遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

阪元裕吾監督『ある用務員』(2021年)

2023-03-20 22:43:39 | 映画を見てきた

2023/3/20

用務員として働いている男が、ヤクザの娘を守るために学校で殺し屋たちと戦う話。

彼はカタギではなく、そのヤクザから色々な戦闘技術を仕込まれている。

用務員要素はあんまりない。あのモップで何を拭いていたんだろう。

高校生組があんまり高校生に見えない。

序盤の人間関係にそこまで興味が持てず、実際よくわからなかったものの、学校での殺し合いになってからが面白かった。

特に『ベイビーわるきゅーれ』組が存在感で頭ひとつ抜けていた。

明らかにアクションの強い髙石あかりさん、伊澤彩織さんのヤカラ演技。

類型的と言えば類型的だし、初期の構想段階ではここまで魅力的な存在になることは想定してなかったんじゃないかと予想。

同じ世界の中の話なのかパラレル的な感じなのか気になったけど、役名が違った。

『ベイビーわるきゅーれ』の続編を早く見たい。

(U-NEXT)

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ロドリゴ・グランデ監督『エンド・オブ・トンネル』(2016年)

2023-03-11 21:41:35 | NETFLIX/Amazon/UNEXT/Apple TVで観た

2023/3/11

車椅子の男が、銀行強盗の狙う金をかすめ取ろうとする話。

銀行強盗はできないが、銀行強盗を狙うことならできるという発想がおもしろい。

敵の作業場と彼の家、それらと銀行をつなぐトンネル、ものすごく狭い空間で行われるサスペンス。

小道具の使い方も、窮地の切り抜け方もうまい。伏線がしっかり機能している。

ビスケットのところだけ、伏線というより、前フリ感があった。あれはどうして出てきたんだっけ。

登場人物それぞれにもきちんと見せ場が与えられている。

あれだけゴチャゴチャしてても、きれいにあるべきラストにたどり着く。

脚本としての機能美が楽しめる。たぶん、こういう話で逆バコを試みるといいんだと思う。

ちょこっと見るつもりが気になって最後まで見てしまった。

無駄の少ないよくできたサスペンスだった。

(U-NEXT)

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立川譲監督『BLUE GIANT』

2023-03-06 15:44:31 | 映画を見てきた

2023/3/6

・世界一のジャズプレイヤーになるために上京してきた青年が、凄腕ピアニストと即席ドラマーと組んで、日本最高のクラブ「SO BLUE」でのライブを目指す話。

・原作は未読だけど、前評判がとてもよかった。音楽、上原ひとみも後押し。

・最初のうちは何の話をしてても語尾にだべだべ付いてて、ここまで露骨な話し方するもんかと心配になる。

・仲間集めから始まって、トラブルとステップアップ、最後に感動的なライブと、エンタメとして強い構成。

・原作マンガの再現ではなく、原作マンガが表現しようとしていたジャズなるものを、アニメ表現で目指す感じ。

・このへんは『THE FIRST SLAMDUNK』のアプローチと似ている。

・「抜群にうまいわけではないが、大きな可能性を感じさせる演奏」を再現するのは大変そう。

・実際できているのかどうかを判別するのは大変だけど、映像効果が補助してくれる。正攻法ではないかもしれないけど、せっかくのアニメなのでアリだと思う。

・CGとCG以外のところがきっぱり分かれていて、ちょっと落ち着かない。

・ステージ上の人が特別に見えるというのは舞台表現ではよくあることなので、そういうもんだと自分の頭の中で調整しながら見る。

・実際、主人公がステージで演奏を始めると、別人になる。明らかに「特別な人間である」という説得力がある。映像効果もあるけど、姿勢や動きもあるのかな。

・たぶん原作ではもっと丁寧に書かれているんだろうなと思われる人がちょこちょこ出てくる。

・長期連載のマンガを2時間におさめるのは大変。原作ファンは嬉しいだろうし、本作に関しては未読の自分も原作を追いかけたくなった。

・素人を加えることで、かえって調和が生まれるという表現は見事。どのジャンルにも通じる話。

・中盤から後半にかけてのライブの畳みかけ。音楽も映像も熱量がものすごい。

・ピアニスト雪祈の話し方。何を話しかけられても真っすぐ返してこない言葉の選択が面白い。

・エンタメ作品として最も効果的な範囲におさまる大怪我に、観客として少し後ろめたい気持ちになる。

・この音量とこの大きさで見てこそという感じ。これこそ映画館で見なきゃダメなタイプの作品だった。

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鈴木大介『ネット右翼になった父』

2023-02-16 23:12:06 | 演劇を見てきた

 

 

2023/2/16

自身の亡くなった父親が、本当に「ネット右翼」になっていたのか、家族への聞き込みなどを通して検証した本。

たとえ誤っていたとしても、仮説を信じて疎遠のままでいた方がラクだろうに、見たくないものに向き合い、わずかな違和感を放置せず、検証を重ねていく。

取材対象が家族であることが、かえって悩ましい。

家族だからこそできることではあるが、他人ならここまで律儀に検証する必要はない。

家族であってもなくても、ある人にとっては大切な人、ある人にとってはただのネット右翼ということは普通にある話。

なので、自分が読んだ印象と作者の結論はちょっとズレていたりする。

実際、誰から見ても「典型的なネット右翼」の人ってほとんど実在しないんじゃないだろうか。

行動と発言がズレている人はいる。逆に言えば、どんなにいいことをしていても、言葉の選択を間違えると大切な関係性を失うことになる。怖い。

父子双方から学ぶことが多い本だった。

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S.S.ラージャマウリ監督『RRR』(無発声応援上映)

2023-01-28 22:19:11 | 映画を見てきた

2023/1/28

衝動的にチケットを購入して上演直前に到着。

本編には間に合ったものの、とても凝っていたらしい会場ディスプレイを見ることができず。

あとでSNSを見ると、うちわを作ったり、ナートゥのあのポーズ決めたり、みんな楽しそうだった。うらやましい。

応援上映は、いい掛け声が入ると盛り上がるものなんだけど、今回は無発声応援上映。

熱いシーンで思い思いに、ペンライトを点灯させたり、タンバリンや鈴を鳴らす。

鳴り物もいいけど、釘をばらまくシーンで、鈴を持っている人が「しゃらららーん」と優しい音を出していた。

自転車に乗る人間としては、あのシーンがRRRのなかで一番嫌いだけど、この応援の寄り添い方は見事だった。

ナートゥは一緒に踊りたくなるし、実際に踊ってる人を見たくもなる。

発声はダメでも、踊るのはアリなのではないかと客の気楽さで妄想する。

あと、いいシーンは普通に見ちゃう。

大体全部おもしろいけど、二回見ても、やっぱりジェニーの扱いはもうちょっと何とかならないのかなと思ってしまった。

(サツゲキ 1/27)

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ピアース・ベロルツハイマー監督『キラーカブトガニ』

2023-01-22 00:04:00 | 映画を見てきた

2023/1/21

・放射能で狂暴化したカブトガニが田舎町を襲う話。

・生きた化石、二億年目の超進化。

・こういうタイプの映画、放射能の扱いが雑。

・原発を爆破処理するな。

・最初のふんわりしたCGで、この映画をどういう心づもりで見ればいいかわかる。

・これはいいかなと思って、はじめてクラフトビール買って飲みながら見た。

・カブトガニの動きがほぼルンバ。

・主人公は車椅子の青年。演者はディラン・ライリー・スナイダーさん。

・表情や足の感じから実際に車椅子が必要な人なのかなと思ったけど、検索してもそういう情報が出てこない。

・最初のゲームから、日本文化へのリスペクト強め。思い返してみれば、ポケモン感もある。

・登場人物の関係性がしっかりしている。みんないいやつなので安易に死んでほしくない。

・ラドゥも結構ひどいこと言っているんだけど、周りの彼への扱い見ていると気の毒になる。

・彼がベビーカブトガニに悪態ついているところ、アドリブっぽいけど、脚本にあるのかな。

・演者はChase Padgettさん。喋りが得意そうだからコメディアンなのかなと検索してみたら、かっこいい公式HP出てきた。メインはギタリストなんだろうか。

・主人公カップルはもちろん、軽口叩き合いながらも仲のいい兄と弟、教師とかつての教え子、職場の先輩と後輩。どの関係性もいい。

・メガネ先生がとても色っぽい。対カブトガニには無力だったけど、登場から存在感アピールが強い。

・スパナは長めの紐に結び付けて、ぶんぶん振り回したほうが、リーチも稼げるし破壊力もあがると思う。

・モンスターパニック映画って、いつ死んでもいいように、メイン以外にはあまり感情移入させないのがセオリーだと思うけど、わりと逆行している。

・後半のモードチェンジへの布石でもある。

・中盤から後半にかけて。前後の整合性よりも、やりたいことを優先するという選択に勇気をもらった。

・ロボットの弱点はそこじゃないだろ。

・エンドロールがイライラおもしろい。掃除するのかしないのかはっきりしろ。

・最後だけ真面目なの笑った。

・原題は「crabs!」。カニ。邦題のほうがいい。

(サツゲキ)



※パンフと特典ポストカード

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新海誠監督『すずめの戸締まり』

2023-01-21 11:27:20 | 映画を見てきた

2023/1/20

・高校生の鈴芽が、閉じ師を名乗る男との出会いと、彼の呪いをとく旅を通じて、自身の失われた過去を取り戻そうとする話。

・新海誠監督作品はだいぶ見ているけど、前の『天気の子』がなんか暗かったので出遅れてしまう。

・今回は鈴芽がよく動く。義務感に使命感、恋愛感情、動機はいろいろだけど、危険を顧みず、とにかく動く。

・現代日本が舞台、普通の身体能力の女子高生を中心に据えて、ここまでアクションができるものなのか。

・鈴芽は、いかにも主人公という行動をとるけど、恐怖の感情がマヒしているような危うさもある。

・多くの死者が出た大災害を経験しているのに、何度か死ぬのが怖くないと言い切っている。最後のほうの選択もそんな彼女でなきゃ無理だったはず。

・たぶんそれは彼女の過去の辛い経験とつながっている。主人公の主人公らしさに理由がある。うまい。

・序盤はロードムービー調。戸締り活動をしながら、ベタな出会いと別れ。善人ばかりで見ていて気持ちいい。あんまりそこはリアルにしなくていいと思う。

・椅子の寝相が悪いという謎のディテールがかわいい。何かに抗った結果なのかもしれないけど。

・叔母、あんなこと言わされてほんとに可哀そう。鈴芽を後ろに乗せて、後悔に抗うように力強く自転車をこぐシーン好き。

・芹澤さんの「大学生が時間を無駄に使っている感じ」も好き。かなり気の毒だったけど悲壮感がない。

・ミステリアスなイケメンの正体が、ちょっと変わった家業を継いだだけの大学生というギャップがうまい。

・わざとそうしているんだろうけど、絶望的な状況から攻勢に転じるところの理屈がよくわからず。

・いつの間にか猫ちゃんたちが味方になっているところ、みんな理解して見ているんだろうか。勢いと雰囲気だけでも楽しめるんだけど。

・実際に起きた災害をどのようにエンタメ化していくのか問題は気になるところではある。

・大きな自然災害の発生が、個人の行動の成否に左右されすぎるのもなんか違うような。

・ある程度、任意で地震を収めたり起こしたりできるので、悪いことしようと思えばかなり悪いことできそうだし。

・ラストからエンドロールに続く流れがきれい。ああいうタイトルの出し方は憧れる。

(札幌シネマフロンティア)

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TAJIRI『プロレス深夜特急: プロレスラーは世界をめぐる旅芸人』

2023-01-14 14:59:24 | 読書感想文

2023/1/14

プロレスラーTAJIRIが、アジア諸国やアメリカでプロレスの指導や試合、滞在時の様子を記録した本。

実際に深夜特急には乗らないけど、元WWEのスーパースターという経験を活かして、試合よりも移動、宿泊、飲食、練習、プロレスの華やかではない部分をおもしろおかしく書いている。

現地のプロレスラーやスタッフたちの話が、TAJIRI風に翻訳されている。

ほんとにふざけていて楽しい。意味だけでなく、ノリも伝わってくる。

プロレスを指導するときに、さりげなく出てくる目線の話や、リングに上がったら素の自分を見せないという話は演劇にも通じるところあるかもしれない。

彼が周囲から求められるのは、単に「元WWEだから」というわけではないとよくわかる本だった。

 

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札幌北斗高校演劇部『イチゴスプーン』

2023-01-13 23:33:27 | 演劇を見てきた

2023/1/11

超能力を持つ茶道部の部員たちが、学校の裏サイトの管理人を追い詰める話…なのかな。

茶道部は男子三人。のちに女子が加わる。茶道はしない。

各々の地味な超能力を見せ合いながら、下ネタを交えつつ、くだらない会話をする。

彼ら3人の掛け合いと舞台美術の良さで、冒頭5分のインパクトが強い。

透視能力のある男子のヌルヌルとした動き。

話している間、ずっと動いている。荒木飛呂彦作品に出てくるキャラクターっぽい。

動きと姿勢だけで結構笑ってしまった。

わりと強めの下ネタをねじ込んでいたり、組体操みたいなリアクションしたり、絶対に人を飽きさせまいという強い意志を感じた。

舞台美術は、輪郭線が印象的なモノトーン。

ちょっとチープさを残す書き割りも話の雰囲気にあっているのでちゃんと成立している。こういう工夫の仕方はおもしろい。

人数が多いぶん、まだまだ伸びしろもありそう。春フェスにも期待。

(かでるホール)

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井上雄彦監督『THE FIRST SLAM DUNK』(3回目)

2023-01-05 06:59:00 | 映画を見てきた

2023/1/2

IMAXでも見たくなって三回目。

リョータ目線の河田兄がデカい。

リョータ周りのサブストーリーが暗いとか、テンポが悪くなるとかネットの評判よくないので、そのへんも注意しながら見る。

母はかなりひどいことも言うけど、小学生リョータが転んだときに反射的に体が動いているし、事故の時も裏で手を合わせている。

深く傷ついているだけで、ちゃんとリョータにも愛がある。それは彼にも伝わっている。

だからこそ、自己憐憫そのものの「謝罪」が書かれた手紙を捨てて、「感謝」の言葉を選べたんだと思う。

湘北の切り込み隊長としての彼との役割と、母親のために一歩踏み出そうとするところがシンクロしている。

最後の「背伸びた?」は、過去に囚われていた母の心の時間を動かすことに成功したセリフと解釈した。

たしかに暗いし身内が事故死する話なんて既視感強いけど、家族の再生の話として見ても、かなりちゃんとしていたという結論。

(ユナイテッドシネマ札幌)

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