子高生しか出てこないところは、作り手の好みが表に出過ぎていて、少しノイズになった。

・演奏シーンは指の動きが派手だけど、地味に肩が揺れやお腹の膨らみまで表現している。アニメの場合、再現度の高さがそのまま感動に繋がるのがおもしろい。

・上の立場、横の立場、下の立場、能力差、モチベーションの差、吹奏楽部独特の組織人の悲哀を感じる。

・作中、童話「リズと青い鳥」をモチーフにした楽曲を演奏することになる。

・童話の内容が結構雑に感じる。青い鳥が自由になりたがっているのかと思っていたら、リズが青い鳥に出ていけと言っているようにしか見えない。

・童話シーンの演技もちょっと棒読みっぽく感じるのは気のせいなんだろうか。

・特に作中内作品が名作である必要はないし、それでも刺さる人には刺さるという意味では現実っぽいのかも。

・二人の抱える壁が、先生との面談、友達との雑談で解消されていくのが、派手さに逃げず、地道にやるべきことをやることの尊さを教えてくれる。

・結局、みぞれ→のぞみへの執着は深まってしまったような気がするけど、そのへんどうなんだろう。

・ヒロインの作り物っぽいキャラを崩そうとしてくる後輩は好き。「あの先輩はそういう人だから」で逃げず、壁を壊しに行くのはとても勇気がいることだと思う。

(U-NEXT)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウディ・アレン監督『レイニーデイ・ イン・ニューヨーク』(2019年)

2024-12-20 15:13:10 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2024/12/20

・地方の大学に在籍しているギャツビーが、そこで知り合った恋人アシュリーと一緒に、地元のニューヨークに戻ってきて自らの人間関係を整理する話。

・彼は、頭がよく金持ちの家に生まれ育ちがいい。賭け事に強く、ピアノも弾ける。彼女も家柄よく美人。演者はティモシー・シャラメだから見た目も完璧。

・必ずしも誠実な人間とも言えず、とても共感できる要素のないはずの人間なのに、見ていて不思議と嫌な感じはしない。恋人のアシュレーも同じ。

・恵まれている人にも恵まれている人なりの苦労があるという単純な話ではなく、全体に漂う「人間とはこんなもの」という諦念、人間を俯瞰で見ている感じが強い。

・アシュレーの行動も不用心すぎるけど、スター俳優に抱かれる千載一遇の機会があったら、恋人がいたとしても、いっぺん抱かれてみるかと思ってしまってもしょうがない。知り合いだったら止めるけど。

・若者同士、勢いと成り行きで付き合い始めたものの、「なんか違うな」で別れて、理屈と相性で別の人を選ぶというのは、とてもよくある話だと思う。

・ある若者の恋愛観が一段階進歩した話と言える。

・エキストラにキスシーンさせる素人映画監督は本当にド素人だと思う。

・どんな映画を撮っていたのかは知らないけど、素人のエキストラに何やらせてるんだ。ギャツビーも断れ。

・実際に大学生のころ、お酒でやらかしたことはあったし、無茶な賭け事で金銭感覚がおかしくなっている人もいたし、総じて若者の不完全さを愛でる作品とも言えそう。

・菊池寛の小説で、生に執着する無様な武士を指して「There is also a man」と書いていたけど、同様に「これもまた若者らしさである」という視点を感じる。

・毛嫌いしていた母親との会話が、それまでの話全体を引き締めている。うまい。

・とは言え、全体的に性に奔放すぎる感じは文化の違いなのか若者観なのかなんなのか。

・「プラダ~」の時もそうだっただけど、ダサい服装と言えば青いセーターみたいな決まり事があるんだろうか。

・傘の形状が完全に半球なので、立ち止まっている時はいいけど、歩いたらすぐ濡れそう。

・兄の恋人の笑い声のエピソードは何をしたいのかよくわからなかった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

リチャード・カーティス監督『ラブ・アクチュアリー』(2003年)

2024-12-16 14:40:39 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2024/12/16

・クリスマス時期に複数の男女が概ねカップルになる話。

・各人の出会いとその関係性を描きつつ、それぞれのエピソードがふんわり関係しあうおしゃれな構成。

・出会いは素晴らしいと臆面なく歌い上げる話でもある。

・世の中はそんなに単純なものではないけど、クリスマスだし、フィクションなんだし、たまには無邪気に世の中を肯定していこうという意気込みを感じる。

・構造そのまま真似して別の何かを作れたらよいけど、日本人でやると生活感が強くなりすぎそう。

・庶民的な首相。アメリカに毅然とした態度をとることで人気が出る。ということは、現実の首相はそういうことができてないということなのか。

・セックスシーンの段取りを確認しながら世間話をする二人の独特の距離感が好き。全体的にほどほどに下品なのはいいバランス。

・セックスしたいだけでアメリカに行ってしまう若者のエピソードだけ極端に雑。

・老ロックスターの人生がそんなに悪いものじゃなくてよかった。ちゃんと話に絡んでいたのもよかった。

・賢そうな子供がダメな老人を冷ややかに見るシーンは大体おもしろい。結果、気づきを得ているんだから本当に賢い。ダメな老人にも役割があるのは希望を感じる。

・ドラム叩きながら演技できている。演者も賢かった。

・首相の熱愛おひろめ会やプロポーズ大名行列。クライマックスに向けて、とにかく盛っていく方針は嫌いじゃない。

・仲介役の家政婦の人選があざとい。

・親友のために気持ちを押し殺す彼。切なさに味わいがあるのに、終盤の行動で距離を感じる。夫がバカっぽく見える。

・浮気がバレそうになるところ、何か良い意味で裏があると思ったけど、特になかった。奥さんかわいそう。

・浅はかな性欲男子はいい思いをして、浮気されたとか、病気の家族がいるとか、そういう人には特に救いがないように見える。そういう話じゃないだろうに。

・見せ方の問題だと思うけど、奥さん亡くなった夫、次に行くの早いなと感じてしまう。身代わりっぽい。

・色んな愛のかたちを見せられる群像劇だし、実際に色んな続柄の人がいるわりに、全部似た感じに見えてしまうのはなぜなんだろう。

・自分がこの作品世界にいたら、たぶんダンスに誘われた人のグラスを預かってあげる係だなということはわかる。

・(一部の人たちの)愛は尊いという話だと感じたのはひねくれすぎだろか。

Wikipediaがよく整理されているように見える。もうちょっと詳しく知りたい。

(U-NEXT)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

森田芳光監督『家族ゲーム』(1983年)

2024-12-14 19:51:29 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2024/12/14

・家庭教師が担当の中学三年生を指導して地域トップの学校に合格させる話。

・原作は本間洋平の小説。色々混ざって柳美里だとずっと勘違いしていたが全然違う。

・主演は松田優作。薄気味悪い家庭教師役。

・父親役が伊丹十三。斬新なキャスティングだと思ったら、当時はマルチタレントだったようで、映画を撮り始めたのは本作出演のあと。

・空宙空地の短編『ふたり、目玉焼き、その他のささいな日常』で関戸さんがちゅうちゅうしていた目玉焼きのオマージュ元をようやく見れた。

・本家では言い返せてなかった。気の毒。

・森田芳光監督の代表作と言われているけど、公開当時の時代感覚が絶妙に肌に合わない。

・家政婦扱いの専業主婦、暴力をふるう家庭教師、セクハラ味の強い身体接触、不機嫌を垂れ流す体育教師。

・意図的に気持ち悪さや斬新な表現を狙っているのはわかるけど、そのさじ加減が辛い。

・一番嫌だったのは母(妻)千賀子の扱い。賃金もらっているわけじゃないのに家事は仕事扱い、息子二人からは召使い扱い、子育てには参加せず口だけ出してくる夫、空き時間には内職までしている。

・「布団くらい自分で敷け」と口に出せない気弱さが問題とも言えるけど、弱いのがダメだ言われたらキリないし。

・とはいえ、自分も母親に対して甘えたことを言っていた記憶はたくさんあるので、同族嫌悪的な要素もある。

・作品的にこれらの問題を良しとしてはいないのはわかるんだけど(結局合格しているから微妙ではあるが)、当時の時代感覚ならどのくらいのバランスなんだろうと想像しながら見なければいけない。

・何の問題もない兄が何のために存在するんだと思っていたけど、その後の展開に納得する。

・呪いは消えない、ヨソに行くだけ。怖い。

・最後のほうの残飯をみんなで片づけるシーンはよかった。家族はじめての共同作業ではないか。

・そういうシーンだと思ったら、父親がツッコミ入れていて面白かった。言うタイミングが遅すぎる。

・食事シーンだけ抜き出して見ると面白い。発明。

・同一方向を向いて食事、目玉焼きちゅうちゅう、お風呂でパック豆乳、一気飲み。真似したくなるのもわかる。

・繰り返し見れば色んな発見はありそうな作品だけど、繰り返し見たいかと言われると微妙な作品だった。

(U-NEXT)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ゲイリー・マーシャル監督『プリティ・ウーマン』(1990年)

2024-11-28 22:00:47 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2024/11/27

・実業家の仕事人間エドワードが、娼婦のヴィヴィアンと一緒にいるうちに人間らしさを取り戻していく話。

・今まで見てきたどのリチャードギアよりも若い。

・ヴィヴィアン役はジュリア・ロバーツ。もともと娼婦にはあんまり見えないんだけど、素っ頓狂な衣装や動物みたいな行動で育ちの悪さを表現していた。

・たしかにあの衣裳はどんな人でも娼婦っぽくしてしまう。かっちりしたホテルの人々とのギャップが激しい。

・格差そのものという序盤の絵面が痛々しい。

・シンデレラのハリウッド版と言われがちな作品だし、実際、底辺女が資産家男に見出されて幸せになる。

・価値観の違う二人が交流してお互いに影響を受け合う話という言い方はできる。

・「仕事なら割り切れる」のような一言で娼婦と実業家をつないでいる。

・彼女は服装や仕草のような表面的な変化で、彼のほうは精神面の変化。

・とは言え、エドワードの財力が前提の話。冷静になって考えると夢の無いおとぎ話ではある。

・服屋を見返すところも金でねじ伏せているだけだし。

・魔法使いポジションの支配人、単にいい人なのか、何かの打算があったのかよくわからず、油断ならん人だった。

・むしろ、ヴィヴィアンと底辺仲間のキットとのほうが良い関係性に見える。

・思いもよらぬ幸運に遭遇した相方に妬むそぶりも見せない。クスリやっててもそこは譲らない。

・セックスよりもキスを上位に置くのは『月曜日のユカ』でも見た。類型は多そうだけど、元ネタあるのかな。

・コメディには欠かせない、人の良さそう(=頭の悪そう)な感じのエレベーターボーイ。

・ポロの土ならしの習慣おもしろい。

・「オペラは最初が肝心だ」という話、オペラ識者の意見を聞きたい。

・雇っているんだからちゃんとやれという正論にも、違う違うと思えるよう、うまく作られている。

・非常階段のシーンをうまく使いまわししている。

・リチャード・ギアが当たり前のようにピアノを弾いている。『シカゴ』ではタップダンスもしていた。芸達者。

・『裸足で散歩』を思わせるシーンもあった。靴をぬいで裸足になるって、西洋文化では特別な意味があるのかな。

・顧問弁護士の彼は気の毒なくらい悪人で俗物だった。

(Prime Video)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ロジャー・ミッシェル監督『恋とニュースのつくり方』(2010年)

2024-11-18 01:04:28 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2024/11/19

・人気低迷中のモーニングショーのプロデューサーになったベッキーが、偏屈な老ジャーナリストをメインキャスターに据えて、立て直しを図る話。

・脚本家が「プラダ~」と同じというのは知っていたので、ちょっと身構えながら見始める。

・どちらもホーカーホリックな若い女性がクセの強い年寄りに振り回されながら自らの地位を確立していく話なんだけど、プラダの時のような嫌な感じがしない。

・たぶんファッションと報道の違い。同じ生き馬の目を抜くような業界でも、ニュースと言うくらいだし、報道は事件を追うリアルタイム性が本質にある。

・半面、ファッションの多忙さは業界内部の自家中毒感がある。

・もう荒み切った番組制作現場の雰囲気。

・「次は歌うのか」というセリフ好き。

・『王様のレストラン』と似た雰囲気を感じる。

・ヒロインが有能で決断力がある。そして、くじけない。うじうじしない。前進あるのみ。ちょっと怖いくらいだけど、これくらい振り切っていると、そういう業を背負ってしまった人なんだなと受け入れられる。

・ベッキー役は、レイチェル・マクアダムズ。顔をくしゃくしゃにしてサラダ食ってる。

・あんなに湿っぽくないセックスシーン初めて見た。コメディの雰囲気を残したままできるのがすごい。

・淡々とスイッチングしている人が指揮者みたいでかっこいい。話に関われるほどの尺がないのは惜しい。

・めんどくさい老キャスター役はハリソン・フォード。

・環境に馴染めない、馴染む気がない。本当にどうしようもない人なんだけど、たしかにこの人しかできない仕事を具体的にやって見せる。

・グッドバイの連呼は、もうああいうスタイルということでいいのではないか。

・不仲を隠さないほうが番組としておもしろいと思う。

・五人椅子に座っているシーンで五人とも足を組んでいた。アメリカにはそういうマナーでもあるのか。

・料理のところとか、細かい伏線が丁寧に回収されていてよくできたドラマだった。

・仕事がもうひと段落ついたら、ベッキーは一週間くらい休みを取って、思いっきり彼とセックスしたらいいと思う。

(U-NEXT)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする