遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

空晴『こっからの、距離』(観フェス2017)

2017-12-06 00:19:28 | 観劇三昧:手のひら演劇フェスティバル

観劇三昧:空晴『こっからの、距離』

2017/11/28

「おばあちゃん」の家に傘寿祝いで集まった人々が、本人の行方不明で混乱する話。

娘の夫とその息子、もう一人の娘とその恋人、近所の人たち。

ここまでならわかるけど、正体不明の若者について、おばあちゃんが再婚していて最初の夫の息子かどうか勘違いする、というところまでくると理解と興味が追いつかない。しかも序盤だし。

劇場で集中して見ればわかるのかな。

不穏な前フリとその回収で話を進めていく。

先にネタを教えてもらってから手品を見るような居心地の悪さを感じる。

話の世界観壊してまでねじ込んだメタ的なギャグと、姓名取り違えネタが意表をつかれた。

最後は岡部尚子さんと小椋あずきさんの貫禄ある演技でまとめていた。

ラストの一言一言を発するたびにいい雰囲気になっているのがすごい。

==============メモ==============

「エンタメ賞」に投票(投票期間が過ぎたので気持ちだけ)

公演時期 2014/07/16
上演時間 01:32:19

(配役)
須田:上瀧昇一郎
須田誠:南川泰規
真千子:岡部尚子
マツオ:小池裕之
茜:上田康人
女の子:古谷ちさ
ハセベ:太田清伸
しの:小椋あずき

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カスガイ『リビング』(観フェス2017)

2017-11-30 00:25:13 | 観劇三昧:手のひら演劇フェスティバル

観劇三昧:カスガイ『リビング』(観フェス2017)

2017/11/24

レイプに遭って引きこもりになった姉と、ニートをやめて働き始めた弟が、他人同然の同居人たちと屈折した共同生活をおくる話。

カルト臭の強い心理療法士やら、虫として雇われるおじさんたち、身元のはっきりしない女。

そんな混沌としたリビングに、妄想上のレイプ魔がクサビのように登場する。

レイプ魔は、妄想上の存在だけあって、身体能力が人間離れしている。

誰もが欲望と現実との折り合いが付かず壊れているので、快不快で言えば間違いなく不快な話なんだけど、巧拙で言えば圧倒的に巧い。

ゴチャゴチャしているように見えて、実は一筆書きだったというような、コントロールの効いた脚本に、役者個々の存在感が上乗せされて、極めて息苦しい空間が完成している。

さんざん鬱屈しているのに、話が終盤になると意味もなく前向きな雰囲気出してくるのイヤだなと思ったけど、最後の最後でピタリとあわせてきた。平行感覚すごい。

==============メモ==============

「芸術賞」に投票(投票期間が過ぎたので気持ちだけ)

上演時間 01:48:25
公演時期 2009/04/22

作者:登米裕一
演出・原案:玉置玲央

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カン劇cockpit『変調・夏祭浪花鑑2015』(観フェス2017)

2017-11-24 01:00:02 | 観劇三昧:手のひら演劇フェスティバル

観劇三昧:カン劇cockpit『変調・夏祭浪花鑑2015』

2017/11/13

殺人の罪でお縄になった団七が、やむにやまれぬ事情で、再び罪を犯す話。

元は浄瑠璃、歌舞伎。変調とあるように、かなり現代風にアレンジしてある。

とはいえ、最初の定式幕(黒、緑、赤の三色幕)を観ると、現代劇とは違う期待感を煽られて反射的にワクワクする。

装置は現代風の抽象舞台、セリフは時代劇と現代劇の混在、衣裳はアレンジした和装。

ストラップのついた携帯電話で会話するシーンもあって、新しいのか古いのかよくわからない。ごちゃごちゃ。

ポケモンのロケット団を思い出させる、下っ端チンピラ男女の三下感が愛くるしい。

手ぬぐいペシペシもかわいい。

「一寸も下がることのない一寸徳兵衛が~」の口上。

賑々しく演出しているものの、起きた出来事を見れば、世の不条理を嘆く古典らしい話にもなっている。


==============メモ==============

「エンタメ賞」に投票(投票期間が過ぎたので気持ちだけ)

上演時間:02:14:00
公演時期:2015/09/26

作者:松本大志郎
演出:山本拓平
原案:初代並木千柳・三好松洛・初代竹田小出雲

《配役》
団七:松本大志郎
お梶:佐藤智美(フリー)
一寸徳兵衛:伊藤一壮
お辰:小林桃子(演劇集団☆邂逅)
玉島磯之丞:西村快人(フリー)
琴浦:塩尻綾香(フリー)
佐賀右衛門:田島篤
木端の権:有馬貴弘(澪クリエーション)
なまの八:長田梳良(舞夢プロ)
おつぎ:曽木亜古弥(アコヤの木)
義平次:牛丸裕司(劇団五期会)
三婦:唐木ふとし(舞夢プロ)

 

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プロトテアトル『ノクターン』(観フェス2017)

2017-11-23 00:40:40 | 観劇三昧:手のひら演劇フェスティバル

観劇三昧:プロトテアトル『ノクターン』

2017/11/12

小さな同窓会に集まった四人が、集まれなかったもう一人のために、ひたすら噛み合わない思い出話を続ける話。

居酒屋の小さなスペースで飲みながら思い出話をする体なんだけど、会話の間の詰め方とテンションの高さが、よく訓練された役者さんのようにしか見えず困惑する。

後半の展開で理屈付けはできるんだけど、どこまで計算してやっているんだろう。

前半は徹底して噛み合わない思い出話。

みんな二十代中盤くらいの設定だと思うけど、あと十、二十くらい上だったらこういう思い出の齟齬も共感できるのに。

作者の方が若いのかなとか思ってしまう。

過去の出来事と各人の記憶との乖離が見所なのかなと思ったけど、特にそういう方向では描いてないようだし、作品全体の見所がつかめないまま終わってしまった。

スコップで雪かきするSEは初めて聞いた。

==============メモ==============

「芸術賞」に投票(投票期間が過ぎたので気持ちだけ)

上演時間:01:31:18

上演時期:2015/01/23

作・演出:FOペレイラ宏一朗

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ALTERNAIT Produce『Evergreen Online / EDIT』(観フェス2017)

2017-11-14 00:31:44 | 観劇三昧:手のひら演劇フェスティバル

観劇三昧:ALTERNAIT Produce『Evergreen Online / EDIT』(観フェス2017)

2017/11/11

備品管理課という閑職に異動になってしまった主人公が「EVER GREEM」というゲームを始めてネトゲ廃人になりかけるが、踏みとどまる話。

こちらの視聴環境が問題なのか、結構聞き取れないセリフが多かった。没入できそうなところでセリフが聞き取れず、話を追いにくい。

とはいえ、王道ファンタジーの定番「行って帰ってくる」展開なので、問題の具体的な内容や解決の経緯はよくわからなかったけど、ニュアンスだけでなんとなく付いて行けた。

黒幕の存在もちょうどいい感じだった。

オープニングの大作ファンタジーRPGっぽい壮大な演出で期待感を煽ってくる。

ゲーム内の二丁拳銃のヒロインが麗しい。アーチャーの上位業種としてのガンマンというのもファンタジーRPGらしい選択。

後半の展開にどのように絡んでいたのか、絡んでいなかったのか、とにかくもうちょい彼女を見たかった。

ダンサーで複数の敵を表現する見せ方や、衣裳と小道具の完成度、ビジュアル面で見ごたえがあった。

==============メモ==============

「エンタメ賞」に投票(投票期間が過ぎたので気持ちだけ)

上演時間:02:29:22

上演時期:2013/07/08

作者:美浜源八

演出:須川忠俊

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reset-N「reset-N 再起動公演『knob』」(観フェス2017)

2017-11-02 13:18:09 | 観劇三昧:手のひら演劇フェスティバル

観劇三昧:reset-N「reset-N 再起動公演『knob』」

2017/11/1

第四回劇作家協会新人戯曲賞受賞作。

1998年度の受賞作なので、もう20年近く前に作られた作品。

雑居ビルの空き部屋のようなところで、ある男が外にあるらしい恋人の死体を、かたくなに見ようとしない話。

もう高評価が確定している作品なので、そのつもりで見るんだけど、20分くらいで集中力が続かなくなる。

意図的だと思うけど、会話が線になっていないのと、登場人物の関係性と出てくるセリフがうまくつながらない。

新人戯曲賞受賞時の選考を読んでみると、既存の人間関係と乖離していく生きづらさや、構成のよさがポイントらしい。

井上ひさしさんが公開審査で何を言ったのかが気になる。

戯曲を読んだほうが良さが伝わるのかも。

作り手も「わからない人はわからないでいい」という提示の仕方しているので、無理に面白いと思わなくていいんだと思う。

審査員の方がどこを評価したのかは知りたいので、とりあえず劇作家協会の戯曲集を読んでみたい。

==============メモ==============

「芸術賞」に投票(投票期間が過ぎたので気持ちだけ)


上演時間:01:21:36

上演時期:2016/07/01

作・演出:夏井孝裕

(配役)

ミサコ:今井由希(グッドラックカンパニー)
カタヤマ:米田敬(トルチュ)
カナ:佐藤晃子(演劇ユニットG.com)
タロウ:辻井彰太
スズキ:林純平
**:木村圭吾
イワモト:カトウシンスケ

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小松利昌一人芝居『コマツマツリ2015』(観フェス2017)

2017-10-28 00:47:02 | 観劇三昧:手のひら演劇フェスティバル

観劇三昧:小松利昌一人芝居『コマツマツリ2015』

2017/10/27

小松利昌さん一人によるコント集。

「ウォーズマン先輩」「壁ドン男」「ミギーちゃん」「チャック男」「harakiri」「越冬鶴美」「魚っ地」「無題(ホームレス漫談)」「一川先生の苦悩」の9つで100分超。

ひとつのギミックを膨らませて作っている感じ。作品というよりネタと言ったほうがしっくりくる。

かっこよさよりも親しみやすさを優先した題材選択。客いじりも積極的。

「壁ドン男」のアメコミヒーロー感。

堂本剛による小松脱出ゲーム「チャック男」の倒錯した感じ。

チャックがよくできている。全体的に小道具がよくできている。

食べ物を食べるときの所作が完全に落語家さんのそれ。

「harakiri」の切腹と介錯を一人でやるのはかなり強引だけど、ちゃんと笑える。

一人でコントを100分やるだけでも大変なのに、幕間で「硝子の少年」を踊っている。

最後は勢いで持っていった感じもするけど、最後まで勢いを保ったこと自体がすごい。

================メモ================

「エンタメ賞」に投票(投票期間が過ぎたので気持ちだけ)

上演時間:01:41:10

上演時期:2015/12/22

作・演出:小松利昌

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アガリスクエンターテイメント『ナイゲン(全国版)』(観フェス2017)

2017-09-21 00:09:07 | 観劇三昧:手のひら演劇フェスティバル

観劇三昧:アガリスクエンターテイメント『ナイゲン(全国版)』

2017/9/19

文化祭前の学生会議で、学校側からの押し付け企画をどのクラスが請け負うか、各クラスの代表者たちが会議する話。

明らかに『12人の~』を強く意識していて、一見朴訥に見える議長や、終盤弁の立つ中心人物が感情的になるところなど、「優しい日本人」のほうが近い。

三谷幸喜作品と言えば、監査委員が「自分を説得しろ」と敵だか味方だかわからなくなるところは、『君となら』のフリースローシーンを髣髴とさせる。好きなのかな。

会議に不慣れな高校生であること、大人という抗うことの出来ない存在がいること、スキャンダルで簡単に票が流れるところなど、宣伝文にあるような「泥仕合」要素でオリジナリティを確保している。

加えて、「優しい日本人」を飛び越えて、今実際に行われている政治と何が違うんだというキツめの疑問を観客に投げかけてくる。

終盤、出席者が一致団結して伏線回収しながらエンディングに畳み掛けるスピード感が最大の見所。 

================メモ================

「エンタメ賞」に投票(投票期間が過ぎたので気持ちだけ)

上演時間:02:08:28

上演時期:2015/11/14

作・演出:冨坂友

配役
議長:甲田守
文化副委員長:鹿島ゆきこ
文化書記:金原並央
監査委員長:沈ゆうこ
Iは地球を救う:さいとう篤史
3148:榎並夕起
おばか屋敷:古屋敷悠
海のYeah!!:斉藤コータ
アイスクリースマス:津和野諒
ハワイ庵:細井寿代
花鳥風月:淺越岳人
道祖神:信原久美子
どさまわり:塩原俊之

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Theatrical Magic Project『シアトリカルマジックライブ「COLOR NOTE ii」』(観フェス2017)

2017-09-11 00:45:53 | 観劇三昧:手のひら演劇フェスティバル

観劇三昧:Theatrical Magic Project『シアトリカルマジックライブ「COLOR NOTE ii」』

2017/9/7

ラジオの公開放送の体で、パーソナリティー役のマジシャンとシンガーソングライターが二人で演目を披露していく。

実際にはラジオ番組で手品は成立しないんだけど、装置や掛け合いの自然さでとてもそれっぽく見せている。

個人的な好みだけど、マジックは手品そのものよりも、いかにもマジシャンらしい所作が好き。

カードを扇形に広げる仕草、はじく指、無駄のない動き、一芸披露した後のキメ顔などなど、見ているととてもわくわくする。

反面、自分でも驚くほど、不思議な現象そのものには心が動かない。不思議。

ただ、単にマジシャンと呼ぶには多芸すぎる。特に即興パートのソツのなさがすごい。

シンガーソングライターのかたの場合も、歌のよさよりも、唄うことに没頭している感じが好き。

なので、終盤のより没頭感のある「願いごと」「カラーノート」が好き。「ビール」「精密」の即興歌もよくできている。

コラボ演目「52枚のうた」が一番テンポ良くて気持ちよかった。

================メモ================

「エンタメ賞」に投票(投票期間が過ぎたので気持ちだけ)

上演時間:02:07:41 ※本編は102分くらいであとはボーナストラック。

公演時期:2014/11/01

作・演出:日向大祐

出演:日向大祐 高橋あすか

【CONTENTS】
CHAOS NOTE
オープニング
記念日
あの人にいま伝えたい!
Double Crossed
月の下
即興ラジオCM
スイフヨウ
52枚のうた
お便り紹介
Card Artistry
ピアノソナタ「再会」
ON/OFF AIR
「おもいつき2」(※即興パフォーマンス)
フォトフレーム
everyday
Paper Percussion
「マジシャンの日常」(※即興パフォーマンス)
願いごと
カラーノート
TURN IT OFF
カーテンコール

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中野劇団『10分間2010~タイムリープが止まらない~』(観フェス2017)

2017-07-23 00:16:04 | 観劇三昧:手のひら演劇フェスティバル

観劇三昧:中野劇団『10分間2010~タイムリープが止まらない~』

2017/7/22

ある女性が、大学の同期との飲み会中に、8時50分から9時までの間を延々繰り返すことになってしまう話。

たった10分間を何度も何度も繰り返す話だということは、タイトルでわかるのでなかなか期待値を上げにくい。

よっぽどうまくやらないと面白くならない。

ただ、そこはさすが実績のある劇団、繰り返しの中で少しずつ生まれる差異がきちんと予想を上回ってくるし、笑いどころもくっきりしているので、ゲラゲラ笑いながら最後まで見ることができた。

終わってみればタイムリープ作品の型どおりだったけど、先手先手で話を動かしているのでストレスもない。

作る側からすると、その緻密さがねたましい。

演劇は、役者さんが稽古段階でも同じ台詞を何度も繰り返し練習しているはずなので、タイムリープと相性がいいジャンルなのかもしれない。

================メモ================

「笑える賞」に投票(投票期間が過ぎたので気持ちだけ)

上演時間:1:54:04

公演時期:2010/11/20

作・演出:中野守

聖子:真野恵里
春親:唐仁原俊博
手島:三条上ル
湯木:辻中金吾郎
石川:桐山泰典
店員:田渕☆理恵
米村:湯川知行

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